国内外の考古学者による最近の調査で、世界遺産マチュピチュ遺跡公園エリア内における天体観測施設の存在が確認された。7月10日、クスコ文化局が発表した。
この調査は、ポーランド・ヴロツワフ工科大のJacék Kosciuk、ワルシャワ大のMariusz Ziolkowskide、フェルナンド・アステテ・ビクトリア率いるクスコ地方文化局の専門調査チームにより実施されたもの。
マチュピチュ遺跡公園の責任者でもあるフェルナンド・アステテは、10日にクスコ市内のインカ・ガルシラソ・デ・ベガ地方博物館で行われた講演会で、Intimachay (インティマチャイ)とInkaraqay (インカラカイ)の調査状況を発表した。
インティマチャイはマチュピチュ遺跡の「Sala de los espejos (鏡の間)」後部および下部に位置する区画で、正面と側面にそれぞれ一ヶ所ずつ窓が配されたインカ時代の構造物。ここは当時の天体現象、夏至と冬至、月の動きを正確に測定していた聖なる場所で、天体観測施設であったことが確認された。
一方、ワイナピチュ山の北東に位置し、入口に二本の側柱を擁するインカラカイ遺構区画で行われた調査では、背面の壁二カ所に台形の壁龕(ニッチ)がみつかっている。
それぞれの壁龕の開口部は約5cmあり、3Dレーザースキャンによりこれらの穴が天体観測用のものであることが確認された。1572年にスペイ ンの年代記作家サルミエント・デ・ガンボアが同様の特徴を持つ天体観測施設に言及しており、これをを証明する最初の発見となる。
今回の調査はペルーとポーランドの合同プロジェクトで、3次元レーザースキャナーや、過去の天体図を把握するためのソフトウェアなど、最新鋭の機器が使用された。
フェルナンド・アステテは「インカ時代に立てられた太陽観測用の標柱を探すため、Yanantin山頂の調査を今年度内に行う予定だ。天体観測施設の存在を裏付ける多くの証拠が見つかるだろう。また、インティワタナ区画とマチュピチュ山でも3Dレーザースキャンを用いた天文考古学調査を実施するつもりだ」と述べた。
(ソース: アンデス通信社)