セントロのウニオン通りで、祖国の定番菓子Bombaを売るベネズエラ人青年ヘスス。コマスにあるベネズエラ人コミュニティーで共同生活をしながら、ボンバを売って糊口を凌いでいる。
国立情報統計庁(INEI)によると、 ペルーに暮らす外国人居留者は10万3854人(2016年)。そのうちベネズエラ人は6.3%というから、約6500人である。一方ベネズエラの政治的・経済的危機から逃れてきたベネズエラ人は、すでに4万人を超えている。そのほとんどが不安定な短時間労働か、ヘススのような露天商だ。
ペルー人はもともと優しい国民だし、バスの中でも、物売りがベネズエラ人だと小銭をあげる人が増えるように思う。でもこれだけ急激に増え、自分たちのテリトリーを侵し始めると話しは別だ。昔からそのエリアで働いてきたペルー人露天商にしてみれば、彼らの存在は面白くないだろう。最近ベネズエラ人に対する侮辱行為のニュースが散見されるようになった。小さな嫌がらせはおそらく日常茶飯事だ。
それでもペルー人はやっぱり優しい。ラ・ビクトリア区は、区内の繊維卸問屋街ガマラで無許可営業をしていたベネズエラ人126人を排除するとしていたが、まずはきちんとした営業許可登録をさせることで強制排除には踏み切らなかった。営業許可が失効する9月末以降の対応が気になるが、それでもあと1か月ちょっとは堂々と稼げるのだ。日本で同じようなことが起こったとして、こんな大らかな対応ができるだろうか?
家族全員で国を出たかったけれど、旅費が足りなかったというヘスス。ベネズエラではボンバ=カスタードクリームらしいが、ペルー人の好みに合わせたのか、マンハールブランコ入りも売っていた。その小さな工夫に、なんだか泣きたい気持ちになる。1個2.5ソレスのボンバで家族の旅費が貯まるのは、一体いつだろう。