MaidoのシェフMicha ソースでペルーの味を世界に

ペルーのグルメ界では“Micha(みっちゃん)”の通り名で知られるミツハル・ツムラ氏にとって、パンデミックはそのスタンスを変えるきっかけとなった。「以前は世界中でレストランをいくつもやりたかったんですが、今は少数の店舗に集中したいんです」とMichaは話す。

結論から言うと、Michaにとって「Maido(※レストランの名)」は常に唯一無二の店であり、「Tori(※同上)」は彼がずっとやりたかった(そしてこの先も続けたい)ポジェリア(※鶏の炭火焼専門店)チェーンであり、彼のイニシャル“MT”を冠したソースはペルー料理の風味を大衆化する手法なのだ。このテーマを含め、ヘスティオン紙が彼にインタビューした。

“Micha”が手掛けるソース

14か月前にMichaとスーパーマーケットWongが手を組み、以来8種類のソースを市場に投入してきた。新発売の2品(MichaによればLa BravaとLa Casera)以外にも新たな商品を追加すると共に、現行商品を改良をするため、両者は契約を刷新。「他国への輸出も考慮し、常温保存時の消費期限(3か月)を9~12か月に伸ばしていきます」とMichaは話す。

Michaの狙いはその先にある。「国外におけるペルー料理の成功は、レストランの出店だけではないといつも私は言っています」「醤油を加えたりペースト状に加工することは、他の国にソースや具材、調味料を輸出するための手段です。昨今では国外のレストランのメニューにセビーチェがあるのも珍しくはありませんが、ペルーのソースを始め、きちんと標準化されたペルー伝統料理の具材をフランスやスペイン、イタリアのシェフに使ってもらえれば、市場はさらに拡大するでしょう」

“Tori”が飛び立つ

ソースの他にも、ポジェリア“Tori(鶏)”は開店以来大きな成果を上げているとMichaは明かす。「ダークキッチン(※日本ではゴーストキッチン)としてスルコ(※リマ新市街の一区)に1店舗のみ立ち上げ、並行してパンデミックの最中にマグダレーナの店をオープンしました」

「私の試みをより多くの人に使ったり味わってしてもらえれば」「Toriは新しい世代があまり知らない、往年のポジェリアを彷彿とさせる鶏の炭火焼を出すレストランです」

Michaはまた、手ごろな価格で質の良い商品を提供することができてうれしいと話す。「失敗しない調理法があるんです」完璧なレシピにたどり着くまで、およそ2000羽の鶏が使われたとMichaは説明する。

「今では通常のレストランが1店、ダークキッチンが5店あります」Michaと彼のチームは現在、次の成長段階に向け、リマ市内および全国における店舗拡大の手法を検討している。「国外であれば、間違いなくフランチャイズ方式になるでしょう。でもペルーでは一歩一歩進んでいくつもりです。そういう面では、調子に乗らないようにしています。右肩上がりに成長してきているので、すでに機能しているものを体系化してしまいたいと考えています」

ホームゲーム

Michaによると、彼の店Maidoはパンデミック前の水準に戻ったという。これは観光客の来店に加え、地元客が再び訪れるようになったからだ。「褒賞やランキング、国際的な名声とは別に、レストランにとって一番大事なことは、地元の人に好かれ、必要とされることです」そのような意味では、外国人とペルー人のバランスが取れており、現在の比率は半々としている。

参考情報

Michaはペルー人シェフ、マリオ・カストレジョンと共同で、中米パナマに新たなガストロノミー・プロジェクトをスタンバイさせている。レストランの名は“Mai Mai(マイマイ)”。「パナマ東岸、800平方メートルの屋上レストランを予定しています。バーセクションに力を入れると同時に、ニッケイ料理のタパスも充実させるつもりです」とMichaは話している。

(ソース: Gestión 24/06/22)