いつもの風景、いつものリマ。反対車線には運転席の足元に見事な弾痕の残るバスが、何事もなかったかのように平常運転を続けている。みかじめ料の支払いを拒否して、マフィアから嫌がらせを受けたのだろうか?脅されようが撃たれようが、とりあえず日銭を稼ぐ運転手。ペルー人ってこういうところが本当に逞しい。
5月に一時帰国から戻った後、立て続けてに家の修理に追われていた。窓ガラスのレールの交換やインターフォンの修理、壁のサリトレ(湿気によるペンキの浮き)の修理とペンキの塗り直しなど、なんだか知らないけど次から次へと問題が発生する。ペルー暮らしあるあるで、ひとつひとつは大したことではないが、こういう問題はなぜか同時に起こる。
その先陣をきったのが、メイド部屋のトイレだった。タンク内のアームが折れて水を流せない状態だったので、知人に紹介してもらったガスフィテロ(左官工)に来てもらった。一応ちゃんと作業しているように見えたが、一度で終わらないのがペルーの常。夜中にタンクの下から水が漏れだし、気が付けば辺りは水浸しになっていた。あぁ、まったく、もう!
翌日シリコンを手にやってきたガスフィテロは、タンクの底に取り付けられていた給水ホースを外し、タンクとホースを差し込むネジ穴の接点にべったりとシリコンを塗り付け「これでもう大丈夫!」と笑顔で太鼓判を押してくれた。この道歴30年超で「今度でっかいアパートの建築設計を任されたんだ」と自慢するガスフィテロ氏。タンクの底に給水口がある時点で予想できたであろうこの程度のリスクも回避できない彼が建てるアパートって、いったいどんなのだろう。
作業後2人で何度も見直して、さすがに水漏れしないことを確認し一安心。普段使用しないトイレでまた水漏れなんてやってられないと思い、念のために止水栓を締めておいた。
数日後の日常的掃除の時間。「ついでにメイドトイレも掃除しよう」と止水栓を開いた途端・・・ピシューッ!ぎゃー!給水ホースが外れたー!!
それこそアニメみたいにホースが勢いよく吹っ飛んで、辺りはまた水浸しに。慌てて止水栓を締めて外れたホースを見ると、ネジ穴に取り付ける側のプラスチック栓が割れているではないか。ヤツめ、「今度は水漏れさせまい」とプラスチック栓にヒビが入るくらい馬鹿力で締めやがったんだ・・・あぁ、もう、まったく3度目だよー!
幸い給水ホースさえ交換すれば済むようだったため、栓が割れたホースをもって最寄りの金物屋へ。カウンター奥で物憂げそうに座っているセニョーラにホースを見せると、埃だらけ棚から似たようなホースを2本出してきたがどっちが正解か良く分からない。「たぶん・・・こっちだね」と渡された1本を買って自宅に戻り、セッティングしたが案の定外れ。なんで現物を見せたのにプロが間違うのか。もうこれで4度目だよ・・・
翌日再び金物屋へ行き「セニョーラー、これ、サイズ、違ったー!」とクレームしたら、「待ってな」と言って隣の店へ。「今度こそ大丈夫よね?」「もちろん大丈夫さ!」ペルー人の “大丈夫” ほどアテにならないものはない。
さすがに5度目はなく、無事メイドトイレの修理は終了。きちんとやってくれればたった1日で済むものを、なんだかんだで1週間以上もかかった。一事が万事、これペルー。日本的には非日常なことも、ペルーでは日常。弾痕とトイレは全く別物だけど、何が言いたいかというとペルー暮らしは飽きない、ってこと、かな(笑)