日秘会館の1階ギャラリーで開催されている写真展「戦後日本の変容」。戦後1945年から1964年にかけての社会の変化や、その時代を生きる人々の素顔を収めた貴重な写真123点を集めたものだ。国際交流基金主宰で、イギリスを皮切りに北米、ホンデュラス、コスタリカ、ペルーと海外を巡回。次はインドネシアに向かうという。
戦後日本を代表する名写真家11人の作品をじっくり楽しめるという貴重な写真展。といっても、無知な私がすぐ反応できたのは、お恥ずかしながら土門拳だけだったが。でも、じゃこの人は?と調べてみると、例えば三島由紀夫のあの強烈な裸体写真を撮った公細江英や、昭和を代表する文士たちを撮り続けた林忠彦など、その作品に見覚えのある人が多く、後から「さすがだな」と納得した感じだ。
トップは濱谷浩の作品(1957年)。青森の小さな温泉に、老若男女がぎっしり浸かっている。それこそ芋の子を洗うような状態だがいやらしさはまったくなく、とても自然だ。女性専用席とかなんとかうるさくなった現代からは考えられないほどの大らかさ。「いい湯があるから、あんたもあったまっていらっしゃい」と互いに声をかけるうちに、あらこんなにいっぱいに、みたいな。優しい作品。好きだなぁ。
この写真展は3月12日までAPJのギャラリーで開催。日秘会館に行かれた際にはぜひお立ち寄りを。館内は冷房ばっちりで、夕涼みにももってこいです。