ペルーで緊急手術 その3

翌日。頭が冴えてしまってほとんど眠れなかったので、朝5時にまた病院へ。今回は文庫本と携帯の充電ケーブル、水、ビスケット持参という万全の態勢。Wi-Fiフリーの待合室ってステキだわ~。こういうところは日本よりずっと進んでいる。

6時過ぎにDr. Rが来た。「ペルー人は時間を守らない」というジンクスを清々しく打ち破ってくれる、素晴らしい先生だ。集中治療室でだんなを診察した後、「経過は素晴らしく良好だよ。これなら昼前には(ここを)出れるだろう」とニコニコしながら話してくれた。どこまでも前向きに解釈する私は、「え?じゃあ午後には退院ですか?」と喜んだが、Dr. Rは「いや、ここから一般病棟に移れるって話だから」と即否定。昼の面会時間は12時からで、時間はあったがなんとなく帰る気がせず、文庫片手に時間を潰すことにした。

ところで、「集中治療室」と聞いてどんなイメージが浮かぶだろう。青いカーテンで仕切られた大部屋に横たわる患者たち。モニターが「ピッピッ」と冷たい音を響かせている。苦し気に呻く患者と、てきぱきと対応する看護婦たち。そのそばで、院内感染防止の衣服や帽子、マスクを身に着けた面会人が、愛する家族の回復を祈りながら静かに寄り添っている・・・なんて、ちゃうちゃう!

集中治療室に入る前に指示されたのは手洗いだけで、帽子やマスク等は一切なし(しかも昨日の晩は、手洗いすらしなかった)。私物も普通に持ち込めたし、携帯もOK。「あ、オレ、今、病院。うん、●●は元気だよ。心配するな、大丈夫だって!」と、携帯で外の家族に連絡するツワモノまでいた。私も「だんなの記念撮影を(携帯で)してもいい?」と看護婦に聞いてみたら、最初は「ダメダメ、中は撮影禁止よ!」と言ったくせに、辺りを見回して「あ、今ならいわよ。でもこっそりね~」と超ゆるい(その時の1枚が「ペルーで緊急手術 その1」のトップ写真というわけ)。

しかもだんな曰く、ここは看護婦の声も筒抜けらしい。「隣はインフルエンザらしいから、気をつけろ」「俺がここにいる間に、少なくとも2人は死んじゃったよ」とだんな。自分が生死の淵をさまよっている横で他の人が亡くなるって・・・うぅぅ、辛すぎる。ペルーでは、心身共に逞しくないとおちおちと集中治療室にも居れやしない。

だんなの術後は大変よく、午後には一般病棟の個室に移動。ここで数日間安静となった。初日はもちろん絶食、翌日の朝昼は薄味のスープとゼリーだけだったのに、その日の夜から立派な鶏料理が。その後もずっと鶏料理が続いたため、退院後しばらくは我が家では鶏料理が禁止になったくらいだ。まったくどれほどpollo好きやねん!

細かいことは省いてしまったが、友達にも助けてもらいつつの数日間。本当にありがとうございました。そして気になる今回の治療費は、雑費を入れて50数万円。もし保険がなかったら、ブログなんぞ書く気にならなかっただろうなぁ。

そんなこんなの緊急手術・備忘録。我が家の一番の反省点は「痛かったらすぐ医者に行け」。我慢は美徳になんぞなりません。ということで皆さまも、お身体には十分ご自愛くださいね!