日本でも「チチャロンサンド」として知られるようになったペルーのサンドイッチ、パン・コン・チチャロン。今回は伝統的なレシピだけでなく、リマの超人気店「Sanguchería El Chinito(サングチェリア・エル・チニート)」風レシピもご紹介。ではさっそく参りましょう!
昔ながらのチチャロン
まず最初は、豚肉と塩だけで作る伝統的なレシピから。豚肉さえあればいつでも思い立った時に作れるのが魅力ですね。材料がシンプルなだけに、ぜひ美味しい豚肉と天然塩をご用意ください。
【材料】伝統的なチチャロンのレシピ
- 豚バラ肉 500g
- 塩 大1~1.5
- オプション:ラードまたはサラダ油 適量
【作り方】
1、豚バラ肉を3~4cm幅に切り分け、全体に塩をよく揉みこむ。
2、鍋に1の豚肉と肉の高さの半分くらいの水を入れて中火にかけ、蓋をして35~40分茹でる。途中何度か水の蒸発具合いを確認し、もしまだ肉が固いのに水分がなくなってしまいそうな場合は、ほんの少し水を足して。脂がじわじわと出てくるのを待とう。
3、水分が完全に蒸発し豚肉から脂が沁みだしてきたら、その脂を使って全面を揚げ焼きにする。最初は鍋底に張り付いてしまうが、中からどんどん脂が出てだんだん扱いやすくなってくる。どうしても肉が焦げそうならラード、もしくはサラダ油を加えよう。豚肉の中から脂がしっかり染み出てて、全体的にカリッとしあがったらできあがり。
エル・チニート風チチャロン
お次はエル・チニート風のレシピです。エル・チニート2代目のフェリックスさんのインタビューを基に材料を割り出しました。ところが別の動画では、3代目のバネッサさんが「砂糖も入れる」と言うではないですか。フェリックスさんはそんなこと言ってなかったのに~!
ちょっと迷いましたが、肉を柔らかくするという砂糖の性質に期待して入れることにしました。そのおかげでしょうか、お肉がしっとり仕上がったように思います。
【材料】エル・チニート風チチャロンのレシピ
- 豚バラ肉 500g
- タマネギ 1/2個
- ニンニク 3かけ
- アチョーテ 大1/2
- 塩 大3
- 砂糖 大3
- 粒コショウ 少々
【¡新食材!】Achote(アチョーテ)について
熱帯アメリカ原産のベニノキ科の植物で、レンガ色の種子には食用色素アナト―が含まれています。スモーキーな風味と甘みがわずかにあり、ペルーでは種子を油で炒めたりお湯に入れて色素を抽出し、肉の色つけに使います。パプリカでも代用できますが風味が違うし、料理に色をつける必要がなければ無理に使う必要はありません。
【作り方】
1、豚バラ肉を5~6cmにカットして鍋に入れ、豚バラがかぶるくらいの水を入れる。
2、1の鍋にそのほかの材料をすべて入れ、蓋をして中火で40分ほど茹でる。串を刺してみて、豚肉が柔らかくなったら取り出し、表面の水分をふき取っておく。
3、別鍋、またはフライパンにサラダ油(分量外)をたっぷり注いで加熱し、170~180度になったら2の豚肉を入れてじっくり揚げる。油の温度が高すぎるとすぐ焦げてしまうので注意して。豚肉の中から脂がしっかり染み出てて、全体的にカリッとしあがったらできあがり。
両レシピ共通:パン・フランセス、またはミニフランスパンを横半分にカットし、5mm幅にスライスして素揚げにしたサツマイモと好みの厚さにスライスしたチチャロン、サルサ・クリオージャ(タマネギのレモン和え)を挟めばパン・コン・チチャロンのできあがり。チチャロンの断面に塩を少し振ると味がぐっと締まります。あとはsalsa de ají(サルサ・デ・アヒ)があればもう完璧!思い切り頬張ってください。
サルサ・デ・アヒ
チチャロンサンドに欠かせないのがトウガラシのソース、salsa de ají(サルサ・デ・アヒ)。エル・チニートのようにロコトをミキサーにかけただけのシンプルなサルサでもよし、自分で創作するもよし。サルサ・デ・アヒはそれこそ千差万別、辛いのが好きならアヒを多めに、クリーム状にしたければオイルやチーズを、もったり仕上げたい時はクラッカーを足すなどして自由に作ってみてください。まずは一例として、今回作ったサルサのレシピをご紹介します。
【サルサ・デ・アヒの材料と作り方】その1
- アヒ・アマリージョ 30g
- ロコト 15g
- ニンニク 5g
- タマネギ 10g
- 細ネギの白い部分 10g
- クラントロ 5g
- ケソ・フレスコ 15g
- エバミルク 大1
- オリーブオイル 大1
- ソーダクラッカー 1枚
- 塩コショウ、細ネギの青い部分 適量
1、フライパンに油を敷き、アヒ・アマリージョとロコト(ともに果肉の部分だけ)とニンニク、タマネギ、細ネギの白い部分を焦がさないように軽く炒める。
2、1とそれ以外の材料をミキサーに入れてかくはんし、塩コショウで味を調える。仕上げに細ネギの青い部分を刻んで混ぜればできあがり。
【Keikoからのひとことアドバイス】
チチャロン作りのコツは、時間を惜しまずじっくり仕上げること。茹でる時も強火で一気に茹でるのではなく、肉が柔らかくなるまでゆっくり茹でましょう。また油で揚げる時も、揚げ油の中に豚の脂がじわじわと染み出てくるまで揚げたほうが断然美味しいです。でももしできあがったチチャロンをスライスしてみて、まだ豚の脂が多いなと思ったらフライパンでさっと加熱すれば大丈夫ですよ。
サルサは牛乳やチーズ、オイルが入っているのであまり日持ちしません(4~5日くらい)。上記の分量は、トップ画像左側の小さな器で1.5杯分と少人数でもすぐ使い切れる量です。もし残ったらほかの肉料理や茹で野菜に、またオリーブオイルやビネガー、マヨネーズなどでのばしてサラダにかけてお召し上がりくださいね。
いやー、それにしても手間暇のかかること、かかること!ペルー人が自分で作らず、チチャロン屋さんで買う理由が良く分かります。レシピを紹介しておいてなんですが、やはり餅は餅屋ですね。チチャロン屋の皆さん、いつも美味しいパン・コン・チチャロンをありがとう!