今月15日、スペイン人侵略者フランシスコ・ピサロによる建都から490周年を迎えたペルー北部の街ピウラ。「常夏の街」の愛称で親しまれ、英雄ミゲル・グラウの出生地でもあるピウラでは、数々の魅力的なスポットやおいしい郷土料理、ホスピタリティあふれる住民が旅行者を温かく迎えてくれます。それでは、この街の主な名所から紹介していきましょう。
常夏の街ピウラの観光スポット
アルマス広場(Plaza de Armas)
ペルーでも特に人口の多い都市で、地域の経済・商業・行政的な要でもあるピウラ。この街の旅はここアルマス広場から始まります。樹齢100年を超えるタマリンドの木に囲まれた広場の中心には、ラ・ポーラの愛称で親しまれている「自由の像」が鎮座しています。植民地支配からの解放の寓意であるこの彫像は、1870年に時の大統領ホセ・バルタから寄贈されたものです。
ピウラ大聖堂(Catedral de Piura)
ワンカベリカ通り362番地に位置し、アスンシオンの聖母と大天使サン・ミゲルを守護聖人に抱くこの教会は、1588年に建造されました。内部には、ニカラグア産の杉の木を彫り金箔を施した、ペルーでも有数とされるチュリゲーラ様式の「ファティマの聖母」のレタブロ(彫刻)が残されています。教会の中央祭壇は、プラテレスク様式にヒントを得たスペイン人彫刻家フリアン・アラグアの手により、1912年の大地震後に再建されたものです。
サン・フランシスコ教会(Iglesia San Francisco)
フランシスコ会の神父たちが手掛けた18世紀の回廊が歴史を感じさせる教会。前廊には同会の諸聖人を祀る新古典主義様式の祭壇があります。1969年と1980年にそれぞれ国の史跡に指定されたこの教会は、河畔にほど近いカリャオ通りとリマ通りの交差点に建っています。
ミゲル・グラウ提督の屋敷(Casa Museo del almirante Miguel Grau)
タクナ通り662番地にあるこの屋敷は、1879年10月8日にアンガモス海戦で戦死した英雄ミゲル・グラウ提督が生まれ育った場所で、18世紀後半のキンチャとアドベ造りの建物では保存状態の良いもののひとつです。玄関ホールや広々とした居室、庭園が見事で、大小合わせ9か所のサロンがあります。1978年に博物館として生まれ変わり、家族の遺品や写真、手紙、証書、文書などの展示のほか、庭園や提督の居室、出生時のゆりかご、戦艦ワスカルの模型も訪れる者の目にとまります。
イグナシオ・メリーノ展示ホール(Sala de Exposición Ignacio Merino)
フランスで芸術を学んだピウラ出身の画家、イグナシオ・メリーノの名を冠したこの文化施設は、ワンカベリカ通り346番地にあります。内部には彼の主要な作品を始め、ペルー中央準備銀行所蔵の古い硬貨や紙幣、ピウラ地方を代表する古代ビクス文化の笛吹ボトル(参考動画)などが展示されています。
デル・カルメン教会(Iglesia del Carmen)
ラ・リベルタ通り365番地、イグナシオ・メリーノ広場に面した市街を代表するバロック様式建築のカトリック教会。ピウラの歴史に関する書物を最初に刊行した歴史家、ホセ・アントニオ・デル・ブストによると、この教会は17~18世紀におけるピウラの信仰と芸術の中心的存在でもあったそうです。その重要性から、1974年には国の文化財にも登録されました。
教会の内部には、金箔で彩られたレタブロやバロック様式の説教壇、聖具保管室へと続く4人の福音史家の色鮮やかな彫像が配された見事な扉など、17世紀のペルー副王領の宗教芸術作品が多数残されています。また、カトリック神父たちを描いたキト派の筆と思われる複数の大きな絵画も展示されています。現在は礼拝が行われている時間帯のみ見学することができます。
市立ビクス博物館と黄金の部屋(Museo Municipal Vicús y Sala de Oro)
スジャーナ大通りとワヌコ通りが交差する場所に建つこの文化施設には、ビジュアルアートやペルーの建築、ペルーの国土、プレヒスパニック期のピウラにおける死生観、ピウラ人のアイデンティティ、ペルー黎明期の住民、気候変動による文化遺産への影響をテーマにしたそれぞれの部屋と、ビクス文化の高度な冶金技術を物語る62点のコレクションが飾られた黄金の部屋を合わせ、全部で8つの展示ホールがあります。
郊外の観光スポット
ピウラには、歴史地区を擁す市街地以外にも、植物編みや民芸品、金銀細工などで名高いカタカオスやチュルカナスといった郊外の観光名所があります。カタカオスの陶芸品は有名で、町の名物にもなっています。ピウラのアンデス山間部では未だ機織り機を使った織物が健在で、主に鞍鞄や飾り帯などが作られています。また、太平洋沿岸部では綿素材の民芸品や貝殻装飾品のほか、カオバなど固い材質の木を用いた彫刻もまた旅行者の興味を引く名物のひとつになっています。
ピウラ郊外には他にも、アヤバカやカンチャケといった風光明媚なスポットがあります。アヤバカには、国の内外から信仰を集める「囚われのキリスト(el Santuario del Señor Cautivo)」が祀られています。また、市の中心部から2kmの場所には、遠くの谷あいにクーヤスの森(el Bosque de Cuyas)を望むヤントゥマの丘の展望台があります。
市街地から25km離れたクーヤスの森では、蘭やブロメリアなど雲霧林に咲く固有の植物が旅行者の目を楽しませてくれます。この森にはまた、シャクケイやミミズク、ピューマ、鹿を始め100種類を超える動物が生息しています。
アヤバカのもうひとつの見どころは、市街地から南へ45kmの距離にあるアイパテの砦(la fortaleza de Aypate)です。ペルー北部に現存するインカ独特の石組を用いた建造物で、世界遺産に登録されたカパック・ニャン(インカトレイル)のルート上に位置する重要な拠点のひとつでもあります。
一方、カンチャケには流水で浸食されて出来た天然のプール「ミシャワカの大鍋(las Peroles de Mishahuaca)」や、市街地を一望できるワヤナイの丘(el cerro Huayanay)などがあります。後者の頂上には、内部にワヤナイの十字架を祀った小さな礼拝堂が建っています。
カンチャケを訪れるなら、手作りパンで知られる伝統的な町パランブラ(Palambla)はいかがでしょうか。この町のパンはカンチャケの主要な複数のパン屋に卸されています。パランブラにはこのほかにも、聖なる水のマリア教会(la Iglesia de la Virgen de Agua Santa)があります。
ピウラのビーチリゾート
ピウラ州の海岸には、コランやカボ・ブランコ、マンコラ、ロビートス、エル・ニューロ、ロス・オルガノス、セチュラといったペルーを代表するビーチが名を連ね、輝く日差しの下で波と戯れつつリフレッシュするには最適のロケーションといえます。これらのビーチでは様々なマリンスポーツに挑戦できるほか、毎年7月半ばから初春にかけてはザトウクジラのホエールウォッチングも楽しめます。エコツーリズムが好きな方には、アモタペ山国立公園(Parque Nacional Cerros de Amotape)のような、他に類を見ない生物多様性で知られる自然の楽園もおすすめです。
パワースポットファンなら、ワンカバンバ郡のワリンガス湖(Lagunas de las Huaringas)がいいかもしれません。身体から負のエネルギーを解き放ち、新たな躍動感で満たしてくれることでしょう。
ピウラ料理
ピウラの料理は全国でも特に種類が豊富でおいしいと評判です。海や川、山の幸を集めた幅広い食材を使い、伝統料理の技をベースに育まれてきたピウラの料理は、きっとその味で食べる者の舌を虜にするでしょう。
代表的な一品には昔ながらのセビーチェやマララビア、スダード、アドボ、セコ・デ・チャベロ、コプス・デ・チャンチョ、ソパ・デ・ノビオス、タマル・ベルデ、セシーナ、チフレス、ナティージャ、チンチャなどがあります。
(ソース: Andina)