カボチャやトウモロコシ、豆などを煮込んだ南米料理Locro(ロクロ)。ケチュア語の “luqru” または “rucru” を語源とし、国や地域のよってはチャルキや牛肉、チョリソーを入れることもあります。ペルーでロクロといえば、なんといってもLocro de Zapallo(ロクロ・デ・サパージョ)。野菜たっぷりの、滑らかで優しい味わいが幅広い世代に人気です。
ロクロのメイン素材であるカボチャは南米が原産で、ペルーではケチュア語 の“sapallu(サパル)” に由来するZapallo(サパージョ)と、スペインから伝わったCalabaza(カラバサ)という2つの呼び名が混在しています。ペルーでは最も一般的なマクレを含むmáxima種と、ロチェに代表されるmoschata種、ズッキーニを含むpepo種、日本で黒種かぼちゃとして知られるficifolia種の4系統184種類ものかぼちゃ属が栽培されているとのこと。そんなにあるとは、さすがカボチャが生まれた国!
【¡新食材! 】Zapallo Macre(サパージョ・マクレ)について
『おうちでペルー料理』でこれまで“かぼちゃ”と表記してきたのは、このマクレカボチャのこと(今頃の紹介ですみません)。ペルーで最も一般的な品種でロクロのほか、スープによく使われます。
その95%が水分で糖質はわずか5%。日本のカボチャの糖質が17%であることを考えると、そのヘルシーさが際立ちます。カボチャなのに炭水化物が少なく、βカロチンやレチノール、ビタミンE、Cを含み、繊維が豊富で整腸作用もあります。さらにカリウムが多くナトリウムが少ないため利尿作用もあり、高血圧、高尿酸血症、痛風、腎臓結石にも効果的。加熱するとあっという間に溶けてしまうため、ほっくり仕上げたい煮物には適しません。
【¡新食材! 】Zapallo Loche(サパージョ・ロチェ)について
ペルー北部海岸エリアが原産。考古学的・人類学的研究により、石器時代 (紀元前 15000 年 – 紀元前 7600 年) およびアルカイック時代 (紀元前 7600 年 – 紀元前 1700 年) 初期にはすでに食べられていたことが判明しています。特に2000年前に栄えたモチェ文化やチムー王国時代には国の重要農産物として扱われ、土器のモチーフにも多用されました。
ロチェはビタミンA、C、B、B2、B5に加え、カルシウム、リン、鉄などのミネラル成分が豊富。低カロリー、低タンパク、低脂肪の健康食品で、ノルテ地方のガストロノミーには欠かせない食材です。ペルーの原産地呼称制度適用産品にも指定されています。
【材料】2人分
- サパージョ 400g(今回はマクレとロチェをミックス)
※日本のカボチャは実がしっかりしているので300gほどで大丈夫 - ジャガイモ 小2個
- タマネギのみじん切り 1/2個
- すりおろしニンニク 大1/2
- アヒ・アマリージョペースト 大1+1/2
- トウモロコシ 1/2本
- そら豆(薄皮を剥いた状態) 1/4カップ
- ケソ・フレスコ(カッテージチーズ、またはモッツァレラでも可) 60g
- エバミルク 50ml
- ワカタイ(シオザキソウ) 1~2枝
- カルド・デ・ベルドゥーラス(ベジタブルストック) 200ml
※日本のカボチャは水分が少ないので300~350ml。 - 塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
- オプション:目玉焼き
【作り方】
1、カボチャとジャガイモは皮を剥き、大きめの角切りにする。ジャガイモを少し大きめにカットするとまた違った食感が楽しめる。トウモロコシは輪切りにするか、食べやすいよう粒を取っておく。
2、アデレソを作る。鍋に油を敷き、タマネギのみじん切りとタマネギの水分を引き出すための塩一つまみを振り、よく炒める。タマネギが透明になったらニンニクを入れ、次にアヒ・アマリージョペーストを入れてよく炒める。塩コショウ、クミン、オレガノを適量入れてよく混ぜ合わせたらアデレソのできあがり。
3、アデレソに1のカボチャとジャガイモ、カルド、ワカタイの枝を入れて蓋をして煮込む。ジャガイモに8割方火が通ったらトウモロコシを加え、時間差でそら豆も加え加熱する。
4、カボチャが程よく溶けて野菜にも火が通ったら、ワカタイの枝を取り出しエバミルクを入れ、最後にケソ・フレスコを加える。塩コショウで味を調えたらできあがり。目玉焼きや肉のソテーを添えて頂こう。
【Keikoからひとこと】
ペルーのサパージョは日本のそれとはあまりに違うので、この味を再現するのはちょっと難しいかも・・・と思ったのですがペルー定番料理のひとつなのでご紹介させて頂きました。もちろん日本の甘いカボチャでも可能ですし、チーズのしょっぱさと相まって案外イケるかも?
またはカボチャの半量をズッキーニに換えてみてもいいかもしれませんね(同じカボチャ属ですし)。いずれにせよ日本のカボチャは水分が少なく肉質がしっかりしているので、様子を見ながらカルドや水を追加して、トロトロになるように仕上げてください。
そしてもし「わ~、今回のカボチャは水っぽいな~」なんていうのに当たった時は、ロクロ作りのチャンス!「甘くないカボチャも悪くない」って、きっと思っていただけることでしょう。