52人が犠牲となった今年1月のバス転落事故に続き、2日前にもアレキパで長距離バスが崖から落ち44人が死亡する痛ましい事故が起こった。死亡事故発生に何らかの形で影響を及ぼしていると思われるペルー人ドライバー共通の特性を、民間企業Tracklink Octoが独自の調査で追究している。
交通死亡事故撲滅に尽力する同社のロレンソ・ジオダネリ理事は、世界26か国における調査を基にペルーの特徴を次のように見出した。
1. 交通事故および渋滞の元凶、乱暴な運転
国内1万4000台以上の車両を遠隔計測した同調査では、頻繁な車線変更や車間距離の不保持など、概して非常に乱暴な運転を事故と渋滞の主要な原因と捉えている。
2. ペルーにおける環状交差点(ラウンドアバウト/オバロ)の矛盾
環状交差点とは通常、ドライバーに自己規制を促すことで信号の設置(による渋滞)を回避する交通インフラと理解されるが、ペルーでは次のように異なったケースが見られる。①オバロ・ボログネシ→信号が設置されている。②オバロ・モニトール→午前中は警官が信号の代わりに交通整理を実施。③オバロ・グティエレス→自治体の交通整理係が「止まれ」の標識を手に、歩行者用レーンに進入しようとする車両を命がけで制止している。
3. 障害物があっても減速しない
通常の国々とは逆に、自分や第三者の命にかかわるような障害物があってもペルー人ドライバーは速度を落とさない。地雷原では注意して慎重に進むのが理にかなっているように、交差点、もしくは横断歩道を渡る歩行者に接近した場合、人間は普通防衛本能により危険を感知し自動的にスピードを緩めるものだ。
4. 運転マナーの悪さは親ゆずり?
これまた普通の国とは異なり、ペルーでは年齢に関係なく乱暴な運転を何年も続ける。運転の荒い若者も、通常なら年を経るごとに知識と経験を積み慎重になるもの。他の国の例では、年齢別の事故発生率から、18歳のドライバーは40歳のドライバーに比べ自動車保険料が最大で3倍になるケースも。ペルーでは40歳も18歳も事故率はほぼ同じである。
5. 社会階層とは無関係
調査の結果、経済的に豊かでない複数の地区で平均的な運転マナーは良いことが判明。これは文化や経済階層が(乱暴な運転の)口実とはならない証左である。
(ソース: Andina 23/02/18)