水漏れ修理生活もいよいよ終盤、後は浴槽の周囲にタイルを貼って終わりだ。鉱物産出国であるペルーでは大理石のタイルは珍しくなく、お値段も日本より手頃。とはいえ一般のタイルよりはもちろん高価だし、扱う店が限られている。
このアパートを購入した時も修繕の過程で風呂場の大理石タイルが必要になり、当時のガスフィテロと一緒にブレーニャ区にある石材加工店へ買いに行った。リマでも治安の悪いエリアで、目の前の車が強盗に襲われる様子を、タクシーの後部座席から身を縮めつつ眺めた記憶がある。あんなところは二度と行きたくないなーと思っていたら、フェリックスがどこからか買ってきてくれることになった。わ~、助かるよ~、ちょっとくらいボラれてもいいや、よろしく!
果たして彼が入手したタイルは色も模様もオリジナルに近いもので、十分許容範囲だった。ここまで来たら大丈夫だろうと、あとはお任せすることに。古い浴槽を取り外す工程で割らなくていい箇所にひびが入っていたが、それは仕方がないことだ。「こことここもちゃんと新しいタイルに貼り替えてね」というと、今回も彼は嫌な顔一つせず「分かりました!」と対応してくれた。
「セニョーラ、終わりましたよ!」と声を掛けられ、風呂場をチェック。お~、素晴らしい!ちゃんとできたじゃないか!大理石を貼りなおしたところもきれいにできてる・・・あれ?なんで目地がずれてるんだ?しかも端に行くほどずれが大きくなってるんですけど・・・
聞くと今回購入したタイルはオリジナルより僅かに小さかったらしく、端っこを併せていくとそのずれがだんだん大きくなるという。うん、それは分かるよ。でもなんで大きさが違うの?「大丈夫ですよ!No se nota!(分かりませんよ!)」いやー分かるでしょー、見たら分かるでしょー。
ペルーは統一規格ができない国だ。メルカドでよく使われるビニールの小袋もメーカーによってサイズが違うし、安物の食器は厚みが違ったりする。最近でこそマシになったが、ペットボトル入りの水やサラダオイルも量が微妙に違うのだ。工場製品ですら一定にできないんだから、タイルの大きさが違う事もあるだろうよ!
・・・とほほ。
物を購入する前は死ぬほどチェックしないといけないが、終わった後は細かい点に目を向けないことが肝心だ。「ま、いっか」は魔法の言葉。そしてさくっと忘れることができたなら、この世に怖いものはない!あ、だからペルーでは同じものを同じ品質で作れないんだね。だって忘れちゃうんだもん(笑)
その後2日がかりで風呂場と寝室の掃除をし、2週間ぶりにベッドでゆっくり眠った。もうベッドで眠れただけでこの世のありとあらゆるものに対する感謝の気持ちが湧いてくる。なんで有難がってるのか不明だが、すべてにハグしたい気持ちだ。
終わり良ければ総て良し。それがペルー生活の極意である。まだまだイライラする時が多いけれど、今回はとても穏やかな気分で終わることができた。さすがにもう当分修理は嫌だけどね~。こんなそんなの水漏れ修理生活、ご愛読いただきありがとうございました♪