アレキパ旅行 白い街に眠る永遠の美少女・フアニータ

アンパト火山の美少女フアニータは、人類学者Johan Reinhard氏とアレキパ・聖マリアカトリック大学の合同調査隊による「南アンデス霊峰プロジェクト」の23年以上に亘る学術調査の結果、1995年9月8日に発見された。

このインカ時代の少女は推定12~14歳で、当時の神官たちの手により山の神に捧げられた後およそ500年の間アンパト火山(標高6380m)で眠り続けていたが、サバンカヤ山の崩落がきっかけとなり、学術的調査のため今日われわれの前に再び姿を現すことになった。

少女には巫女となるための数多くの儀式が執り行われた。出身地の高官から成る延臣の一団に随行されインカ帝国の首都クスコへと向かった少女は、そこで直々に皇帝の神性を託されるが、二度と帰ることのない旅路の果てに山の神々の御許へと自らを捧げる責務、すなわち死の現実にその瞬間から向き合うことになる。

盛大な儀式と祭典の後、まどろんだ少女は右眉骨への棍棒による一撃を受け死に至ったと思われる。調査の結果、この少女は苦しまずに絶命するよう絶食させられていたことが分かってきている。

さらに、体内に残るウイルスや細菌が存命中の少女の健康にどのような影響を及ぼしていたのか、またミトコンドリアDNA解析による血縁関係の解明や当時の絶食の手法など、わたしたちにこの少女が自らもたらしてくれるであろう情報は尽きない。

この美しいインカ時代の少女のミイラは聖マリアカトリック大学の展示室に大切に保存され、科学者による調査が現在も進められている。

*(以上聖マリアカトリック大学聖アンデス博物館紹介より引用:筆者訳)

約500~550年前、アンパト山の北西に位置するサバンカヤ山 (Volcán Sabancaya 標高5976m) が噴火した。

インカ帝国の王は山の神々の怒りを鎮めるため 一人の少女を神に捧げることを決める。後にフアニータ (Juanita) と名付けられたこの選ばれし美少女は身長145cmで、当時のモンゴロイド系少女としてはとても体格に恵まれていたようだ。

彼女は山頂に埋められていたと推測されるが、 実際には数m滑り落ちた位置で発見されている。顔に凍傷の跡、額に雷を受けた跡がある。副葬品のビクーニャやリャマ、アルパカの像のなかにも落雷で熔けた物があった。

しかしながら、乾燥した土壌と氷河に守られた少女の体は、手や指、爪、眼球までもがきれいに残った驚くほど良好な状態で発見された。

少女が身に着けていたマントや羽の帽子、サンダル、人形や大小さまざまな壷なども出土し、在りし日の姿を明確に知る事ができる。

ガラスケースの中にいる実際のフアニータは、 氷河の中と同じ=霜(氷)がついた状態で保存されていた。 8ヵ月ごとに一度ケースから出して、適度な湿度を与えているそうだ。

細く柔らかそうな髪、頬、目・・・ 今にも動き出しそうだった。