コロナ陰性が証明され、ほっとした気持ちで都内の某Airbnbへと向かう。コロナ不況のせいかシャッターを下ろした店もちらほらと目についたが、人出は少なくないようだ。リマで引きこもり生活をしてきた私には、ハイヤーの車窓に流れる東京の風景は驚くほど賑やかで、緊急事態宣言下の緊張はほとんど感じられなかった。
自主待機 – 不明瞭な外出条件
一般からの問い合わせが多いのだろう、自主待機中の注意事項や14日間の過ごし方を自社サイトでアドバイスしている宿泊施設は多い。そこには公共交通機関の不使用や、不要不急の外出および他者との接触回避といった条件を満たすことを前提に「待機中でも最寄りのスーパーやコンビニへ行くことはできます」「健康維持のための軽い運動は可能です」などの一文が明記されている。
一方、厚労省サイトのQ&Aには待機中の食料調達や健康維持に関しては一切触れず、ただ「他者との接触を行わないこと」とだけ言い放っている。法的強制力のない自主待機を義務づけ、あまつさえ「違反したら氏名を公表する」と脅しておきながら、14日間の生命維持方法は自分たちで考えろというこの無責任さ。この国の役所がいかにすべての責任を個人にのみ負わせたいのかがよくわかるというものだ。
ということで、この国では自分で考え自分で行動するしかない。宿に荷物を置いた私はサージカルマスクと布マスクを2枚重ね、最寄りのコンビニへ行った。店内には大勢のサラリーマンや学生が他者との距離を気にすることなく買い物をしたり、雑誌を立ち読みしている。久しぶりのコンビニに目移りしたが今はとりあえず我慢すべしと、“他者との接触を避け”つつ、最低限の食料を調達してさっさと引き上げた。
健康状態の確認 – 設問はたった2つ
翌日からはメールによる健康状態の確認が開始される。質問は「現在37.5度以上の発熱があるかどうか?」「咳や鼻水など体調に変化はないか?」の2点だけで、やる気の欠片すら感じない。不可解なのは「体温がわからない場合は計測してください」とあることだ。入国規定に体温計の所持は含まれていないし、検疫からの貸出もない。はて、どうやって自分の体温を測れというのだろう?
話題のCOCOAアプリについてはどうか。陽性が確認された人が保健所等公的機関から発行された処理番号をアプリに登録すると、その人の発症日または検査日の2日前以降に接触した人に通知が届くという。約3億9千万円もかけたのに不具合ばかりで使えないと酷評のアプリだが、物は試しとダウンロードしてみた。
ところで、陽性者はきちんとアプリ登録をしているのだろうか。メールや口頭でお願いされただけで、必ず全員が登録するとは到底思えない。責任感のある人はきちんと自己申告するだろうが、陽性が判明してパニック状態の人や失職などの困窮状態にある人が登録を怠る可能性はけっして低くないと思う。陽性者にアプリ登録を何度も促すような余裕が保健所にあるとは思えず、ほぼ放置状態であろうことは想像に難くない。あぁ、なんたる税金の無駄遣い!
とまあ、ここまで日本の水際対策について連日文句を書き連ねてきた。読者の中にはいい加減疲れたという人もいるかもしれず、その点についてはお詫びしたいと思う。ただ母国のコロナ対策がこの程度であるという事実に、少なからぬショックを受けているのも正直な気持ちだ。ペルーでも日々肝に銘じていることだが、与えらえた情報を鵜呑みにすることなく常にその本質を理解するよう努力し、その上で自身の判断を下していく必要性を改めて感じている。
ペルーパンデミック366日目
ペルー保健省発表3月14日COVID-19関連国内統計
- 感染者数累計 1418974人(前日比+6568)
- 死者数累計 49177人(+174)
- 既検査数累計 8329451件(+44826)
- 陽性率 17.04%↓
- 死亡率 3.466%↓
- 入院患者数 14506人(-207)
- 上記の内ICU患者数 2245人(+27)
- 回復患者数 1329788人(+7103)
直近一週間の一日当り感染者数推移(カッコ内は死者数)
- 3月14日 6568人(174)
- 3月13日 4443人(162)
- 3月12日 5353人(177)
- 3月11日 8039人(180)
- 3月10日 7114人(161)
- 3月9日 7434人(160)
- 3月8日 5556人(190)
- 直近7日間平均 6358.1人↑(172↑)
- 直近7日間の陽性率 11.44%↑ ※累計比
- 直近7日間の感染者数合計 44507人↑(前日比3277↑)
- 直近7日間の死者数合計 1204人↑(前日比55↑)
(ソース: MINSA 3月15日)