労働コストを下げ若年層の正規労働市場への参入と職務技能向上を促す新労働法第30288号が今月11日国会で可決された。しかし労働者の保護などに問題があるとして各方面から不満が続出、街中ではこのところ学生を中心とした抗議活動が続いている。
現行の労働制度が崩壊するとまで批判されている中、この新制度における5つの疑問点について「労働者側のインセンティブ」の観点からエル・コメルシオ紙が次のように解説している。
1. 若年層の雇用に伴い25歳以上の従業員が解雇されるのでは?
新法(新若年労働者制度)の第22条では、同一のポストや職務において、新制度下で労働契約を締結した若者と(自社の)従業員を入れ替える目的での解雇を明確に禁じている。斯様な状況下で解雇された従業員は労働省に対し当該使用者を告発できる。罰金の額はS/.76,000。また、使用者が雇用可能な新制度下の若年層 (18~24才)は総人件費の最大25%までと定められている。
2. 若年労働者には働くメリットが何もないのでは?
18才から24才までの労働者には退職金および定期賞与制度が適用されず、かつ年間休暇が15日しか付与されないと新法に規定されてはいるものの、労働上のメリットが皆無ということではない。非正規の労働者にくらべ、新制度下の正規労働者は健康保険制度 (EsSalud)ならびに年金制度加入の恩恵が受けられるとともに、残業代の支払いや法定休日が適用される。また、正当な理由に拠らない解雇の場合には、若年労働者にも勤続年数×20日分相当給与の補償金が支払われる(一般労働者は勤続年数×45日分 / 双方共に上限有)。
3. 新制度は現行の制度と比べて劣化しているのでは?
参考比較表のとおり、新若年労働者制度は零細企業および農業従事者向けに作られた制度に非常によく似ている。さらに、解雇補償金などより良い条件となっている項目もある。
4. 現在の若年正規労働者の権益が損なわれるのでは?
新制度は給与台帳に現在登録されていない(正規従業員として働いていない)か、90日以上無職の状態にある18才から24才までの労働者に適用されることになっている。すでに正式な労働契約下で雇用されている同様の若年層については、現行契約上に規定された条件の維持が新制度の第三条に明示されている。また、現行の一般労働制度下で正規従業員として働く若年労働者の労働契約が新制度施行後に終了し、同一使用者と再度雇用契約を締結する場合においても、一般労働制度下の条件が引き続き適用されるとしている。
5. 使用者にその気がなければ教育訓練は実施されないのでは?
新制度の第19条には、使用者は若年労働者に対しその生産性及び資質向上のため教育訓練の義務を負うと明示されている。第20条では、若年労働者人件費の2%を上限とした教育訓練費用を使用者側の所得控除適用対象と定めている。これらは若年労働者が新制度下で職務技能やスキルを身に付けることができるという新制度の骨子のひとつでもある。また使用者は、中等教育課程を終えていない従業員に対し、労働契約締結後2ヶ月以内に当該課程を再度修養するよう要請しなければならない。
(ソース: エル・コメルシオ)