水漏れ修理生活 その3

水漏れ箇所を修理した後、浴槽をどうしようかという話になった。古いものをそのまま戻してもいいけれど、もうずいぶん汚れているしせっかくだから新しくしたい!ということで、フェリックスと一緒にトマス・マルサノ通りへ。リマの方はご存知の、左官工御用達エリアだ。

いくつかの浴槽専門店を見て回ったが、まぁ無駄なデザインが多いこと。底のすべり止めは凸凹すぎて浴槽の中で躓きそうだし、腕を置く部分も妙に大きくて邪魔だし。だいたい湯に浸かる習慣自体ほとんどない癖に、なんで機能ではなく見た目にこだわるのか。こういうのを見ると、ペルー人に人気のミニコンポを思い出す。ビカビカ光る下品なスピーカーがご自慢のあのコンポ・・・この国ではまだ「何かがゴテゴテと付いている」ことが富の証なのだ。

そんな中でなんとかシンプルなデザインを見つけることができた。古い浴槽は長さ140cmで、浴槽と壁の隙間にはタイルが貼られていた。その部分に水が溜まってしまうので嫌だなぁと思っていたところ、フェリックスが「2階は150cmのを設置しましたよ」とアドバイス。それだと風呂場の幅にぴったりなので、仕上がりもきれいなのだそうだ。彼が撮影していた2階の風呂場の写真を見たら、確かにとてもいい感じ。その工事はフェリックスがやったんだから、間違いないだろう。ということでそのサイズで注文。配送は3日後となった。

さて3日後のある日。手伝いをさせるために息子と一緒にやってきたフェリックスは、今日の仕事を手際よく進めた。浴槽も予定通り到着。キズもないし、体重がかかる浴槽の縁や底も注文通りきちんと補強されている。よし!

2人掛かりで浴槽を持ち上げ、そーっとそーっと風呂場へと運ぶ。「気をつけろ、息子よ、ドアにぶつけないように!そうそう、そこを持って、今度はこっちを支えて!じゃあ一度はめ込むぞ。そーっと、そーっと、そー・・・あれ?」

・・・浴槽、入りませんでした(涙)

浴槽の長さは注文通り150cm、風呂場の幅もぴったり150cm。1mmも余裕がないのだから、そりゃ入るわけがない。呆れて言葉も出ない私。息子もパパをじーっと見る。壁にぶつかって斜めになったままの浴槽って、ほんとマヌケで物悲しい。