紀元前300年にはすでに日本で最初の一滴が造られていたであろうといわれる日本の心、「SAKE(酒)」。フランスを始めアメリカやオーストラリアなど世界のグルメたちが今、この日本酒に熱い視線を注いでいる。
去る11月1日、ペルー初の本格的な日本酒試飲会「SABE A SAKE(酒を味わう)」が開催された。日本酒の歴史や美味しさをペルーの人たちにも知ってもらおうと、在秘日本大使館とペルー日系人協会の協力により実現したものだ。第42回日本文化週間の一環として行われたこの催しは、ペルーグルメ界に一石を投じる貴重な機会となった。
日本酒の素晴らしさやその可能性について語ってくれたのは、日本酒文化を世界へ広める活動をおこなっている酒サムライ事務局と、創業1886年という群馬の蔵元永井酒造株式会社。今回試飲させてもらった酒は6品、いずれも永井酒造自慢の名酒ばかりだ。
右から、開会の挨拶をされる株丹達也特命全権大使、酒サムライ事務局の入江啓祐氏、永井酒造6代当主・永井則吉氏、そして通訳氏。
入江氏と永井氏によって日本酒の歴史やその製造方法、日本酒の種類やワインとの違いが説明された。それに合わせて、さまざまな映像やグラフがスクリーンに映し出されていく。会場の関心は高く、時折驚きや感嘆の声があがっていた。
例えば日本酒はチーズによく合うと言われているが、それは感覚的なことだけではなく、日本酒に含まれる乳酸に由来するのだとか(日本酒には、その他コハク酸とリンゴ酸も含まれている)。またうまみ成分であるアミノ酸が含まれていることも、日本酒の大きな特徴。ワインにはこの乳酸とアミノ酸は含まれていない。
さてお待ちかねの試飲開始!スタートはなんと日本初の発泡性清酒から。酒造りにシャンパン製造の技術を応用したというそれは香り高く、泡も細やか。この MIZUBASHO PURE は、2009年にあのエル・ブリでも採用されたそうだ。「日本酒で乾杯をして欲しいと思った」という永井氏の想いが、世界のトップシェフをも魅了したと言えよう。
続いて純米吟醸、特別本醸造、純米大吟醸プレミア、純米大吟醸2004年ヴィンテージ、そしてデザート酒が振舞われた。大吟醸プレミアはセビーチェに、ヴィンテージはカウサに合うとのことで、一口サイズの料理もサービスされた。うん、確かに合う。特にヴィンテージは香辛料を多用するペルー料理にもまったくぼやけることなく、カウサの美味しさを際立たせていた。
「食前から食後までを通して日本酒を提供するスタイルを永井スタイルと呼んで、世界に広めようとしています」と永井氏。また海外で6種類もの日本酒をプレゼンするのは、ここリマが初めてとか。そんな貴重な場に招いて頂いたことに深く感謝。
活発な質疑応答の後、なごやかな雰囲気のなかイベントは終了。これを機に日本酒の輸入が活性化されるだろうと思うと、日本酒を愛する者の一人としてワクワクせずにはいられない。
ペルー料理と日本酒。世界が注目する両雄によるマリアージュが、ここリマから始まろうとしている。