師走の幕開けは追突事故から

友達とバスに乗っていたら、突然ブレーキが。思わず前のめりになったが、2人とも怪我はなく、ひっくり返った人もいなかった。運転席ではなんだか揉めていたようだが、一番後ろの座席にいたので詳細不明。しばらくして、バスは何事もなかったかのように走り出した。外には白いワゴン車と、物凄い形相でこちらを睨み付ける男性がいた。

しばらくして、バスはまた停車した。どうやらさっきのワゴン車が追いかけてきて、バスの行く手を阻んだようだ。前のほうではさっきよりずっと激しい声がする。しかも何か硬いもので車体を殴っているらしく、「ガツンッ!ガツンッ!」という音まで。その度に声を上げる乗客たち。うわ~、これはちょっと見に行かなきゃ!

野次馬たちを押しのけ、運転席のすぐ側へ。するとバスの運転手と白ワゴンの男性(以下:ワ男)が、ものすごい勢いで怒鳴り合っていた。ワゴン車を見ると、右後部のランプ周辺がちょっと凹んでいる。でも「それくらい擦り傷じゃん」なんて気もしたんだけどな。ごめん、ごめん、もし新車だったら擦り傷だって嫌だよね。借り物だったら賠償もしなきゃだしね。でも、だからってバスを殴っちゃダメでしょう。しかもあんたが手にしてるの、それジャッキだし!

恐らくバスのほうが悪いのだが、無理やり停車させられた上に、相手がジャッキで車体を殴るという暴挙に出たもんだから、車内はみんな運転手の味方に。隣の女の子もひたすら叫んでいて、「ダメよ、セニョール!バスから降りちゃダメ!喧嘩になるわ!」「誰か警察を呼んで!」「事故現場はデルビーよ!」「大丈夫よ!私たちがみんな証人になるわ!」「警察はどこにいるの?」「あ!あそこに警察が!ポリシア~!!」…煩いよ、まったく。

それにしてもワ男はしつこい。運転手が「そんなに警察に行きたいなら、その先の警察署で話そうじゃないか」(こんなきれいに言ってないけど)って言ってるのに、また逃げられると思うのだろう、意地でもその場から動かせようとしない。時間だけが過ぎ、乗客もみな別のバスに乗り換えたいと言い出した。当然だ。私も「急いでるんだからここで下ろしてよ。で、1ソルも返してよ」とコブラドールに詰め寄ったが、「ここはバス停じゃないから、危険です」だって。普段は平気でバス停じゃないところにも止まる癖に、いい加減なもんだ。

20分ほどしてやっと警察が登場。運転手とコブラドール、そして乗客たちもわらわらとバスを降りた。婦人警官を前に多少は落ち着いたようだが、まだ互いに口論している。友達と私はさっさと次のバスに乗り換え、目的地へ。1ソルは返してもらえなかった。

いやー、12月のしょっぱなからこれだ。まったくもう、師走なんだから!日本で交通事故発生件数が最も多いのは12月らしいけど、ペルーもきっと同じ。何をどう気を付ければいいか分からないけど、自分自身で気を付けるしかない。時間と心に余裕をもって、もしぶつけてもぶつけられても、ジャッキを手にすることなく大人の対応を。もちろん自動車保険もお忘れなく~。