ペルーの国民食といえば、セビーチェまたはポヨ・ア・ラ・ブラサがお約束。でもラスボスといえば、やっぱりArroz Chaufa(アロス・チャウファ)!とにかくペルー人はこのアロス・チャウファが大好きで、日本なら3人前はあろうかという量を一人でペロリと平らげてしまいます。
アロス・チャウファは19世紀末に黒人奴隷の代替としてペルーに連れてこられた中国人労働者クーリーによって生み出されました。労働から解放されたクーリーたちは、小さな食堂を開きます。お得意の“saltado(炒める)”という調理法で手早く仕上げたその米料理は、あっという間にペルー人を虜にしてしまいます。
広東語のchaofan(チャオファン/チャーハン)から転じてアロス・チャウファ(チャーハン飯という意味ww)と命名されたこの料理は、今ではペルー料理の代表格として世界に紹介されています。アロス・チャウファの進化系として、セシーナ(アマゾンの干し肉)を加えたArroz chaufa amazónico(アロス・チャウファ・アマソニコ)や、ご飯の代わりにキヌアを使ったChaufa de Quinua(チャウファ・デ・キヌア)なんかもありますよ。
アロス・チャウファの作り方は、日本の家庭で作るチャーハンとほぼ同じ。違いは味付けが濃いことと、ご飯の量が多いこと!今回は1.5合(茶わん約3杯)分で2人前としましたが、ペルー基準ではこれが1人前、もしくはもっと多いかもしれません。いやはや、すごい、すごい、日本の米農家さんが泣いて喜びそうな勢いです。
アロス・チャウファだけでは寂しいので、チーファ(ペルー生まれの中華料理店)の定番総菜であるNabo encurtido(ナボ・エンクルティード/大根の甘酢漬け)も合わせてご紹介しました。チャーシューなど豚肉料理の付け合わせに欠かせない一品で、チーファのみならず、スーパーマーケットのお惣菜コーナーにも並ぶほど一般的なピクルスです。
アロス・チャウファ
【材料】2人分
- ご飯 3杯分(1.5合)
- 鶏むね肉 150~200g
- 青ネギ 2~3本
- ニンニク 1片
- ショウガ ニンニクと同量
- もやし 50g
- 卵 2個
- 塩コショウ、醤油、オイスターソース 適量
- オプション:ごま油、味の素
【作り方】
1、ニンニクとショウガをみじん切り、青ネギは刻んで白い部分と青い部分を分けておく。
2、卵2個に塩をひとつまみ加えてよく溶きほぐす。フライパンに多めの油を入れて加熱し、溶き卵を入れて薄く焼き上げる。取り出して、1.5~2cm角にカットしておく(炒り卵でも問題なし)。
3、鶏むね肉を1.5~2cm角にカットして塩コショウを振り、卵を焼いた後のフライパンで焼く。仕上げに醤油をひと垂らしすると、味も風味も付いて良し。ただしフライパンが焦げないようすぐ火を消すこと。焼けたら別皿に取り出しておく。
4、3のフライパンに油(できればごま油)を足し、ニンニクとショウガ、青ネギの白い部分を入れて香りが出るまで炒める。そこにご飯を加えてパラパラにほぐしながら炒め、3の鶏肉ともやしを加えてさっと炒め合わせる。
5、4に塩コショウ、醤油、オイスターソースを加えて味を調え、最後に2の卵と青ネギの青い部分を加え、全体が混ざったら出来上がり。お好みで味の素を少々加えれば、更にペルー的!
ナボ・エンクルティード
【材料】作りやすい分
- 大根 250g
- 白ワインビネガー 大6
- 砂糖 大2
- 塩 少々
- アヒ・アマリージョ 少々
【作り方】
1、大根の皮を剥いて薄切りにし、塩を軽く振ってしばらく置く。水分が出て大根がしんなりしてきたら水でさっと洗い、大根が割れないよう気をつけつつ絞って水気をおく。
2、アヒ・アマリージョを細切りにする。量はお好みで。
3、容器に白ワインビネガーと砂糖、塩ひとつまみを入れて混ぜ合わせ、水気を切った大根とアヒ・アマリージョを入れて漬け込む。2~3時間したら出来上がり。
【Keikoからひとこと】
アロス・チャウファの味付けですが、もしペルー醤油があったらそれで作ってみてください。ペルー醤油は色が黒いので、少量でもしっかりご飯に色が付いて、よりペルーっぽくなります(トップ画像のは、ペルー的にはだいぶ色が薄いです)。また日本の甘酢漬けは砂糖が多めですが、ペルーの場合は酸味が柔らかなワインビネガーを使うので、砂糖もそれほど必要ありません。ペルー風のほうがちょっとだけヘルシーかな?でも酸味甘味については、お好みでどうぞ。
それにしてもチャーハンと大根の甘酢漬けという、日本の食卓にごく当たり前のように並ぶ家庭料理が、地球の裏ではペルー料理として認識されているという不思議。敵を制するならまずは胃袋から。中国人移民、恐るべしです(笑)