Pulpo a la Parrilla プルポ・ア・ラ・パリージャ

ペルー人が大好きなPulpo a la Parrilla(プルポ・ア・ラ・パリージャ=タコの炭火焼き)。タコ足には香ばしい焦げ目までついているのに驚くほど柔らかく、初めて食べた時はそりゃ感動したものでした。

太古の昔から海とのかかわりが深かったノルテ地方はさておき、リマの人々が魚介類を食べるようになったのは、なんと20世紀も半ばを過ぎてから。肉類に比べ足が速いこともあり、中級~上流階級の人たちですら1970年代まではヒラメやコルビーナ(スズキ)など僅か数種類の白身魚しか口にしなかったといいます。加えて冷蔵庫の普及が遅かったこともあるでしょう(2000年時点での冷蔵庫普及率はわずか35.9%)。だから昔のセビーチェは、レモン汁で何時間も漬け込む “しめ鯖スタイル” だったんですね。

そんなペルー人たちを後目に、リマの海岸で釣りを楽しみ、新鮮な魚介類や海藻を自由に獲って食べていたのが、日本人移民やその子供である日系二世たちでした。ペルー人が気味悪がったタコだって獲り放題。プルポ・アル・オリーボを考案したロシータ・ジムラや、レストラン「ブエナムエルテ」のミノル・クニガミら日系二世のシェフが活躍し始めた1960年代以降、ペルーのシーフード料理の幅が一気に広がったというわけです。

それでいうと、このプルポ・ア・ラ・パリージャなんかは本当につい最近登場した料理なんでしょうね。でも今ではすっかりペルー料理のひとつになっていて、私も日本から来た方と食事を共にする際この料理を注文することも少なくありません。「ペルーのタコって美味しい!柔らかい!」と喜んで頂けると、ちょっぴり誇らしく思ったりするのです。

【材料】2人分

  • 茹でたタコの足 3本
  • 刻んだペレヒル(イタリアンパセリ) 1/2カップ
  • タマネギのみじん切り 1/4個分
  • すりおろしニンニク 小1
  • アヒ・アマリージョ 1/4本
  • レモン汁 大1
  • レモンの皮のすりおろし 少々
  • オリーブオイル 大3~4
  • バター 適量
  • 塩コショウ、オレガノ、タイム 適量
  • 付け合わせ:茹でたジャガイモ、サルサ・デ・アヒなど

【作り方】

茹でダコの準備

1、生タコの足と頭をキッチンバサミでカットし、別々にビニール袋に入れて一晩冷凍する。翌日、使用する分(今回は3本)を冷蔵庫で解凍し、流水で洗いながら汚れやぬめりを洗い流す。※冷凍するとぬめりが簡単に落ちる上に、タコの細胞が壊れて柔らかくなるのでおススメ!

2、沸騰した湯にタマネギやニンジン、ニンニクなどのクズ野菜(分量外)、ワインビネガー少々(分量外)を入れて、タコを足の先から入れて20~25分ほど茹でる。茹で上がったら冷水にとり、冷ましておく。

ここから本番

1、ボウルにバター以外の材料と塩コショウ、オレガノ、タイムを入れてよく混ぜ合わせマリネ液を作る。仕上げ用に一部取り分けておき、残りのマリネ液にタコの足を漬け込んで3時間~一晩マリネする。お子さんがいる場合はアヒ・アマリージョは省いて。

2、翌日に鉄板、またはフライパンに油とバターを敷いて加熱し、マリネしたタコを香ばしく焼く。時々1のマリネ液を塗って焼くとさらによし(ただし油跳ねと煙は覚悟して)。また茹でてカットしたジャガイモも一緒に焼くと、タコの風味が移って美味しい。

3、皿にジャガイモとタコを盛り付け、1で取り分けておいたマリネ液を全体にかけてできあがり。お好みでサルサ・デ・アヒを添えて召し上がれ。

【Keikoからひとこと】

以前ご紹介したプルポ・アル・オリーボでも書きましたが、日本とペルー(ヨーロッパなど)はタコの茹で方が大きく異なります。タコの食感に対する好みというか、そこはやはり食文化の違いでしょう。

私は刺身のような適度な弾力やつるっとした食感を残したいプルポ・アル・オリーボの時は茹で時間を短く、タコ足を1本丸ごと豪快に頂くプルポ・ア・ラ・パリージャの時は身がギュッと詰まった食感にしたいので長めに茹でるようにしています。大好きな三國シェフも「タコは長く茹でると一度固くなるけれど、茹で続けるとまた柔らかくなる」と言っていたので、もし茹ですぎた~と思っても心配しないで!

ちなみにこのマリネ液は、いわゆるChimichurri(チミチュリ)と呼ばれるアルゼンチン発祥のサルサで、アサード(バーベキュー/炭火焼き)には欠かせない調味料です。ペルーのチミチュリはアルゼンチンのより酸味控えめでオイリーな仕上がり。このチミチュリを使って白身魚やホタテなどを焼いてもGood!パンに塗ったり、軸を取ったマッシュルームのくぼみに詰めて焼いてもアヒージョっぽくなって美味しいのでおススメです。