先週金曜日に、コロナ検査簡易キット15万単位が中国から届いた。保健省はスペインが中国に返品したというあの低精度のキットとは別物というが、少々不安だ。ともあれ感染者の把握を積極的に進めるペルー政府の方針は正しいと思う。人口比でいうと、すでに日本の倍の検査が行われたことになる。
ペルーでは気になる症状のある人は病院へ直行せず、まず保健省の緊急窓口113番に電話するよう徹底的に広報している。保健省は専門医を自宅に派遣して、その場で検査。感染の有無を確認し重症者は入院、軽症者はそのまま自宅隔離という手はずだ。医療崩壊を防ぎつつ、感染疑い者の不用意な移動を阻止する。ワクチンが存在しない現状では、理想の対策といえるのではないだろうか。
ペルーは医療システムが脆弱だ。それは政府も国民もみな理解している。だからこそ国民の多くは外出制限を守っているし、軍や警察は命令違反を繰り返す不届き者の逮捕に尽力している。貧困地区を回って「現金と水、食料をあげるから家にいなさい」と諭し、スペイン語が理解できない先住民には地元警察がケチュア語で現状を説明して回っている。これだけ徹底していても感染者はまだ増えているのだから、このウイルスがいかに厄介であるか赤子でも理解できるだろう。
一方、日本人が時に“後進国 ” と揶揄するペルーですらここまで徹底しているのに、なぜ日本は未だ国民の善意に任せ、個人に責任を負わせ続けるのか。日本にも相談窓口はあるが、外来窓口で他者に感染させる可能性があるにもかかわらず、「疑いがある場合は専門の帰国者・接触者外来へ行け」とある。しかも公共交通機関を使うな?こんな実行不可能な指示は、上司の無能さに他ならない。さらに軽症者も入院させると?国が進んで医療崩壊に導きたいのかと疑いたくなるほどだ。
また「症状の自己申告」からすべてが始まる今のシステムでは、無症状感染者による感染拡大は止められない。和歌山モデルなど注目されるケースの再検討やドライブスルー方式の導入など、まだできることはたくさんあるはず。ペルーが大丈夫とは全く思っていないが、今は日本のほうが心配でならない。
ペルー全土封鎖 外出制限14日目
保健省は29日、COVID-19ウイルス感染により新たに2人が死亡したと発表。うち1人は腎臓病の既往症がある91歳の男性で、COVID-19ウイルス感染および肺炎によりリマの国立ギジェルモ・アルメナラ・イリゴジェン病院に入院、回復せず3月27日午後12時30分に死亡。
もう1人は病的肥満症の66歳の女性で、COVID-19ウイルス感染および肺炎によりアンカシュ州チンボテ第三病院に入院していたが回復せず、3月28日午後5時25分に死亡した。
保健省発表による3月29日0:00現在の国内感染者数は852人(前日+181人)、死者合計は18人(+2)。内訳はリマ639人(+121)、カリャオ29人(+11)、アンカシュ6人(±0)、アレキパ15人(±0)、クスコ17人(+6)、ワヌコ4人(±0)、イカ5人(+1)、ラ・リベルタ13人(+3)、ランバイエケ22人(+7)、ピウラ21人(+1)、ロレト52人(+25)、マードレデディオス1人(±0)、フニン13人(+1)、サンマルティン3人(+1)、トゥンベス8人(+2)、カハマルカ1人(±0)、パスコ1人(±0)、アヤクチョ1人(+1)、タクナ1人(+1)。既検査数は12669件(+1773)、陽性判定率は6.73%、死亡率は2.11%。107人が入院中(うち40人はICU)、うち37人が人工呼吸器を使用、16人が回復へ。
(ソース: MINSA 29/03/20)