コミーダ・アフロペルアーナを代表するanticucho(アンティクーチョ/串焼き)。中でも 牛ハツを使ったAnticuchos de Corazón(アンティクーチョス・デ・コラソン)は、ペルーで絶対食べるべき料理トップ10に入る一品です。
串にがぶりと噛みつけば、ニンニクやアヒのうま味をまとった牛ハツの独特な食感と、炭火の香ばしさの虜になること間違いなしのアンティクーチョ。これまで何度かご紹介してきましたが、ここでざっとおさらいをしておきましょう。
アンティクーチョの誕生は、16世紀の副王領時代にさかのぼります。支配層であるスペイン人たちは、奴隷として連れてきたアフリカの黒人たちに、自分たちが食べ残した牛や豚の臓物を与えていました。足のはやい内臓や皮をいかに美味しく、また安全に食べるか。黒人たちは知恵を絞り、殺菌効果の高い酢やトウガラシを使ってさまざまな料理を生み出しました。その代表がアンティクーチョ・デ・コラソンというわけです。
ただスペイン到来以前から、アンデスではリャマの肉をトウガラシなどに漬け込んで焼いた串焼きが存在したといい、それがアンティクーチョの原型だとか?
ちなみにペルーでは、アンティクーチョ用の串といえばサトウキビの皮を細く裂いたものが定番。どこで売っているのかと思ったら、牛ハツを買ったお肉屋さんにありました。やっぱり牛ハツとサトウキビの串はセットなんですね。
どんな肉の部位でも作れるアンティクーチョ。ただこの酸っぱ辛いつけ汁との相性は、何といっても牛ハツがダントツ!また牛タンや鶏のハツなど、筋繊維が細かく歯ごたえのある部位がおススメです。鶏むね肉でも美味しくできますが、肉質が柔らかすぎてつけ汁の酸に負ける印象。なので鶏肉の場合は漬け込み時間を短めにして、焼く時にハケでつけ汁をつけるようにしてください。
【材料】2~3人分
- 牛ハツ 約700g、薄皮等を取り除いて正味600gほど
- アヒ・パンカペースト 大3
- すりおろしニンニク 大1
- ワインビネガー 50ml
- サラダオイル 50ml
- 醤油 小2
- ピスコ酒、ワイン、ビールなどのお酒 大2
- 塩、コショウ、クミン、オレガノ 各小1
- ローレル 1~2枚
- 串 数本
- 付け合わせ:茹でたジャガイモとトウモロコシ、お好きなサルサ・デ・アヒ
【作り方】
1、【前日】バーベキューコンロなど炭火でアンティクーチョを焼く場合は、串が簡単に燃えないよう、前日から水に浸けておく。フライパンで焼く場合は牛ハツを串にさす直前でも問題ない。
2、牛ハツをよく洗い、表面の薄皮や血管、筋などをきれいに取り除く。後で串にさすことを念頭に、1~1.5cmほどの厚さに切り分ける。牛ハツの両面に軽く切り込みを入れておくと短時間で焼けて硬くなりにくいので、余力があればぜひ。
3、大きめのボウルにつけ汁の材料をすべて入れ、よく混ぜる。そこにカットした牛ハツを入れてよく混ぜ合わせ、一晩漬けこんでおく。
4、【当日】牛ハツを串に3~4切れずつ刺していく。串が外に出ないよう、牛ハツの中心を通るように刺そう(串を焦がさないためと、火の通りをできるだけ均一にするため)。
5、フライパンに油を少し入れ、串刺しにした牛ハツに時々ハケでつけ汁をつけながら焼いていく。バーベキューコンロや魚焼きグリル、網がベストだが、フライパンでも美味しく焼けるので問題ない。ただ焼き過ぎると固くなるので、火を通し過ぎずミディアムに仕上げよう。
6、茹でたジャガイモ(茹でた後軽くソテーするとなおよし)と茹でトウモロコシを添えて頂こう。お好きなサルサ・デ・アヒもお忘れなく!
【Keikoからひとこと】
「アンティクーチョといえば炭火焼き」という思い込みもあって、なかなかご紹介にいたりませんでしたが、今回フライパンで焼いても十分美味しく、これなら自宅で作る価値あり!と思いご紹介しました。実は写真の分だけ串に刺して、残りは串なしで焼いたんですが、家族で食べるならそのほうが簡単だし、焼き加減の調整もしやすいのでおススメです。
一晩しっかりマリネしておいたことや、ハツに軽く切れ目を入れておいたこと、あと高温で焼けるよう鉄のフライパンを使ったこともよかったのかも?ただ煙が結構出るので、換気はしっかりしてくださいね。
毎年10月第3日曜日は、El Día del Anticucho(アンティクーチョの日)。リマ市内の有名店で食べるのもいいですが、ぜひ今年はご自宅でチャレンジしてみて!焼き立ての美味しいアンティクーチョをお楽しみくださいね。