Sonidos Vivos ルーチョ・ケケサナ コンサート

昨夜5月27日、ルーチョ・ケケサナ(Lucho Quequezana)のコンサート「Sonidos Vivos」に行ってきた。場所はリマの国立競技場。座席はなんと、すっごく前!

ペルーの国民的音楽家であるルーチョは、25種類以上の楽器を弾きこなす若き音楽家。彼は9年前から始めた音楽プロジェクト「Sonidos Vivos/生きた音楽」で、世界各国のさまざまな演奏家たちと、国や文化を越えた音楽づくりを目指している。日本との縁も深く、2013年には日秘外交関係設立140周年記念としてリマで、2014年には日本で公演(秋篠宮両妃殿下と眞子様、佳子様両親王もご出席)を行っている。
ルーチョ・ケケサーナ・コンサート02

ルーチョのプロジェクトに賛同するのは、日本(尺八)を始め、トルコ(ウード)、ベトナム(ダン・バウ、二胡、ケーナ他)、ベネズエラ(フルート、ケーナ、サンポーニャ他)、コロンビア(ベース)、カナダ×2人(パーカッション)、ペルー×3人(サンポーニャ、トヨ/巨大サンポーニャ、ギター、キーボード)。※それぞれに素晴らしいプロフィールがあるけれど、長くなりすぎるので割愛します。

40分遅れのコンサートは、熱狂的なファンの歓声とともに始まった。パーカッションの力強いリズムと、ケーナの透明な響きが会場を包む。その豊かな旋律は、時にはアンデスの峻険な峰々を、時には中央アジアの広大な大平原をイメージさせる。とは言え、牧歌的という訳ではない。近代的で自由なエネルギーに溢れた、生きる喜びを感じさせてくれるような音楽だった。ルーチョ・ケケサーナ・コンサート03

それにしても、さまざまな楽器の特徴を知り尽くしたルーチョの作曲だけあって、どの曲も各々の良さが存分に引き出されている。全部で14曲ほどあったが、どれもオリジナリティーに溢れ、まったく飽きることがなかった。「華奢で繊細なイメージのフルートに、あんな挑戦的な一面があったのか!」「侘び寂びの代名詞のような尺八に、あんな現代的な演奏法があったとは!」「思いっきり中華風なダン・バウの余韻が、ケーナのストレートな音にあれほどの奥行きを持たせるなんて!」と興奮しきり。またウードの哀愁漂う音色も素敵。そこにエキゾチックなトルコ民謡の歌声が重なり、観客たちを魅了していた。ルーチョ・ケケサーナ・コンサート04

13曲目はSonidos Vivosのメンバーに、17歳の青年が加わった。ルーチョがfacebookで呼びかけたカホン奏者募集で、この日選ばれたのが彼なのだ。ビデオでは確かに上手かったが、とはいえこの子はまったくの素人。でも「音楽ってプロとかアマとか人種とか身分とか、そういうのを越えたものだよね」というルーチョにとって、彼が自分たちと一緒に楽しんでくれたらそれでハッピー!なんだろうな。そんなルーチョの懐の深さや、エイヤッと演奏しちゃう青年の度胸の良さがペルーらしくていい。そして、こういうジョイントをいとも簡単に実現させてしまうカホンも、本当に魅力的な楽器だ。ルーチョ・ケケサーナ・コンサート05

途中小雨が降ったり、頭上を飛ぶドローンのモーター音が煩かったり、前の席のおばさんが帽子を振り回して踊り始めたり、なんかびっくりすることもあったが、とにかく素晴らしいコンサートだった。Sonidos Vivos、また機会があったら絶対行こう。日本の方もぜひ一度。「ケーナ?サンポーニャ?なんか田舎くさそう~」なんて思ってる方、目から鱗ですよ!