雌鶏(ガジーナ)の旨みがたっぷりのCaldo de Gallina(カルド・デ・ガジーナ)。リマのじめっとした寒さを乗り切るために無くてはならないスープのひとつで、麺が入っていることから “ペルーのラーメン” と紹介されることもあります。
ただ日本では麺料理に分類されるラーメンも、ペルーではスープの一種という扱い。ペルー人が麺に食感や喉越しを求めない人々であることはすでにご承知の通りで、スープさえ美味しければ、麺が給食のうどんくらい柔らかくても平気です。最近でこそ「アルデンテ」という単語も聞かれるようになりましたが、日本人が考えるアルデンテとはちょっと違いますしね。
鶏の出汁で頂くスープは世界各地にありますが、ペルーのこだわりはなんといってもガジーナ(雌鶏=採卵鶏)を使うこと。肉質は固いけれどブロイラーよりずっと風味豊かなカルドが取れるとあって、ペルーでは採卵目的だけでなく、食用としても大いに利用されています。
日本では排卵期間が終わった雌鶏は廃鶏と呼ばれ、一部は加工品として利用するものの、ほとんどは廃棄されるそう。すごく濃厚で美味しい出汁が取れるのに、なんてもったいない!人間のために卵を産み続けた雌鶏。どうせ処分するにせよ、そのすべてを丸ごとしっかり頂くのが筋だと思うんですけどね。忙しすぎる日本の暮らしでは、時間をかけて出汁を取るよりチキンブイヨンでちゃちゃっと味を調えるほうがいいのかもしれませんが、なにか間違っているように思います。
【材料】2人分
- ガジーナ、または鶏肉(手羽元など骨付き) 400g
- 水 1リットル
- セロリ 1本
- ニンニク 1片
- ショウガ 大1片
- パスタ 100g
- ジャガイモ 2個
- 茹で卵 2個
- 塩コショウ、オレガノ、刻んだ青ネギ、ショウガのしぼり汁 適量
- オプション:溶き卵 1個
- 付け合わせ:レモン、カンチャ(炒りトウモロコシ)、サルサ・デ・ロコト
【作り方】
1、鍋に水1リットルを入れ、ガジーナとセロリ、ニンニク、叩いて潰したショウガと塩少々も入れて火にかけ、ガジーナが柔らかくなるまで30~40分煮込む。
2、ガジーナが柔らかくなってきたら軽くアクを取り(アクもうま味なので取りすぎないように)、皮を剥いて2つにカットしたジャガイモとパスタを入れてジャガイモに火が通るまで煮る。ペルー流にするならパスタは手でふたつに折って。またパスタをアルデンテに仕上げる必要はないが、気になる人は袋に記載された茹で時間に従って投入してください。
3、ここでオプション登場。卵に水(分量外)を加えてよく溶き、カルドをよくかき混ぜながらそっと入れる。この時卵が固まらないように気を付けること。こうすることでスープが白濁し、まろやかさが増す。
4、すべての具材に火が通ったら塩コショウで味を調え、オレガノとショウガのしぼり汁(大1前後、お好みで)を少々加えてできあがり。皿に盛り付けたら茹で卵を乗せ、刻んだ青ネギを散らす。レモン汁やカンチャ、サルサ・デ・ロコトを加えつつ、熱々を頂こう。
【keikoからのひとことアドバイス】
とってもシンプルで簡単なカルド・デ・ガジーナ。味の決め手は鶏の出汁なので、可能な限り骨付き鶏を使ってください。鶏は出汁を取るためものもと割り切って、最初から鶏ガラや手羽先なんかを使うほうがいいかもしれませんね。また残ったカルドはきちんと冷ましてすぐ冷凍しましょう。セロリやショウガだけでなく、タマネギやニンジンも一緒に煮て、最後にミキサーにかけて野菜スープにするのもオススメですよ。
ちなみに写真ではキンカンやレバーを添えていますが、もちろんなくて構いません。またペルー風にするなら茹で卵はカットせず、ごろんと丸ごとお皿に盛りましょう。そういえば “新鮮な卵ほど殻がむきにくい” といいますが、このガジーナが最後までお腹に抱えていた卵も本当に殻がむきにくかった~!(だから白身がガタガタ/苦笑)。そして黄身の色が本当に鮮やかでした。たくさんの命を頂いたね。ありがとうね。
スープの種類が多いことで知られるペルー料理の中でもカルド・デ・ガジーナは別格で、専門店や専門の屋台もあり、早朝の仕事前に、また仕事が終わった後に立ち寄る人も大勢います。刻んだネギの青臭さもいいし、チュッと絞ったレモンの酸味も爽やかでいい。滋味あふれるガジーナの出汁を楽しんだら、サルサ・デ・ロコトでパンチを加えて。シンプルで文句なく美味しいカルド・デ・ガジーナ。これを食べずしてペルー料理は語れません。