この前の金曜日。旧市街にある大統領宮殿を見学しようと、リマ市役所が運営する観光用ウェブサイトに掲載されていた番号に電話した。そのサイトには「事前に電話予約しろ」「大統領宮殿観光本部の電話番号はここ」「見学は土曜日の午前10時から」となっていた。
電話すると女性が快く応対してくれたが、「見学は日曜日の午前10時からよ」と。何ら問題ない。時間の変更はよくあることだ。名前と身分証明書番号を伝え、この4月6日の日曜日に予約を入れた。
女性は「カメラはいいけど、短パンはダメよ」と教えてくれた。そりゃそうだ。大統領宮殿なんだもん、ちゃんと敬意を表しなきゃね。
で今朝、張り切ってセントロに行ってきた。折しもアルマス広場ではセニョール・デ・ロス・ミラグロスの行列が行われており、アルマス広場は青紫のマントを羽織った敬虔な信者たちに埋め尽くされていた。あー、これも観たいんだけどなー、でももうすぐ見学時間だしなー。9時50分までそれを眺め、大統領宮殿に向かった。
電話の女性に指示された場所に行くと、まだ扉は閉まっていた。そこにいた警察官に声をかけ、見学のことを聞いてみた。
(K)「今日の10時からの大統領宮殿の見学を予約しているのですが、ここであってますか?」
(警)「えっ、見学?確かにここだが・・・、あんた一人かい?」
(K)「はい」
(警)「Que extraño!(なんておかしなこった!)本当に一人?旦那は?子どもは??友達は???」
(K)「一人です。でもどうしてですか?一人はダメなんですか?」
(警)「いや、そういう訳じゃないけどね。でも普通こういうのってさー、ほら、3人とか5人とかばーっと来て、みんなで一緒に見るもんじゃない?」
(K)「夫は仕事だし、子どもはいません。だけど私は時間があるんです。だから何故一人はダメなの?一人だと見学できないの?」
(警)「いや、そういう訳じゃないけど・・・でも・・・extraño no?(変だろ?)だって普通は旦那とかさー・・・」
(K)「だからなんでやねん!なんや、ここは女一人で来るの、禁止なんか?」←この辺からたぶんむっちゃ関西弁スペイン語。
(警)「いや、そういう訳じゃないんだけど・・・でも・・・」
(K)「この国は女が一人で歩いたらあかんのんか!」
(警)「いや、そういう訳じゃないけど・・・」
(K)「ほな、何が言いたいねーん!!」
とほほ。
確かにこの国には、妻や恋人が一人で外出することをよしとしないマッチョ男は少なくない。愛情もあるが、やたらと嫉妬心が強いのだ。つい先日もそういう旦那を持つ女性に会ったところだったから過剰反応してしまった。
だって彼女、「だんなが一緒について来れない時は、その用事を断る」とまで言ってたんだもん。それこそ「Que extraño!」
すったもんだしてたら重厚な扉が開き、気難しい顔をした黒服たちが出てきた。こんなマッチョ警官に尋ねたからあかんかったんや、と気を取り直し身分証明書を提示すると、なんと私の名前が登録されていないと言うではないか!
(黒)「見学者リストに名前がないからダメですね。事前に予約してください」
(K)「でもちゃんと電話して予約しました」
(黒)「どこへ電話したんですか?」
(K)「政府系サイトにあった番号ですよ。ちゃんとアテンドされました。
(黒)「Que extraño・・・(おかしいですねぇ・・・)しかしいずれにせよ、このリストにあなたの名前がないから今日はダメです。」
(K)「きーーーーっっっ!!!」
ぎゃーぎゃーいう私を横目に、他の観光客が次々と入っていく。なんかもー、やだー、ペルー!政府系サイトに騙されるなんてー!
ひとしきり粘ったけどダメだったので諦めた。念のため黒服に見学時間を確認したら、「土曜日は9時から、日曜日は10時から」とのこと。なんや、土曜もやってるやん。ってことは、あの電話に出た女はやっぱりモグリやったんやな。
すぐに帰るのは癪だったので、カテドラルやその他の観光スポットを2か所ほど回って帰路についた。いつもは有料のカテドラルも、セニョール・デ・ロス・ミラグロスのミサが行われる直前だったので、一般公開されていたのだ。ああ、神様は私を見捨ててなかったのね、ありがと。
ちなみに、自宅でもう一度電話番号を確認したけど、やはり大統領宮殿管轄の番号に間違いないと思われる。ってことは、あの電話の女がミスったとしか思えない。そう言えば彼女も「予約は一人だけ?」と何度も確認していた。そんなに女が一人で観光するのが珍しいのか?
さて、次はいつチャレンジしようかなぁ・・・という大統領宮殿見学。今度は「一人?」って言われないよう、誰か一緒に行ってください。