飲食業界「夜のセビーチェ」で売上増狙う

ペルー海鮮レストラン協会(Armap)のハビエル・バルガス会長は、郷土料理「セビーチェ」を夜間に半額で提供するキャンペーンを2月4日から開始すると発表した。

昨年12月、今夏期のスタートにあたり、この国民的一品の売上は順調に推移すると見られていたが、全国的な社会争議の影響を受け、その先行きが不透明になっているとバルガス会長は話す。

会長はまた、暴力的なデモ隊への不安から市民が外出を控え、観光客も減っていると指摘。業界の売上は昨年に比べ20%落ち込んだままと訴える。

タクナやイロ、モケグア、アレキパ、イカのような南部太平洋岸の地域では、セビチェリア(主にセビーチェを出すレストランのこと)への社会争議の影響が大きいという。また、北部太平洋岸のピウラでも、今年は海況のせいで売上が伸びていないと会長は説明した。

「ペルーのガストロノミー界は、社会争議やCOVID-19、燃料価格高騰の影響をもろに受けています。これらがレストランの経営コストを圧迫し、利益率は10%を割り込んでいます」

新たな経営戦略

このような状況の中、50人のレストランオーナーが集結し、「夜のセビーチェ街道」と銘打ったキャンペーンの実現に向け準備を進めている。これは、通常夕刻には閉まるセビチェリアを夜間にも営業し、セビーチェを始めとするメニューを顧客に提供するというものだ。

バルガス会長は「みなさんにセビーチェを(夜に)半額で食べてもらいましょう」と前置きし、このキャンペーンは貿易観光促進庁(Promperú)の承認を得たものであり、2月4日を皮切りにその後は毎週火曜日の18:00~22:00に行なうと説明、この試みは業界の売上向上や雇用促進、ひいては政府の税収増加にもつながるとしている。

会長はさらに、このキャンペーンには魚介類に関する国民の消費パラダイム変換や、ペルー食文化の振興という目的もあると述べ、「国外ではセビーチェが昼よりも夜に多く食べられている例もあります」と強調した。

地方政府との連携

当キャンペーンは、1か月の試行期間を経た後、複数の地方政府と連携して全国的な展開を目指すもので、貿易観光促進庁の支援による啓蒙と普及が期待されている。

会長は、海鮮レストランの売上を損なう社会争議の拡大を受け、業界では食文化の再活性化に向けたアイデアを発信し続けていくと明言した。

また、客足が遠のくことを懸念し、1年以上にわたって値上げを実施していないセビチェリアも多いと会長は話している。

民間消費が昨年のセクター売上を後押し

ペルーホテル・レストラン業協会(Ahora)のセルヒオ・リバス副会長もまた、クスコ、プーノ、アレキパ、イカを中心に、旅行の延期や他国への目的地変更など国内観光への影響が出ているため、現在同セクターが不安定な状況にあるとコメントしている。

副会長は、立地や客層の良いレストランでも、価格や販売促進などの工夫により満席にはなるものの、かつてのような回転率は見込めないと明かす。

また、昨年度のセクター伸長に関しては、民間年金基金(AFP)の一部引き出しや退職時一時金積立(CTS)の取崩しを通じた購買力の上昇による民間消費の促進に加え、リモートワークの縮小に伴う外食機会の増加がこれを後押ししたと分析している。

(ソース: Andina 31/01/23)