スペイン語でjalea(ハレア)といえば、フルーツ果汁を煮詰めた透明なジャムやゼリーのこと。でもなぜかペルーでは揚げ物の、それも魚介類の揚げ物にのみ使われます。ちょっと不思議ですよね。
ペルーでいうハレアは、もともとペルー北部に栄えたモチェ文化に由来するそう。「魚を細長く切って天日で干し、薪や炭で焼いて食べていた」とあり、その調理法を指すのか料理名なのかは定かではありませんが、それがハレアの起源なのだとか。
19世紀に入ってからタマネギソースやアヒ、茹でたカモーテやトウモロコシを添えるようになり、また魚の身にはレモン汁を振り掛けたともありました。ただいつから揚げ物になったのかは不明で、正直モチェ文化云々は単なるこじつけじゃないの?というのが個人的な感想です。ま、ペルーあるあるです。
ペルーでは揚げ物のことをchicharrón(チチャロン)ともいいます。ハレアは魚介類オンリーなのに対し、チチャロンは肉と魚介類双方に使います。その昔、「ハレアはコーンミールで、チチャロンは小麦粉で揚げる」と聞いた記憶があるのですが、今はどちらも小麦粉(+片栗粉など)が主流。
強いて言うならハレアはレモン汁やその他でマリネするのでジューシーだけれど、チチャロンはサクサクカリカリで乾燥しているとか?ハレアにはサルサ・クリオージャがマストだけれど、チチャロンには付いてこない(または別々に出す)?など、あれこれ調べてみましたが、明確な定義は見当たりませんでした。
ということで、言ってしまえばただのシーフードフライなのですが、ペルーならではの付け合わせを添えることで、ペルーのハレアに変身!今回は2種類のマリネ液をご紹介します。お好きなほうでチャレンジしてくださいね。
【材料】2~3人分
- 白身魚 200~250g
- お好きな魚介類 400~450g(今回はエビ、タコ、イカ、ポタ/アメリカオオアカイカ、コンチャを使用)
マリネ液 A:
- アヒ・パンカペースト 大2
- すりおろしニンニク 大1
- レモン汁 大2
- クミン、塩コショウ 少々
マリネ液 B:
- 卵 1個
- マスタード 大2
- すりおろしニンニク 大1
- 塩コショウ 少々
- 小麦粉、片栗粉 大4ずつ(同量)
- ベーキングパウダー 1g
- 塩コショウ 適量
- 付け合わせ:ユカ・フリータ(キャッサバのフライ)、サルサ・クリオージャ、タルタルソース、カンチャ、サルサ・デ・アヒ
【作り方】
1、ユカ・フリータの準備をする。7~8cmの長さにカットしたユカ芋を縦半分に切り、沸騰したお湯に塩とユカを入れ、柔らかくなるまで茹でて冷ます。この状態で冷凍できるので、時間のある時にまとめて茹でておくと便利。
2、魚介類をきれいに洗い、A、またはBのマリネ液に10分ほど漬け込む。
3、小麦粉と片栗粉、ベーキングパウダーを混ぜ合わせ、汁気をきった2の魚介類にまぶす。ビニール袋に粉と魚介類を入れてシャカシャカ振ってまぶすと楽ちん。
4、フライパンに油をたっぷり入れて加熱し、最初にユカ芋を色よく揚げ、次に余分な粉を落とした魚介類を揚げていく。油の温度が下がらないよう気を付けて。
5、皿にユカ芋と揚げた魚介類、サルサ・クリオージャ、タルタルソース、カンチャを盛り付けて出来上がり。
【Keikoからのひとことアドバイス】
ハレアには jalea de pescado(魚だけのハレア)と jalea de mariscos(エビやタコ、貝類など魚なしのハレア)、そして今回ご紹介した jalea mixta(魚介類のハレア)の3種類があります。前述の通り、お肉をつかったハレアは存在しません。
アヒ・パンカを使うAタイプのマリネ液はどちらかというと昔風、ガストン・アクリオがマスタードを使ったレシピを公開してからは、Bタイプが多く目につくようになりました。どちらも甲乙つけがたいのですが、アヒの風味が勝るAタイプにはサルサ・クリオージャが、軽い仕上がりのBタイプはタルタルソースが合うように思います。お子さんには断然Bタイプかな~。私はどちらも好きです。
また今回はトップ画像のように盛り付けましたが、本来は揚げたての魚介類の上にサルサ・クリオージャを乗せてサーブするのがペルー流。衣がサルサ・クリオージャのレモン汁を吸ってしまうので、気になる人は別々に盛るか食べる直前に乗せてくださいね。