ペルー旅行 外国人へのIGV還付スキーム

ペルー政府は2023年4月16日、外国人旅行者がペルー滞在中に購入し、自国に持ち帰る商品の一般販売税(16%)を還付するために、現行の関連規則第76条を改定する立法政令第1548号を公布しました。

これを受けた国家税務監督庁(SUNAT)は今年5月1日、同庁決議第000097-2023/SUNATを通じ同税の還付に関する手順の概要を公布、これは翌日からの施行となっています。

また同庁は5月3日、前述の手順を踏まえた還付スキーム(後述)を政府のデジタルプラットフォーム上に掲載しました。このスキームの主なポイントは次のようになります。

  • 対象は旅行者(turista)の資格でペルーに入国する外国人(ペルー非居住者)
  • ペルー国内滞在中(2日以上60日以内)に購入し国外に持ち出す商品に適用
  • 国税庁が認定した認証施設(EA)での買い物が対象
  • 還付を受けようとする外国人旅行者は、EAに対しその意思を伝える必要がある
  • 商品の価格が100ソレス以上であること
  • 還付申請は外国人旅行者本人が行う
  • 還付申請はモバイルアプリケーションまたは空港の専用端末で滞在中に行う
  • 還付申請には外国人旅行者本人名義のデビットカードまたはクレジットカードが必要
  • 還付申請には商品の免税証明書と請求書が必要
  • 一般販売税は還付申請登録の翌日以降5日以内に、申告したカードに入金される
  • 還付申請に伴う手数料が控除される

ただ施行からまだそれほど時間が経過していないので、現在は後述する協力事業者(EC)および認証施設(EA)の登録を進めている段階と推察されます。私も街中でこんな表示を見かけたことはまだありません。

スキームを見る限り、一般販売税(IGV)16%については店で先払いするみたいですが、これだと買い物の際店舗に「TAX FREE」と表示されているにもかかわらず支払う金額にはIGVが含まれていることになるので、店側と客の間にトラブルが生じるような予感がします。

IGVの還付申請は100ソレス以上の商品に適用されるようです。100ソレスの16%(16ソレス)は本日のレートでおよそ632円。日本へのお土産をたくさん買う人には今後重宝する制度かもしれませんね。

外国人旅行者へのIGV還付スキーム

2023年5月3日

IGV(一般販売税)およびISC(選択消費税)法に関する運用細則第76条ならびに立法政令第226-2022-EF号により改定されたその運用規則の規定に従い、ペルーに入国する外国人旅行者は、ペルー国内で購入した商品を空路または海路を通じて自国に持ち帰る場合、IGV(16%)の還付を申請することができるものとする。

当スキームは、ペルーに入国して商品を購入する外国人旅行者に対し、電子請求書(factura electrónica)および免税証明書(Constancia Tax Free)の取得を条件に、認証施設(EA)におけるIGV還付の権利を付与するものである。当該外国人旅行者は、ホルヘ・チャベス国際空港(※リマ国際空港)から出国する際、有効な出入国管理施設における前述の商品の国外への持ち出しにあたり、SUNAT(国家税務監督庁)の職員による確認手続きの後、SUNATの協力事業者(EC)に対しIGVの還付を申請する。SUNATはその後、要件充足状況の査定を経て、当該申請の結果ならびに、還付申請書に記載されたデビットカードまたはクレジットカードへの還付金額について、当該申請から5営業日以内にこれを発行し通知する。当サービスの提供にあたり、協力事業者(EC)は当該外国人旅行者から手数料を徴収することができ、最終的には還付した金額の払い戻しをSUNATに請求する。

尚、認証施設(EA)の認定を受けようとする納税者は、予め協力事業者(EC)に加盟し、納税者別パスワードを用いてSUNATが管理する認証施設台帳(REA)への登録を完了しておく必要がある。こうすることで、外国人旅行者がIGVの還付を受けられる商品を販売できるようになり、ひいては買い物に際し外国人旅行者がEAを選択するようになるだろう。

認証施設(EA)の義務

a) 各施設内の見やすい場所に、「TAX FREE Shopping」ならびに「Establecimiento Autorizado Devolución del IGV a Turista Extranjero(※外国人旅行者対象IGV還付認証施設)」の例言を掲示すること。

b) 免税証明書(Constancia “TAX FREE”)、あるいは免税証明書と一体化された請求書を発行および/または手交する際には、旅行者であることを証明する身分証明書の提示を求めること。

c) 請求書と免税証明書を手渡すこと。

d) SUNATを通じて実施される還付手続きに必要となる情報を、SUNATが指定する様式、期限、要件に従い、SUNAT宛に提出すること。

e) 協力事業者(EC)を通じて実施される還付手続きにあたり、免税証明書(Constancia “TAX FREE”)または免税証明書と一体化された請求書に関連する情報について、SUNATが指定する様式、期限、要件に従い、当該協力事業者宛に提出すること。

f) SUNATの定める規定に従い、IGV還付の対象となる売上に対して発行された請求書につき、売上台帳(Registro de Ventas)にそれらを記帳すること。

買い物の際、外国人観光客は、認証施設(EA)において、請求書および免税証明書が発行される前に、IGVの還付を受けようとする意志を伝えなければならないものとする。

IGV還付申請の要件

IGVの還付にあたっては、以下の要件を満たす必要があるものとする。

a) かかる商品の購入が、外国人旅行者のペルー国内滞在期間中(歴日で2日以上60日以内)に、認定された施設において行われたこと。

b) かかる商品の購入が、関連規則に従い発行された請求書によって裏付けされていること。この場合、購入者(※外国人旅行者)の税籍登録番号(RUC)は支払証憑(comprobante de pago)の必須要件とされない。

IGV還付申請の対象となる商品の購入を裏付ける請求書には、それ以外の取引を含めることができないものとする。

SUNATは出入国管理施設において、外国人旅行者に対し、免税証明書と連関する請求書の提示を要請することができる。

c) 商品の価格が100ソレス(S/ 100)以上であること(免税証明書が発行されたそれぞれの支払証憑が必要)。

d) 商品の購入に対する支払が、当該外国人旅行者本人名義の国際的に有効なデビットカードまたはクレジットカードを使用して行われたこと。

外国人旅行者に対するIGV還付の実施

IGVの還付については、商品の購入を裏付ける支払証憑および免税証明書の発行を受けた外国人旅行者のみが請求できる。

IGVの還付にあたっての申請は、当該外国人旅行者のペルー滞在期間内に提出されなければならず、さもなければ未提出とみなされることになる。

申請は適宜、ECまたはSUNATに提出するものとする。

還付金額については、申請に記入された当該外国人旅行者本人名義のデビットカードまたはクレジットカードに入金されるものとする。

ECを通じて実施される還付の場合、サービスに対する手数料を当該外国人旅行者から徴収することができるものとする。

ECにおける外国人旅行者へのIGV還付手続き

外国人旅行者は、還付手続き専用セルフ端末(kiosco de autogestión)またはモバイルアプリケーションを利用することができる。

還付手続き専用セルフ端末(kiosco de autogestión)の場合

1. 身分証明書の番号を入力する。

2. その外国人旅行に対して発行された免税証明書が表示されるので、ペルーからの出国時に国外へ持ち出す商品を選択する。

3. システムが指定する分岐(赤または緑)に従う。

赤の場合

  • 当該外国人旅行者の身分証明書を提示する。
  • ペルー国内で購入し、国外へ持ち出す商品を提示する。
  • 認証施設(EA)から渡された請求書および免税証明書を提示する。

4. 当該外国人旅行者のデビットカードまたはクレジットカードの番号が照合され、そのカードにIGVの還付金額が入金されることになる。

5. データ照合を経て、IGVの還付申請が登録される。

緑の場合

当該外国人旅行者は、本人名義のデビットカードまたはクレジットカードの認証手続きに進む。

かかる商品については、いかなる場合においても、それを購入した外国人旅行者本人によって移送される必要がある。

モバイルアプリケーションの場合

1. アプリを起動し、対応するQRコードをスキャンして、アプリの指示に従う。

2. その外国人旅行者に対して発行された免税証明書が表示されるので、ペルーからの出国時に国外へ持ち出す商品を選択し、アプリが指定する赤または緑の分岐(前述)に従う。

3. IGVの還付金額が入金されることになる当該外国人旅行者名義のデビットカードまたはクレジットカードの番号が照合され、アプリ上で還付申請が登録される。

ECは、当該還付申請が登録された日の翌日から起算して歴日5日以内に、本サービスの提供に対して当該ECが徴収する手数料を差し引いた後、対応する金額を当該外国人旅行者名義のデビットカードまたはクレジットカードに入金する。

ECについて

  • 協力事業者(EC)とは、ペルー居住者であるところの法人で、一定の要件を満たす必要がある。
  • SUNATは、同庁決議により、外国人旅行者に対するIGVの還付手続きにECを組み入れるものとする。
  • 要件のひとつとして、外国人旅行者へのIGV還付に関する業務が必要となる。
  • SUNAT、認証施設(EA)、および外国人旅行者に対する義務の履行が求められる。
  • ECは、自発的に、あるいは違反行為によって、前述のステータスを失うことがある。

ECはSUNATに対し、IGVの還付に関する管理義務を遵守できるよう、定められた期間内に精算書を提出しなければならないものとする。

ECに対する払い戻し

  • 納税者別パスワードを用いて、SUNATのデジタルプラットフォームからオンライン様式第1649(還付申請書)を提出する必要がある。払い戻しの請求にあたっては、エクセルフォーマットの精算ファイル(最大20MB)を添付すること。
  • SUNATのシステムが自動的に提出証明を生成する。
  • ECは、月に2回まで払い戻しの請求を提出することができる。2回提出する場合、2回目の提出については、1回目の請求から少なくとも歴日で15日以上経過した後で行う。

SUNATは、30営業日以内に当該請求を解決する(以下当スキームの根拠法については割愛)。

(ソース: ペルー国家税務監督庁)