アマゾンのスーパーフードとして名高い「アグアヘ」は、私たちの身体にとって大切なビタミン類やミネラル分を含むだけでなく、免疫機能の強化や様々な病気の予防に効果があるとされています。
アマゾン地方では「命の木の実」としても知られるこのアグアヘ(学名: Mauritia flexuosa)は、“アグアハレス”と呼ばれる湛水域で育つ椰子の木の果実で、ニンジンやホウレンソウを上回る量のビタミンA(β-カロテン)を含んでいるのが特徴です。それゆえ、目やお肌の健康に良いと言われています。
また、鉄分やカルシウムの吸収を助けるビタミンCが豊富なため、骨や筋肉を強化し、骨粗鬆症を始めとする関連の疾患を防ぐ効果があるほか、抗生、鎮痛、抗炎症、抗がんなどの作用を持つ植物性エストロゲンを含み、心血管や脳血管障害の予防にも役立ちます。
植物性エストロゲンは更年期障害やホルモンバランスの調整にも効果があり、この化合物を多く含む食品を摂取している女性や男性には、更年期障害の発現が少ないことが科学的な研究により明らかになっています。
アグアヘはどこで採れるの?
アグアヘは、ロレト、ウカヤリ、ワヌコ、サン・マルティン各州に存在する合計約500万ヘクタールにおよぶ“アグアハレス”で育ちます。このうちおよそ100万ヘクタールは、ロレト州のパカヤ・サミリア国立自然保護区とその周辺に位置しています。
イノシシやバク、サル、ネズミのような動物のほか、様々な鳥や魚の大切な餌になることから、アマゾン熱帯雨林の生態系においてアグアヘは重要な役割を担っています。
アグアヘが実る椰子の木は、成長すると大きいもので高さ35m・直径50cmにもなります。雌の木と雄の木があり、前者が実を結ぶには後者による授粉が必要です。一本の椰子の木(雌)には8房の花房があり、それぞれの花房には平均して725個の実が付きます。椰子の木一本から収穫されるアグアヘの実は通常290キログラム程度になります。
アグアヘの汎用性
アグアヘは伝統的に、“アグアヒーナ”と呼ばれるフレッシュジュースの形で飲まれていますが、その果肉は汎用性が高く、アイスクリームや市販のジュース、スイーツなどにも使われています。食品業界や化粧品業界ではアグアヘから採れる油が大きな可能性を秘めており、またアグアヘの殻は環境に優しいエコ炭にもなります。
気候変動の鍵、アグアハレス
アグアヘはトゥルベラ(ボグ)と呼ばれるアマゾンの湿原、アグアハレスで育ちます。この湿原(泥炭地)には、他の熱帯の生態系に比べ3~5倍の量となる1ヘクタール当たり約600トンもの二酸化炭素が蓄積されています。つまり、アグアハレスはペルーを始め地球全体の気候変動を左右する鍵のひとつを握っているのです。
(ソース: Andina 14/07/22)