第1回ペルー刑務所収監者調査結果公表

国立情報統計庁(INEI)はこの4月、国家刑務所庁(INPE)の協力により全国66刑務施設において初の調査を実施、収監者総数7万7860人の98.8%に当たる7万6180人から回答を得た。

2005年から2015年にかけ全国刑務施設の収監者は130.0%増加、現在の定員超過率は132.0%。収監者の94.0%は男性で平均年齢は36歳、年齢層は35歳未満が52.3%で最多。女性の収監者は6.0%で平均年齢は38歳、25~39歳が47.6%と半数近くを占める。

収監者を出身地別に見ると、リマ首都圏出身者27.6%に対しその他の地方出身者が70.0%と多勢を占めている。内訳はリマ郡(リマ市)24.1%、他リマ州9.0%、イカ州6.9%、ラ・リベルタ州6.2%、アンカシュ州4.4%など。

外国人収監者の国籍別内訳は、コロンビア19.2%、メキシコ14.3%、スペイン14.0%、ボリビア4.9%、エクアドル4.8%、オランダ2.8%、ブラジル2.4%、ポルトガル2.4%、イタリア2.3%、ベネズエラ1.9%など。

スペイン語を母国語とする収監者は全体の88.4%で、人種別ではメスティソ56.2%、ケチュア族12.6%、白人11.0%、黒人10.9%など。

収監者の約半数に相当する3万7989人は既婚もしくは生活上のパートナーを有し、43.9%は独身者。

学歴別では39.8%が中等教育(日本の中高一貫教育に相当)を卒業、一方60.2%は経済的事情(41.1%)、家庭の貧困(19.1%)、就学意欲の欠如(15.3%)、家庭内の問題(5.5%)、家族による就学障害(5.0%)、退学(2.4%)、パートナーによる就学障害(1.2%)、兄弟の子守(1.1%)、刑務所への収監(1.1%)、健康上の問題(0.8%)、その他(5.9%)の理由により中等教育レベル未達。

慢性の肺疾患(4660人)、高血圧症(3574人)、結核(3104人)、鬱病(2147人)、糖尿病(1897人)、不安症(1489人)など、収監者の24.6%が何らかの病気を抱えている。また、44.4%が何れかの健康保険に加入、内訳は健康統合保険(SIS)3万8444人、社会保険(EsSalud)2676人、民間健康保険595人、その他の保険700人など。

収監者全体の24.6%、男性収監者の25.5%が過去に麻薬を使用。年齢層では18~24歳が38.2%で最多。

幼少期、収監者の36.9%が一時的、11.7%は常習的に物理的虐待を受けている。51.3%は幼少期の虐待経験なし。また34.7%が15歳までに家出を経験、29.8%は家族の中に受刑囚がおり、46.1%はギャングやヤクザのいる地区で育ち、34.3%は友人に犯罪者がいる。

収監者の95.6%は、人夫(43.9%)、個人業(33.5%)、会社員(19.6%)など収監以前は何らかの職業に従事。セクター別では一次産業20.9%、商業19.0%など。

収監者が犯した犯罪は、強盗29.5%、麻薬違法取引8.9%、未成年への性的暴行8.7%など。侵害の対象は、財産41.7%、公共の安全19.4%、性的自由19.4%、生活・身体・健康8.4%、家族2.0%、その他3.0%。

収監者が犯罪行為に及んだ地域(大別)は、リマ郡(リマ市)30.3%、カリャオ6.2%、ラ・リベルタ州6.2%、クスコ州4.5%、イカ州4.4%、リマ首都圏を除くリマ州3.9%、ピウラ州3.8%、アンカシュ州3.8%、ランバイエケ州3.7%、フニン州3.7%、アヤクチョ州3.4%、ワヌコ州3.3%、カハマルカ州3.0%、ウカヤリ州2.9%など。

上記の地区別詳細は、カリャオ4.0%、リマセントロ区3.9%、SJL区2.9%、トルヒーヨ1.7%、アテ区1.6%、ラビクトリア区1.5%、チクラヨ1.4%、コマス区1.4%、SMP区1.4%、チンボテ1.4%、カジェリア(ウカヤリ州)1.2%、VES区1.2%、ロスオリーボス区1.1%、イカ1.1%、SJM区1.1%など。

犯罪行為に及んだ場所は、公道上50.8%、被害者宅12.2%、自宅8.1%、野原6.7%、銀行・娯楽施設等5.1%、職場3.1%、自家用車内3.1%、その他10.9%。

収監者による武器を使用した犯罪行為は、主にピウラ州(25.0%)、ラ・リベルタ州(23.8%)、トゥンベス州(23.7%)、リマ郡(23.2%)、カハマルカ州(22.0%)、ウカヤリ州(21.7%)、ランバイエケ州(21.3%)、アマソナス州(20.5%)、イカ州(20.1%)などの地域で発生。

犯罪行為に用いられた武器は、火器76.5%、刃物20.7%など。使用された火器の52.3%は自身の所有で、36.8%は正規購入品、収監者の43.5%が15~17歳の時点で火器による犯罪に加担。

調査時点では全国収監者の48.7%が既決囚、51.3%が未決囚。一方、アレキパ州では80.4%、ワンカベリカ州では76.5%とそれぞれが既決囚の割合が多い。収監者の69.1%が労働作業に従事、年齢別では30~44歳が44.0%で最多。

尚、出所後の希望は、就職92.9%、就学13.4%、旅行4.9%、帰国(外国人収監者)1.4%など。

(ソース: INEI)