ここんところいろいろあって私的ブログを書く気になれなかったが、ここにきてとても“ペルーらしい日常”を送っているので、少し気がまぎれた。“ペルーらしい日常”、それは家の修理だ。
10月半ばに、主寝室の奥にある風呂場の浴槽の下が濡れているのに気が付いた。やばい、水漏れかも・・・と思ったがその後すぐ取材旅行が入ってたので、見て見ぬふりをしていた。そしたら旅行前日の夜に2階(下階)の隣人から「keiko、キミん家から水漏れだよ!」とメッセージが。がーん、やっぱり来たー!
とりあえず詫びを入れ、旅行から戻ったら対処すると約束した。あの風呂場には浴槽がある(ペルーはシャワーだけの風呂がまだまだ多い)。ってことはあの浴槽を取るのか?周囲の大理石を割って?あぁ最悪だ。
旅行から戻った翌日、カロリーナ(2階の奥さん)がガスフィテロ(左官工)を連れてやってきた。2階はこの3か月間自宅の大改修工事を行っている。まるで新築ですかと言うくらいの騒音と振動とさまざまな塗料の毒ガス攻撃に耐えてきた私としては、我が家の水漏れも下階の振動が原因だと思うが、なぜかペルー人は口をそろえて「そんなことありえない」と言う。理由は「だってコンクリートで固めてあるんだから」。遊びの部分がまったくなく、ガチガチに固めてるから振動が伝わるんじゃないよって言ってもまったく通じない。5000年前のカラル遺跡ですら、シクラを使って耐震性を高めていたのにね。
2階の水回りの修理を担当したというガスフィテロ・フェリックスは、なかなか感じのいい人物だ。カロリーナも「彼に任せればすぐ解決してくれるわよ!」と大絶賛。ではとにかくお手並み拝見ということで、彼に状況を説明する。便座を外して作業スペースを確保したフェリックスは、おもむろに浴槽の下に手を伸ばし水漏れ箇所を探し始めた。そして一言「うーん、seco(乾いてるね)!」と。あはは、この時のカロリーナの驚きと怒りに満ちた顔と言ったら!
フェリックスに限らず、ペルー人は目に見えない原因を探るのがとても苦手だ。明らかに下階の天井に影響が出ているのに、「でもここの床は乾いていますよ」と見た目だけで判断する。何が何でも我が家に水漏れ修理をさせたいカロリーナは、必死になってフェリックスを説得。まあ3か月もかけて大改装しているのに自宅の風呂場の天井に大きなシミが現れたら、そりゃヒステリックにもなるだろう・・・
結局、「留守中に風呂を使ってなかったから、水漏れ箇所が乾いてしまって分からない。これから数日お風呂を使って、再度水漏れを起こしてください」ということになった。天井のシミが広がったら、その分修理代もかかるのにぃ・・・なんとも原始的な方法だが仕方がない。カロリーナも「keiko、お風呂もトイレも通常通り使ってどんどん水を流してちょうだい!」というので、その週は普通に過ごすことにした。「水漏れの修理は簡単ですよ。大理石のタイルも割るけど、上の部分だけですし。うまくすれば1週間で終わりますよ」とフェリックス。果たしてその言葉が守られることが・・・ないのがペルーだ。