西本智実指揮・ペルー国立交響楽団による「ペルー共和国独立記念演奏会」がリマの国立劇場(GTN)で行われた。プログラム前半はセルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第3番、ソロはペルー人ピアニストPriscila Navarro。後半はチャイコフスキーの交響曲第5番。
容姿端麗、才色兼備。彼女の公式サイトのほか、ネットにはさまざまな情報が溢れているので、詳細についてはそちらをどうぞ。個人的には大阪出身ということと、「今宮って昔ブラバンが優秀だった高校だよな~」(←私もブラバンだったので)という点が気に入っている(笑)
前半はピアノソロ。ステージの正面中央にグランドピアノが置かれたため、指揮者がほとんど見えなかったのは残念。でもソリストの超絶技法には心底感心した。彼女は2012年のショパン国際ピアノコンクールで優勝し、翌年にカーネギーホールでデビューコンサートを開催した実力者だ。
ピアノが取り払われた後半は、西本智実が創る音楽をじっくりと。メロディーをいざなう優雅な左手、リズムと力強さを求める右手、わずか60~70㎝四方の狭い指揮台の上を、まるでステップを踏むかのように軽やかに動く。時々、彼女が足を踏ん張った音まで聞こえた(演奏全体を考えると、あの音はアウトだと思うけど…)。燕尾服姿の彼女はタッパもあり、どちらかというと男性的。でも滑らかな手の動きは女性ならでは。友達が「まるで宝塚!」と言っていたが言い得て妙。まさに威風堂々、素晴らしい。
演奏も後半のほうがずっとよかった。音の厚みが増し、一体感があった。「ペルー交響楽団ってやるじゃん!」と思わせる演奏。終了後は客席全部がスタンディングオベーション。割れんばかりの拍手がコンサートの成功を物語っていた。
それにしても華のある指揮者だったなぁ。存在感があり、美しい。まさに天賦の才と言えるだろう。ピアニストちゃん(の見た目)があまりにパッとしなかったので、更に強調されてしまった。容姿端麗かどうかは音楽に関係ないが、カリスマ性は重要だ。録音ではなくステージなのだから、やっぱりエンターテイメントとしての要素がなければね。
あとで西本智実のブログを覗いたら、「ペルーでインカコーラとウニャ・デ・ガト、あとチリモヤを食べた」とあった。大使夫人、ナイスアドバイス!あと「楽章間の客席の静寂がすごい」とも。それはですね~、配られたパンフレットに「Guía del Aplauso(拍手のマナーについて)」という短冊が挟まれていたからですよ。クラシックに対する知識や経験が浅いペルーだからこそ、劇場側が観客を育てていかなければね(五嶋龍の時は、客だけでなく運営側が最悪だった!)
お蔭でペルーには珍しく、演奏中一度も携帯はならなかったし、立ち歩く人もいなかった。色んな意味で満足なコンサート。次回はぜひ和太鼓と一緒に来てほしい。