ペルーのダークキッチン業界 コスト上昇で足踏み

飲食市場における実店舗を持たないレストラン「ダークキッチン(日本ではゴーストキッチン)」のブームはすでにピークを過ぎており、設備投資を抱える経営者たちはこのビジネスの継続に向け知恵を絞っている。

GC CORP社のグスタボ・クルスCEOはヘスティオン紙のインタビューで「実際のところ、このビジネスモデルはパンデミック期間中とは逆に成長が止まっています。これは主に生産コストの上昇によるもので、店のオーナーにとっては収益性が見込めません」と明かしている。クルス氏は、厨房機器や同アクセサリーを専門に扱うMepol Storeを傘下に持つGC CORPの創設者。

ダークキッチンの作業スペースは1か所当たりおよそ20平方メートルで、1か所につき約10台の厨房機器が貸し出されているという。しかしながら、リマ市内に40店ほど存在するダークキッチンのうち、食品加工用の専門機器を備えているのは10%に過ぎないとクルス氏は指摘。ハイレベルな厨房機器で業務効率や収益性の向上を図るチリやコロンビア、米国のような国のダークキッチンとはかなり違う状況だという。

「このビジネスモデルでは、顧客側の需要にもかかわらず多くの業者が撤退を余儀なくされました。(専用機器のない)従来型の厨房ではスペースが必要な上に光熱費や燃料費、人件費などが嵩み、収益性が良くないためです」

しかしながら、これらの業者は店舗をなくすことにより、パンデミック期には今よりも低いコストでの経営を実現していた。

リコンバージョン

専門の機器を配置すれば、ダークキッチンの作業スペースを10平方メートルに半減することができ、さらに最新の厨房機器を導入することで、それぞれの顧客の要求に基く多彩なメニューに対応するマルチクッキングが実現できるとクルス氏は説明する。

「ダークキッチンの現場では、作業工程の効率化を重視したリコンバージョン(再変換)が始まっています。しかし、400店近いダークキッチンを擁すコロンビアのような近隣諸国に比べ、ペルーはまだほんの序の口と言えます」

(ソース: Gestión 23/09/22)