アタカマ砂漠でインカの天体観測施設発見

チリのアタカマ砂漠で、インカ帝国が天体観測に用いていたとされる、石を積み上げた4基の「サイワ」を科学者グループが発見した。

アタカマ砂漠の標高4200mにあるこれらのサイワは高さが1.2m、昨年3月から6月にかけチリのプレコロンビーノ博物館と国立天文台(ALMA)の科学者により発見され、秋分と冬至の日の出の位置と完全に一致していたことが確認された。

ALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)天文台は9日、「日の出による地面の影から、これらのサイワで秋分や冬至を始めとする天体事象を特定し予測することができる」と公式に発表した。

1年におよぶ分析の結果、科学者たちはこれらがインカ時代の構造物というだけでなく、インカの暦に合致した天文学的な印であるとの仮説を追認。

ペルーの観光都市クスコも、かつてのインカ帝国時代には、天文学的事象の予測に加え、播種と収穫の時期決定にあたり重要だったサイワが周囲に配されていた。

ALMAの天文学者フアン・コルテスは、500年前に作られたこれらのサイワが、天文観測において現在と同等かそれ以上の高い精度を有すと述べている。

インカトレイル(インカ道)を調査していたチームメンバーで歴史家のセシリア・サンウエサが、衛星画像の解析中に今回のサイワを発見した。

これらのサイワは16世紀と18世紀の年代記作者によって記録に残されており、インカ帝国の主要都市間を結ぶインカトレイルの傍らでの確認は初となる。

調査にあたった考古学者の一人、プレコロンビーノ博物館のカルロス・アルドゥナンテは、人気(ひとけ)も何もない場所での発見が興味深いと話す。

専門家は現在、このような人里離れた場所にインカ帝国がサイワを設置した理由を調べている。

(ソース: Gestión 09/04/18)
※写真はペルー・アレキパのサイワ