「Exposición y Venta de Cucharas de Madera y más …」に行ってきた。アンデスのアヤクチョで作られる木彫りのカトラリー等の展示販売会だ。主催者はPituquitaオーナーの寺澤 園さん。ちなみに「ピチュキータ」とはスペイン語で、「ちょっとスノッブな女の子」という意味。
テーブルには、手仕事とは思えないほどすべすべに磨き上げられた大小さまざまのカトラリーが並んでいた。その柄には、アンデスの小鳥たちや可憐な小花、ビクーニャなどが品よく施されている。いずれも繊細ながら、見た目以上にしっかりとした重さがある。皿なら軽くても良いが、道具として機能するカトラリーに適度な重さは重要だ。これならしっかりと手に馴染むだろう。
材料はペルー原産のタラの他、パウカやウンカというアンデスの木。マメ科植物のタラの実には抗菌作用があり、昔から潰瘍などの治療に使われてきた。フェリアなどでタラのお茶が売られていることがあるので、ご存知の方も多いだろう。でもパウカやウンカは初めてきいた。ケチュア語らしくネットで調べても出てこないが、白木で硬く質量のあるそれらの木は、カトラリーに持ってこいだ。
園さんが惚れ込んだこの美しいカトラリーを生み出すのは、アヤクチョから更に奥に入った小さな村の職人親子。もともと木彫りが特産の村で、父親は家具などを作っていたそうだ。息子は北米で行われる工芸品のフェリアにも出品するほどの腕前。ただそれだけで生きていくのは難しく、「リマに出て、タクシスタにでもなるか…」と悩んでいたという。こんな素晴らしい職人技を失うなんて!と思った園さんは、「いいから作ったものを全部送ってきなさい。私がなんとかするから!」と言ったそうだ。「そしたら本当に送ってきちゃって」と彼女は笑っていたが、いやはや、なかなか豪胆ではないか。
私が会場に到着した時には、お客様は20人近くいただろうか。家族の人数や贈り先の好みを考えながら、次々と購入していく。オーダーメイドを注文する人も多かったようだ。状況によるが、数セットのスプーンとフォークなら、1か月ほどで対応できるそう。赤ちゃん用からケーキ用、普段使いなどさまざまで、お値段は25ソレスから。
純木製のため、スープを飲めばもちろんその色に染まってしまうが、「使えば使うほどその風合いが増してくるのが、木のいいところ。色の変化を恐れず、ぜひ日常でも使ってほしい」とは園さんの談だ。長く使うコツは、使ったら早目に洗ってよく乾かすこと。時々オリーブオイルで磨くと、カビ避けにもなるらしい。
職人が一つひとつ丹念に作り上げた木彫りのスプーン。これで飲むスープはさぞや温かく、優しい味がするだろう。ピチュキータのサイトには、この他可愛らしいペルーグッズがいっぱい。日本からもオーダー可。ぜひ覗いてみてください。