ペルー政府、マリネラ保護促進法を公布

ペルー政府は23日、ペルーを代表する国民的伝統舞踊「マリネラ」の保護を促進する大統領令第003-2023-MCを官報にて公布した。同令の内容は次のとおり。

マリネラの保護を促進するための措置を承認する大統領令

大統領令第003-2023-MC

ペルー共和国大統領

法令第24447号によりトルヒーヨ市をマリネラの国家的首都と宣言し、クラブ・リベルタ・デ・トルヒーヨが主催する全国マリネラコンクールが正式に開催されること。

大統領令第014-89-EDにより、大統領令第010-89-EDは廃止され、当時の国家文化庁および観光振興基金(FOPTUR)が、トルヒーヨ市をマリネラの国家的首都と宣言する法令第24447号の履行に必要な措置を提案したこと。

最高決議第022-86-EDにより、マリネラの振付および楽曲の形式は、その多様な地域的バリエーションにより国家文化遺産に指定されていること、また第00048-2023-DGPC/MC報告書の内容に従い、マリネラ・ノルテーニャがその多様な地域的バリエーションにおいて、それら全ての練習生の文化的アイデンティティの一部を形成する無形の文化的表現であること、従い、マリネラの全ての練習生は、個人的または集団でこの文化的表現を用い、かつ享受する権利を有していること。

法令第28296号「国家文化遺産一般法」の第2条によると、国家文化遺産の一部を成す無形文化財は、その性質上国家に帰属するものであり、いずれの無形文化財もいかなる自然人または法人への帰属はかなわず、このような宣言については管轄当局によって為されたか否かに関わらずすべて無効であること、無形文化遺産に属す無形文化財を維持し保存するコミュニティは当該文化遺産の直接の所有者であること。

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の「無形文化遺産の保護に関する条約」を承認した立法決議第28555号が、大統領令第059-2005-REによって批准されたこと。当該条約第11条a)項の規定によると、それぞれの締約国は、その国内領域における無形文化遺産の保護を確実なものとするために必要な措置を講じる責務を負うこと。さらに、2003年ユネスコ条約は、国際的な水準で無形文化遺産を保護するため、(A 緊急保護措置が必要な)無形文化遺産のリスト、(B) 人類の無形文化遺産の代表的リスト、(C) 無形文化遺産保護の優良事例の登録、これら3つのメカニズムを提示していること。2003年ユネスコ条約の規定によると、関心のある締約国のみが、公式に指定された団体を通じ、当該条約に関するこれらのメカニズムへの推薦を提案する権限を有していること。

文化遺産総局は、マリネラの保護に関するプロセスを様々な担い手と共に強化し、また人類の無形文化遺産の代表的リストへの推薦および登録を促進する必要性に留意していること。よって、すべてのマリネラ練習生の文化的アイデンティティの一部を成す無形の文化表現として、マリネラの保護を促進するための措置を講じることが不可欠になっていること。

大統領令第005-2013-MCによって承認された「文化省の組織ならびに機能に関する運用規則」の第52条52.5項に従い、文化遺産総局が特に国家文化遺産の宣言、およびユネスコの世界遺産リストへの推薦を調整・提案する機能を有しており、また当該運用規則の第55条55.9項では、ユネスコへの推薦を行うに値するペルーの無形文化遺産を提起するのは、文化遺産総局の機能のひとつであるとしていること。

2023年6月5日付で「国家文化遺産一般法(法令第28296号)」を改正し、中でも無形文化財の概念に関してその用途、演技、知識、表現、技巧、伝統的知識および、それらに固有の手段、事物、道具、文化的空間を定義するとともに、世代から世代へとこの遺産を継承し、自らをその文化的・社会的アイデンティティの一部として認識するコミュニティ、集団、および個人によって、特に音楽や舞踊、そしてマリネラを再現し保護する規定を含む法令令第31770号を公布すること。

無形文化財の保護に関する前述の規範には、国家文化遺産を宣言する各事例は文化省が決定し、そのため、国家文化遺産を構成する無形文化財に関して採用されるすべての行政措置については文化省の排他的な権限とすることをその範囲に含める旨が追記されていること。

法令第31772号はまた、国家の機関がその権限の範囲において、制定された目的を果たし、その公布の根拠が消滅した当該大統領令について報告するよう定めている。従い、1989年3月19日付で承認された大統領令第014-89-EDは、無形文化遺産に関する現行規定以前の規範的文脈において公布されたものであり、旧法であることからその有効性を維持する必要がないとこ。

上記の観点から、国家文化遺産の一部を成す無形文化表現としてのマリネラの保護を促進するための措置を承認することが不可欠になっていること。

以上を考慮し、法令第29158号「行政組織法」ならびに法令第29565号「文化省設置法」の規定に基づき、以下について発布すること。

第1条-文化的アイデンティティの表現としてのマリネラ

マリネラは、その多様な地域的バリエーションにおいて、ペルーの文化的アイデンティティの一部を成す無形文化表現である。文化省は、その技量を普遍的なものと認識し、これを保護する官民のイニシアティブを促進する。

第2条-人類の無形文化遺産の代表的リストへのマリネラの推薦

文化省は、文化的表現の振興および保全というその役割に鑑み、マリネラの多様な地域的バリエーションに関する推薦書を作成し、ユネスコによる人類の無形文化遺産の代表的リストに推薦するよう手続きと調整を行うこと。

第3条-大統領令第014-89-EDの廃止

大統領令第014-89-EDを廃止し、大統領令第010-89-EDを無効にすること。

第4条-副署

本大統領令は、文化省大臣により副署される。

2023年9月22日、リマの大統領宮殿にて公布

ペルー共和国大統領
ディナ・エルシリア・ボルアルテ・セガラ

文化省大臣
レスリー・キャロル・ウルテアガ・ペーニャ

(ソース: El Peruano 23/09/23)