日本ではこの7月にTV地上波放送のデジタル化が実施されました。ペルーでは日本政府の協力によるISDB-T方式の導入が決まってはいるものの、各家庭のアンテナで受信できるのは未だローカルのアナログ放送数局に限られているため、マルチチャンネル視聴はケーブルTVや衛星放送に頼らざるを得ません。
同種のサービスを大雑把に比較すると、M社が164チャンネルで月131ソレス、C社が169チャンネル/月113ソレス、D社は135チャンネル/月114ソレス(注:本日現在/音楽配信含む)。他に廉価版もありますが、平均的なプランでは各社とも月当り100ソレスを超えています。
ところが、リマを離れて地方に行くと、同様のチャンネル数が月30ソレス(900円くらい)で見れてしまうのです。これについては以前から不思議に思っていたのですが、ある事件によっておぼろげながらそのカラクリがわかってきました。
ペルー南部に蒸留酒で有名なピスコという街があり、地元のケーブルTV局が他局の番組を不法に流しているという事実が最近発覚しました。その手口は、巨大なパラボラアンテナで受信した衛星波や他局の地上波、ネット上のコンテンツなどを自局のケーブルを通じて契約者に配信するというものです。
各家庭へのケーブルは当然町の電柱から接続されているはずなので、その辺の許認可システムも気になるところです。このケーブルTV局、実は現職国会議員が所有しており、さらに同市の市長も関与しているようなので、推して知るべしといったところでしょうか。
一昨年末に公開された映画「Avatar」が、年明けに地方のテレビで普通に放映されているのを見て驚愕した記憶があります。ハリウッドをも恐れないペルーの地方ケーブルTV局ですが、今回の件が波及し違法配信トレンドに歯止めがかかれば、安価でのサービス提供が困難になりビジネスモデル自体の見直しを迫られていくことになるでしょう。