コピーかオリジナルか

久しぶりに新1ソル記念硬貨が登場した。今回のワカ・デ・ラ・ルナ(月のワカ)は、第1弾のトゥミやマチュピチュに続く人気の遺跡(や考古学遺物)だ。いつもの20%増しで製造されたことを考えても、ペルー中央準備銀行の強気ぶりが窺える。

この人気コインを手に入れようと、ペルー中央準備銀行博物館の周辺には大勢の人が並んでいた。しかし毎度のことながらスタッフの要領が悪く、本当に呆れてしまう。張り紙とか貼ればいいのに、来る人来る人に同じことを説明して、また尋ねる人も自分のすぐ前の人が何を尋ねているのかまったく聞いてないから、驚くほど同じ質問をする(こちらの過去ブログを参照)。そこが愛らしいとも言えるが、初めての新1ソル硬貨が出てから早や4年。まったく成長していないのはどういうことだろう。

新1ソル用のアルバムの表紙長蛇の列のすぐそばに、何やら人だかりができていた。覗いてみると、新1ソル硬貨をはめ込むコレクション用アルバムが売られているではないか!

実はこのシリーズが開始された当初、中央準備銀行側もコレクション用アルバムを出していた。しかしその後はずっと在庫切れで、今ではすっかり幻のアイテムだ。

一瞬欲しいと思ったが、表紙も違うし、中もおかしい。次にどの州のどの遺跡が登場するかは誰にも分からないはずなのに、すでに順番が書き込まれている。しかも、オリジナルにはない「ペルーの天然資源3種」や、ソルの補助通貨「センティモ」を入れる穴まで作ってるし~!

ペルー人はこういうニッチな商売が本当に上手い。ホンモノを扱ってる博物館のすぐ横で悪びれずに売っちゃうところも、見て見ぬ振りをしちゃう中央準備銀行のスタッフも良い感じ。この適当文化が日本にもあればな~。自殺なんて絶対減ると思うよ。

路上でコレクション用アルバムを売るお兄さん博物館から数ブロック離れた場所で、別バージョンのアルバムを売っているお兄さんがいた。こちらはセンティモを入れる穴はない。その分5ソレスと安かった。

彼は、第1弾から第16弾まで+ペルーの天然資源3種+現在流通しているマルカペルーバージョンの1ソル硬貨を揃えたアルバムを80ソレスで売っていた。原価はアルバム代を入れて25ソレス、約3倍である。

「今じゃトゥミなんて、1枚15ソレスはするよ!これからどんどんプレミアが付くよ!」とお兄さん。確かにね。「いつもここで売ってるの?」って聞いたら、「うん、だいたいここにいるよ。警察が来たら逃げるけどね」と。こういう猥雑さがペルーの良さなのになぁ。現市長は露天商の取り締まりを強化してるから、彼らも大変だろう。

それにしても、考えてみればこのお兄さんは結構良心的かも。今80ソレスで買っておいて、将来全部そろえて150~200ソレスで売ることだって可能だよね?また近々行ってみようかな~。彼が取り締まりから無事逃れられますように。