スペイン人が新大陸に持ち込んだ米と、ペルーの海の幸のマリアージュ、Arroz con Mariscos(アロス・コン・マリスコス)。コスタ(ペルー海岸エリア)では欠くことのできないシーフード料理のひとつです。
この料理は、炊きあがったご飯に海の幸とアヒの旨みがたっぷりのソースを吸わせて作ります。ご飯にお汁かけただけのつゆだく料理とは違うし、ご飯一粒一粒をパラパラに仕上げるチャーハンとも異なります。ましてやスープで生米を炊くわけではないので、パエリアやピラフとも完全に別物。強いて言うならトマトライス、またはケチャップライス風?しっとり滑らかな食感が魅力だけれど、お米がべちゃッとしては美味しさ半減という微妙な料理なんですよね。
なのでアロス・コン・マリスコスを作る時は、少々面倒でもぜひペルー式のご飯、すなわち油を加えて炊いたご飯をご用意ください。ソースの水分量が多いので、日本式のご飯だとべちゃっとしてしまいますが、油でコーディングされたペルー式ご飯なら米粒が潰れることもなく、それでいて柔らかく仕上がります。
セマナサンタ真っただ中の今日は、シーフードたっぷりのリッチなレシピをご紹介。ポイントはペルー式ご飯を使うことと、シーフードを加熱しすぎないこと。その2点に留意しつつ、さっそく作っていきましょう。
【材料】たっぷり2人分
ペルー式ご飯:
- 米 1合
- サラダ油 大1/2
- すりおろしニンニク 小1
- 塩 小1/2
- 水 1合分(鍋で炊くなら1割ほど多めに)
アロス・コン・マリスコスのベース:
- シーフードミックス(エビ、イカ、タコ、アサリ、ムール貝、ホタテなどお好みのもの) 300g
- タマネギのみじんぎり 1/4個分
- すりおろしニンニク 大1/2
- アヒ・アマリージョペースト 大2
- アヒ・パンカペースト 大1
- 種を取って小さくカットしたトマト 1/2個分
- トマトペースト 大1/2
- カルド・デ・ペスカード(フィッシュブイヨン)、またはカルド・デ・ポヨ(チキンブイヨン) 100~150ml
- 白ワイン 大2~3
- バター 大1
- パプリカ 1/2個
- グリーンピース(下茹でしたもの) 1/4カップ
- 刻んだクラントロ(コリアンダー) 1/2カップ
- パルメザンチーズまたはモッツァレラチーズ、塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
- オプション:生クリーム、またはエバミルク 50ml
- 付け合わせ:サルサ・クリオージャ、レモン
【作り方】
1、ペルー式ご飯を炊く:鍋に油を入れてニンニクを炒めから塩を加え、洗った米と水を加え、炊き上げる。炊飯器を使う場合はガーリックパウダーを使ってもいいが、必ず油を加えること。
2、貝付きホタテを使う場合:フライパンに油(分量外)とバター大1/2、すりおろしニンニク少々(分量外)を入れて熱し、ホタテをソテーする。レシピ内の白ワインを少し加えてもいい。軽く塩コショウをして取り出しておく(ホタテはほかのシーフードよりデリケートなので、別に加熱することをお勧め)
3、アデレソを作る。2のフライパンに油と残りのバターを入れて熱し、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩一つまみを入れてよく炒める。タマネギが透き通ってきたらニンニクを入れてよく炒め、アヒ・アマリージョペーストとアヒ・パンカペーストを加えてさらに炒め合わせる。カットしたトマトとトマトペーストを加え、トマトの形がなくなるまでよく炒める。塩コショウ、クミン、オレガノを加えたらアデレソのできあがり。
4、3のアデレソにシーフードと白ワイン、クラントロ半量を入れ、次にカルド・デ・ペスカード100mlを加えて軽く煮立たせる。すでに火が通っているタコやムール貝は、カルドが煮立ってから入れるといい。シーフードに火が通ったら、加熱しすぎないよういったん取り出す。
5、4に細切りにしたパプリカとグリーンピースを加えて軽く炒め、1のご飯を加えて4のソースをご飯に吸わせながら混ぜ合わせる。もし水分が足りないと思ったら残っているカルドを加えて調整して。パルメザンチーズを適量加え、塩コショウで味を調える。コクを出したい人は、ここで生クリームを加えるといいだろう。
6、ご飯がしっかり混ざったら4のシーフードを戻して全体をさっと混ぜ合わせ、残りのクラントロを振りかけたらできあがり。
【Keikoからのひとことアドバイス】
アドバイスは冒頭に書いた通り、ペルー式ご飯を使うこととシーフードを加熱しすぎないこと、これに尽きます。あとは材料を混ぜ合わせていくだけなので、一般家庭の火力でも問題ないし、強火が命なチャーハンよりかえって簡単かもしれません。
シーフードの扱いは人それぞれで、茹でてから使う人や、フライパンで先にソテーしてしまう人もいます。火の通し過ぎにさえ気をつければ、どの手法を採って頂いても構いません。魚介類が新鮮であれば、ソースで直接煮込んでも臭みが出ることはありません。
「なんでもかんでも加えていく」ガストン・アクリオの影響か、リマではチーズや生クリームを加えたこっくり系が人気で、ワンチャコなどノルテ地方の海岸エリアではもう少しシンプルなタイプのが多いように思います。
シンプルタイプでいうと、私はラ・リベルタ州トルヒーヨ郊外の港町ワンチャコにある「Restaurante Pisagua」のアロス・コン・マリスコスがお気に入り。具は小エビとパプリカくらいなのですが、なんというか飽きの来ない美味しさで。いつかPisaguaの味を再現するぞー!と目論んでおります。