Laguna de Ñahuinpuquio(ニャウインプキオ湖)にて。右奥にいるのは、アンデスに生息するアヒル、Huachua (ワチュア)。普通のアヒル(手前)に比べ体は小さめ、くちばしも短く、顔立ちが穏やか。
まずはワンカヨという街についてのご紹介を。ペルーの中央アンデスに位置するフニン州ワンカヨ郡の首都、Huancayo(ワンカヨ)。アンデスと書いたけど、地理的にはアンデス地域とアマゾン地域のちょうど間くらいにあってアンデストレッキングもできれば、日帰りでアマゾンにも行けるという面白い地域。
ワンカヨと聞いて必ず出てくるのが、「Valle del Mantaro(マンタロ渓谷)」。中央アンデスとその西側の山脈の谷間を流れるマンタロ川が作り出す、全長約53kmの美しい渓谷だ。
この地域は、美しく豊かな農業地帯として有名。「ワンカヨに行くんだよ」というと、ほとんどのペルー人が「マンタロ渓谷だね!あそこの景色は素晴らしいよ!」と言った。実際、こんなに緑豊かな美しい田園風景が見られるとは思ってなかったので、それだけで感動してしまった私。ペルーにはまだまだ知らないところがいっぱいだ。
ケチュア語で「花を摘む場所」という美しい名を持つ
Cordillera del Huaytapallana(ワイタパジャーナ山脈)。(huayta=花、pallar=拾い集める。)そして、右のちょっとうす暗く写ってるのが、最高峰ワイタパジャーナ山(標高5557m)。万年雪を頂く山に「花摘み場」なんて、もしかして、あの山には誰も知らない秘密の花園があるとか?
もともとこの辺りはWanka(Huanca/ワンカ)と呼ばれる王国があった。彼らは好戦的で、しかし見事な農耕技術を持っていた民族だったらしい。インカ帝国と激しい戦いの末併合されたが、独立心旺盛で、スペイン軍がこの地にやってきた時はスペインと同盟を結び、インカの残党と戦ったという。
ワンカヨから約6kmほど南に行ったWarivilca(ワリビルカ)の村。ここがワンカ族の始まりの地。広場には始祖とされる、男女の像もある。
心臓破りの325段の石段(だってここは標高3456m)を登って、インカ時代の食物倉庫跡Arwaturo(アルワトゥロ)を見に行った。遺跡自体はインカのものらしいが、ワイタパジャーナ山脈と前述のニャウインプキオ湖を見下ろすこの場所は、そのずっと遥か昔から聖なる地だったらしい。
ちなみにアルワトゥロとはケチュア語でArwa=焼けた、焦げた turo=骨。ここから1万4000年前のものとされる人骨が発見された。マンタロ渓谷で発見された人骨の中で、最も古いものだそうだ。
ワンカヨで一番古い村、Chongos Bajo(チョンゴス・バホ)へ。ここには1556年に作られたCani Cruz=Curz de Muerte(死の十字架)と呼ばれる古い十字架がある。キリスト教の司祭がこの十字架に問うと、異教徒の場合「死罪」とのお告げがあったそうな。一方的なお告げ、一方的な死。
現在は「奇跡の十字架」として、村人の信仰を集めている。この日も多くの信者が花束をささげ、椅子に座って願い事をしていた。
黄金目当てにやってきたスペイン人に国を滅ぼされ、信じてきた神をも否定され。なのに今は、本国スペインより熱心にカトリックを信仰している。なんだか微妙な気持ちになる。
このなんともやりきれない微妙な気持ちは、食事でリフレッシュ♪本日のお昼は大地の鍋パチャマンカと、アンデスのご馳走クイ。
ちなみのこのワンカの地域では、牛、豚、雄鶏、雌鶏、羊、ウサギ、クイの7種類の肉でパチャマンカを作るんだって!今度はウサギのパチャマンカに挑戦してみたいなぁ♪
テーブルでは、私たち4人とクスコに住むオランダ人の女性が同席になった。彼女はクスコでスペイン語を勉強しながら、ちょっと働いてちょっと観光するというなんとも素敵な暮らしをしてるらしい。 欧米人は本当に自由だ。
ワリビルカで約1300年前のワリ時代の遺跡、Huancan(ワンカン)を見学。四角い2重構造の壁に囲まれていて、中にはいくつもの水路や井戸がある。遺跡の外にも井戸があり、水を崇めていた文化であったと推測される。現在はアメリカ人考古学チームによって、発掘中。
って、1300年前のものってわかっているのに、地元では、「ワンカの最初の男女が作った遺跡」とも言われているらしい。いやいや、一番古い骨はアルワトゥロで発見された1万4000年前のものでしょ?計算、ずれてるって(笑)
ワンカンの2重構造の壁の間から発見された女性の骨。推定22~25歳。頭に2か所殴られた跡があり、また手首、足首を片方ずつ切断されていた。腹部にも切られたような傷があり、生贄にしては激しい殺し方だなぁと驚く。
生贄と思しき女性や子供、犬やクイのミイラの他、様々な焼き物や石器、壺などが出土している。またこの遺跡の真上には、南十字星があるらしい。
田園風景を楽しみながらの南部考古学ツアーは終了。
ツアー添乗のお姉ちゃんがまったくダメで、参加人数さえ把握していないというお粗末さ。でも現地ではちゃんとガイドがいて、きちんと説明してくれるし、とにかく景色が申し分ないので、とてもよかった。
農業だけでなく、観光にも力を入れているワンカヨ、見どころに合わせて、様々なツアーが用意されている。ワンカヨ市内と近隣の織物や銀細工の町を散策するツアー、今回私たちが参加した、遺跡見学と湖を訪れるツアー、ワイタパジャーナ山脈をトレッキング、氷河や湖を訪れるツアー、アマゾンの村やジャングル、コーヒープラントを見学するツアーなどなど。ここからジャングルに行けるって知ってたら、それなりの準備もしてきたのになー。
Plaza Constitución(憲法広場)に行けば、旅行代理店のチラシ配りがたくさんいるので安心。英語ツアー希望の人はこちらで。最初、この旅行代理店が経営するホテルに泊まろうと思って色々やりとりしたが、英語OKで、とても対応がよかった。(列車の出発が延期になったため、空室がなく泊まれなかったのだ。)値段はちょっと高そうだけど、ロンプラ一押しの代理店みたいです。