先月ペルーに入国した外国人の数は、COVID-19のパンデミックによる入国規制がなかった2020年同月との比較で59.1%落ち込んだ。国家在留監督庁の公式数値を基に、Gestión紙が発表した。
地域別では、首都リマ(▲41.2%)に比べ、クスコ(▲91.1%)、アレキパ(▲82.3%)、プーノ(▲95.3%)、タクナ(▲72.0%)といった、社会争議の影響が大きい南部の州の下落が目立つ。
「私たちはこの25年間で(COVID-19の最盛期を除き)最大の危機を迎えていると言えます。1月における外国人の入国は、バケーション目的のみならず、ビジネス目的の来訪者も劇的に落ち込んでいます」と、ペルー貿易協会の幹部でクスコ観光協会の副会長も務めるフアン・ストイセルは語る。
「状況は非常に複雑です。治安の回復に向け、早急な解決が必要です」国際航空運送企業協会(IATA)のカルロス・グティエレス会長もこのように述べている。
観光セクターの災厄
通商観光省(Mincetur)の統計によると、現在の状況は、100万人以上の雇用を抱える観光セクターに大きな打撃を与えているという。
「多くのツアーオペレーターが『セマナサンタ(イースター)はもうダメだ』と話しています」「様々な国の(在秘)大使館が自国民に対し、ペルーに来るなと勧告しています」とグティエレス会長は話す。これらの勧告は、一部のデモ隊による暴力行為に端を発するものだ。
国別外国人入国者数比較(1月)
国名 | 2020年 | 2023年 | 比較(%) |
---|---|---|---|
チリ | 189,247 | 56,026 | ▲70.4 |
米国 | 39,869 | 26,385 | ▲33.8 |
コロンビア | 24,413 | 13,200 | ▲45.9 |
エクアドル | 26,216 | 16,429 | ▲37.3 |
ボリビア | 32,343 | 5,306 | ▲83.6 |
アルゼンチン | 19,132 | 10,124 | ▲47.1 |
ブラジル | 16,501 | 6,334 | ▲61.6 |
スペイン | 11,807 | 7,484 | ▲36.6 |
メキシコ | 8,893 | 4,062 | ▲54.3 |
ベネズエラ | 6,523 | 2,922 | ▲37.1 |
カナダ | 7,404 | 3,598 | ▲51.4 |
フランス | 6,081 | 2,972 | ▲51.9 |
ドイツ | 6,827 | 2,661 | ▲61.0 |
イタリア | 4,008 | 2,555 | ▲36.3 |
英国 | 3,593 | 1,893 | ▲47.3 |
韓国 | 4,326 | 1,258 | ▲70.9 |
コスタリカ | 2,295 | 1,710 | ▲25.5 |
中国 | 3,477 | 923 | ▲73.5 |
オーストラリア | 3,012 | 973 | ▲67.7 |
日本 | 3,121 | 475 | ▲84.8 |
パナマ | 1,462 | 1,311 | ▲10.3 |
オランダ | 1,482 | 1,202 | ▲18.9 |
スイス | 2.094 | 954 | ▲54.4 |
ウルグアイ | 1,636 | 688 | ▲57.9 |
ロシア | 1,178 | 507 | ▲57.0 |
パラグアイ | 1,205 | 558 | ▲53.7 |
その他の国 | 16,779 | 8,168 | ▲51.3 |
合計 | 444,924 | 181,811 | ▲59.1 |
一方、今は北半球の多くの国々が今年度の旅行をプランニングする時期(北半球では冬)なので、現状の回復には数か月を要すだろうとストイセル副会長は懸念を示す。
「今は誰もペルー旅行を計画していません(…)第一四半期は全滅です。第二四半期に近隣諸国からの来訪者数が回復することを期待しています」
グティエレス会長は航空業界に関し、各航空会社がペルーへの定期便を間引くリスクがあると説明。「メキシコ航空はすでに定期便の本数を減らしています。他のエアラインが追随しないことを祈ります」
Sky航空のセバスティアン・フェルナンデス販売副部長によると、同社ではマイアミ⇔リマ航路が最も影響を受けたという。
ホテル業界ではむしろ、客足の途絶えた状態でどれだけ耐えられかが課題のようだ。「規模に関わらず、国内南部では数百軒のホテルが休業状態です。廃業には至っていませんが、今の状況に耐えられなければそうなるでしょう」とストイセル副会長はコメントした。
国境の商業活動もふるわず
地域別外国人入国者数比較(1月)
州名 | 2020年 | 2023年 | 比較(%) |
---|---|---|---|
アンカシュ | 18 | 2 | ▲88.9 |
アレキパ | 705 | 125 | ▲82.3 |
カハマルカ | 362 | 202 | ▲44.2 |
カリャオ | 6,098 | 429 | ▲93.0 |
クスコ | 6,575 | 584 | ▲91.1 |
イカ | 99. | 85. | ▲14.1 |
ラ・リベルタ | 2,208 | 537 | ▲75.7 |
ランバイエケ | 215 | 219 | 1.9 |
リマ | 189,621 | 111,523 | ▲41.2 |
ロレト | 1,067 | 757 | ▲29.1 |
マードレデディオス | 3,815 | 463 | ▲87.9 |
モケグア | 8 | 5 | ▲37.5 |
ピウラ | 4,022 | 1,959 | ▲51.3 |
プーノ | 29,269 | 1,378 | ▲95.3 |
タクナ | 175,490 | 49,188 | ▲72.0 |
トゥンベス | 25,301 | 14,352 | ▲43.3 |
ウカヤリ | 51 | 3 | ▲94.1 |
合計 | 444,924 | 181,811 | ▲59.1 |
この他、チリやボリビアと国境を接するタクナやプーノでも商業に影響が出ているという。全国商工会議所のカルロス・ドゥランド会長は「タクナの場合、陸路によるチリからの入国者がサービス業や商業と密接に関係しています」と強調する。
この1月、ペルーへのチリ人の入国者数は2020年同月比で70%減少した。同地域では、パンデミックによる国境封鎖が昨年2月に解除されたばかりで、商業活動が回復へと向かっている最中の出来事だった。
「わずかに回復し始めていましたが、社会争議の勃発でまたストップしてしまいました」タクナはペルーのGDP全体のおよそ1.6%を担っているとドゥランド会長は指摘する。
「雇用が減り、平均所得が下がり、支払い関係にも影響が出ています。タクナでは多くの企業が短・中期融資の返済に苦慮しています」
しかし、外国人入国者の減少で打撃を受けているのはタクナだけではない。「アレキパやプーノ、クスコの商業・観光セクターにも影響が及んでいます」とドゥランド会長は付け加えた。
(ソース: Gestión 02/02/23)