第266代教皇フランシスコがペルーを後にした。熱狂的な信者たちにさまざまなメッセージを残したパパ・フランシスコ。テレビや新聞、ネットなど、あらゆる媒体があの優しい笑顔で埋め尽くされた4日間だった。
質素倹約を旨とし、貧しき人々に寄り添い、他宗教にも理解が深く、児童虐待や性的搾取を強く非難しているパパ・フランシスコ。今回もトルヒーヨで「femicidio/女性殺し」に言及し、ともに戦いましょうと呼びかけた。マチスモ文化の影響が色濃く残る中南米は、フェミサイドが多い。2017年ペルーでフェミサイドの犠牲となった女性の数は368人、2016年データでは中南米23か国中8位と、フェミサイド多発国の1つになっている。そんな国で法王がフェミサイドを強く非難することは、大きな意味を持つはず・・・と思いたい。
パパ・フランシスコの笑顔は好きだし好感は持てるのだが、どうしても受け入れられないのは、彼が妊娠中絶に反対していること。カトリックではそもそも生殖目的以外の性行為は罪、だから中絶も避妊もありえないらしい。でもこの考え方こそが、フェミサイドの元凶だと思うんだよね。女性を殴っても強姦しても、それは「ありえないこと」になるのだから。せめて「強姦した者は局部切断」くらいすれば、望まない妊娠で人生を狂わされた女性も多少は留飲が下がるだろう。でも警察も裁判官も政治家も、そして神の使いである司祭までもがみーんな男だから、絶対そうはならない。なぜ世の中こうも不公平なんだろうな。
パパの発言でよかったのは、”¿Qué le pasa a Perú que cada presidente está preso?”。ペルーの歴代大統領がみな刑務所に入っている(入っていた、入るかもを含む)現状に呆れ、ペルーに蔓延する汚職文化を戒めたもの。でもあとでこれを聞いた政府役人たちが、どこまで恥ずかしいと思ったかは不明。頼むから恥ずかしいと思ってくれ~!
パパ来秘に伴い4万人の外国人がペルーを訪問。経済効果は8000万ドル。たくさんの人々が感動し、彼の姿に涙した。パパがペルーを去った翌朝、砂漠の街リマにまとまった雨が降った。どうかこれがペルーにとって恵みの雨となりますように。パパからの大切なメッセージを、しれっと洗い流すようなことがありませんように。