Albóndigas アルボンディガス

「イシイのおべんとクン ミートボール」でお馴染みのミートボール。80年代にお茶の間に流れたあのコマーシャルソングを、今でも覚えている人は多いのではないでしょうか。

ミートボールの起源は古代ローマや中東、アジアなど諸説ありますが、イベリア半島に伝えたのは、8~9世紀に活躍したムスリムの著名な美食家ザリヤーブだと言われています。スペイン語でミートボールを意味するalbóndiga(アルボンディガ/複数形アルボンディガス) という言葉が、アラビア語のal-búnduqah(小さく丸いもの/小さなボール)からきているのは、そういう理由なんですね。

時は下り、スペイン人やポルトガル人の新大陸上陸に伴って、アルボンディガスもラテンアメリカ各地に伝わりました。トマトソースで煮たり、スープの具にしたり、パスタとあわせたりといろいろですが、なぜかペルーだけはカイワ・レジェーナのことを「アルボンディガス・デ・カイワ」と呼ぶなど、ひき肉をボール状にしたものではなく、詰め物の意味で使うことがあります。相変わらずペルーは独自路線ですよね(笑)

ただこれも情報化のなせる業か、最近はアルボンディガスといえばミートボールを指し、カイワ・レジェーナと混同するようなことはほとんどなくなりました。ペルー人も「あれ?アルボンディガスって肉団子のことだよね?なんでカイワ?」って気づいたのかな?

そんな経緯もあってか、誰もが知っているのにほかのペルー料理ほど市民権を得ていない、なんとも微妙な立ち位置のペルーのアルボンディガス。でもまぁシンプルに美味しいので、ぜひ作ってみてください。

【材料】2人分

  • 牛ひき肉(できるだけ赤身で) 250g
  • たまねぎのみじん切り 1/4個+1/4個
  • すりおろしニンニク 小1+大1/2
  • パン粉 大1
  • 卵 1個
  • アヒ・パンカペースト 大1/2
  • トマト 2個
  • ニンジン 1/2本
  • セロリ 1/3本
  • 赤ワイン 50ml
  • カルド・デ・レス(ビーフブイヨン) 200ml
  • ローリエ 1枚
  • ペレヒル(イタリアンパセリ) 少々
  • 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量

【作り方】

1、ミートボールを作る。フライパンでたまねぎのみじん切り1/4個分とすりおろしニンニク小1に塩少々を加えたものを炒め、冷ましておく。

2、ボウルに牛ひき肉と1の炒めたたまねぎ類、パン粉、卵を加えてよく混ぜ、塩コショウ、クミン、オレガノを少々加えてさらによく混ぜ合わせ、ミートボールを作る(大きさはお好みで。私は12個くらいに分けました)。

3、1のフライパンに油を少し足し入れ、2のミートボールを入れて表面を香ばしく焼き付け、取り出しておく。後で煮込むので、中まで完全に火が通っていなくても問題ない。

4、ミートボールのソースを作る。トマトは皮を剥いてざく切りに、ニンジン、セロリはみじん切りにしておく。あとでブレンダーなどを使って混ぜ合わせるなら、それほど細かくカットしなくても大丈夫。

5、3のフライパンに再度油を足し入れ、たまねぎのみじん切り1/2個分とたまねぎの水分を引き出すための塩一つまみを振り、よく炒める。たまねぎが透明になったらニンニク大1/2を入れ、次にアヒ・パンカペーストを入れてよく炒める。そこにトマト、ニンジン、セロリを加えてさらに炒める。

6、野菜に火が通ったら赤ワインとカルドを加えてひと煮たちさせ、3のミートボールを入れて煮込む。塩コショウ、クミン、オレガノ適量とローリエ1枚を加え、蓋をして中火にし、ミートボールの中に火が通りまで煮込む。

7、味見をして、必要なら塩コショウで味を調えてできあがり。滑らかなソースがお好みなら、ミートボールをいったん取り出し、ブレンダーでソースを攪拌する。面倒くさければやらなくても大丈夫。皿に盛り、ペレヒルを散らしてできあがり。

【Keikoからひとこと】

ペルーの食文化では、どうも隅っこに追いやられている感のあるアルボンディガス。そのためいろんなレシピを検索してみましたが、どうも「これだ!」というものがありませんでした。今回はアヒ・パンカペーストを加えていますが、正直なくても問題なし。とはいえ、ペルー料理らしさを出したいならやっぱりアヒは欠かせないよね、ということで加えてみました。あれくらいの量なら辛味はほとんどなく、でも味に深みが出るので良いのではと思います。

付け合わせは定番のご飯やパスタのほか、ジャガイモのプレ(ピューレ)などが多いよう。なんにでもあう料理だから、その辺は使い勝手がいいですよね。ちょっと大きめに作れば食べ応えもあり、ワインにもあう大人の一品に。ハンバーグとはまた違った魅力のミートボール、定番の美味しさです。