7月24日は全国ピスコの日(el Día Nacional del Pisco)。ブドウから造られるペルー原産の国民的蒸留酒「ピスコ」を称える日だ。
その類まれなる味わいと香りから、長年にわたって国民に親しまれてきたピスコは1988年4月7日、ペルーの国家文化遺産に指定された。また、1999年以来、毎年7月の第4日曜日は全国ピスコの日として祝われている。
原産地呼称制度(原産地名称保護制度)
国家競争・知的所有権保護庁(INDECOPI)は2017年7月26日、「ピスコ」の原産地呼称を地理的表示として法的に保護する原産地呼称制度を適用。同庁決議第13880-2017-Indecopiを通じ、ピスコの名称はペルーが起源と定めている。スペイン人による新大陸侵略以前、ペルーには様々な言語を持つ土着の文化が存在し、ケチュア語はその中のひとつであった。ピスコという呼称をペルー起源とするにあたっては、次の4つの根拠があるという。
動物の名前
歴史家や年代記作家、辞書編纂者の証言や文献により、ケチュア語でピスク(pisku)、ピスク(pisccu)、ピシュゴ(phishgo)あるいはピチウ(pichiu)という鳥がかつてこの地にいたことが明らかになっており、またこれらの鳥は今でも数多く生息している。1550年、年代記作家の中でも特に有名なペドロ・シエサ・デ・レオンは、その著書“ペルーの一般年代記”の中で「Piscos(ピスコス)とは鳥の名前である」と語っている。.
町や港の名称
1574年に作成されたペルーで最初の地図には、諸王の都(リマ)があるリマ湾の南部に「ピスコ港」が描かれている。また、当時のペルー総督であるニエバ伯爵が現在のイカ地方の建都についてスペイン王に報告する際、ピスコという名の町を造りたいと進言したという証言もある。
長い時を経てこの地域の名称は3回変わり、ピスコの名が最後に残された。1898年、ピスコの町は市に格上げされ、その後1900年10月にピスコ郡が誕生している。
陶工一族の名
ペルー南部地域には、チチャ(トウモロコシなどの穀類から造られる中南米ではポピュラーな飲み物)などの液体を貯蔵するための土器を専門に作る「ピスコス」という陶工の一族がいた。彼らはスペイン人の到来以降、粘土を焼き内部に蜜蝋を塗ったギリシャのアンフォラのような形の大甕を作るようになった。この大甕は、ピスコ一帯で生産されるブドウの蒸留酒を入れて運ぶために使われた。
産地としての名称
16世紀には町や港にピスコの名が付けられた。グアノ(海鳥のフンから作る肥料)や銀をスペインに積み出す港として、ピスコ港はこの地域における主要な貿易港のひとつになった。また、その独特の風味からピスコは旅人の間で人気を博すようになり、あの大甕で大量に輸出されるほど、他の地域にもその評判が知れ渡っていた。
ピスコの生産地は全国で5州のみ
国家競争・知的所有権保護庁商標登録局は、原産地呼称制度に基く「ピスコ」の定義に関し、2017年7月26日付決議第13880-2017/DSD-Indecopiにおいて、ペルーのリマ、イカ、アレキパ、モケグア各州の太平洋沿岸部およびタクナ州のロクンバ、サマ、カプリーナで生産され、醸造後日の浅いピスコ種ブドウの新鮮な果汁を蒸留した酒と記している。
前述の決議では、歴史的視点から見たピスコの名称と製品の起源や、ピスコの原産地呼称についての長年にわたる基準、国内外におけるピスコの宣伝と普及、ピスコの生産量および輸出量の増加といった様々な側面を考慮しつつ、同庁が実施した綿密な分析を踏まえ、分かりやすくすでによく知られている「ピスコ」が原産地呼称として認可された。
ピスコ原産地呼称の国際的な認知
ボリビア、カナダ、コロンビア、コスタリカ、キューバ、エクアドル、エルサルバドル、米国、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ドミニカ共和国、ベネズエラといったアメリカ大陸の国家を始め、世界70か国以上の国々が、ペルーを原産地とするピスコの原産地呼称を認めている。
(ソース: Andina 22/07/22)