『森のバター』アボカド。ペルーでpalta(パルタ)と呼ばれる緑の宝石は、その濃厚な味わいと滑らかな食感からさまざまな料理に利用されています。
ペルーで一般に消費されているのは、日本で流通しているhass(ハス)より細長くて皮が柔らかいfuerte(フエルテ)と呼ばれる品種で、パルタはパンやご飯、肉類などあらゆる素材をワンランクアップさせてくれる名脇役として、ペルー料理に欠かせません。そのパルタを主人公にしたのが、Palta Rellena(パルタ・レジェーナ)です。
パルタ・レジェーナは茹でた鶏肉やジャガイモなどの野菜をマヨネーズで和え、パルタに詰めた前菜のひとつ。昼どきにタベルナと呼ばれる古き良き食堂へ行くと、日本のおばんざいよろしく、ガラス張りの食品ケースにパルタ・レジェーナを始めとする人気の前菜が並んでいるのをよく見かけます。一目でどんな味かが想像できる、ありきたりだけど裏切らない美味しさ。そんなところが魅力ですね。
また茹でた野菜をマヨネーズで和えたペルーのサラダといえば、Ensalada Rusa(エンサラーダ・ルサ)も忘れてはいけません。そのルーツは1860年代にモスクワのレストラン・エルミタージュのベルギー人シェフ、ルシアン・オリヴィエが考案したというオリヴィエ・サラダ。“マヨネーズを使ったポテトサラダの源流”と称される画期的なサラダです。
茹でたジャガイモにキャビアや鹿肉などの素材を贅沢に加えたオリヴィエ・サラダは、ロシア人貴族を魅了しました。1917年のロシア革命で国外に逃亡した彼らによって世界中に広まる一方、ソビエト国内をはじめウクライナやベラルーシといった旧ソビエト連邦の国々では、鶏肉などの庶民的な素材に置き換えられました。
ペルーではオリヴィエの名は残っておらず、ロシアをイメージさせるbeterraga(ベテラガ/ビーツ)を使った「ロシア風サラダ」として定着しています。目が覚めるように鮮やかなエンサラーダ・ルサは、ペルーのクリスマスに欠かせません。
パルタ・レジェーナ
【材料】パルタ2個(4セット)分
- パルタ 2個
- 鶏むね肉 100~120g、または鶏のささ身 2本
- ジャガイモ 1/2個
- ニンジン、トウモロコシ、グリーンピース、トマト 各1/4カップ(約30g)
- マヨネーズ 大1~2
- レモン汁、塩コショウ 適量
- オプション:ヨーグルトまたは牛乳、茹で卵
【作り方】
1、鶏むね肉を茹で、手で細かく裂くか、トウモロコシの粒くらいの大きさにカットする。
2、トマト以外の野菜を茹でて、鶏肉より少し小さめのサイコロ状にカットする。トマトは種を取り、果肉部分をカットする。野菜の大きさを揃えるようにしよう。
3、ボウルに1の鶏肉と2の野菜、マヨネーズを入れ、レモン汁と塩コショウを振って味を調える。
4、パルタを横半分にカットして種を取り、3の具材をたっぷり乗せたら出来上がり。マヨネーズにヨーグルトや牛乳を加えてもいいし、ボリュームアップさせたい場合は刻んだ茹で卵を加えてもいい。
エンサラーダ・ルサ
【材料】3~4人分
- ジャガイモ 1個
- ベテラガ(ビーツ) 1個(ジャガイモと同じくらいの大きさ)
- ニンジン、鞘インゲン、グリーンピース カットした状態で各1/2カップ
- マヨネーズ 大3
- レモン汁、塩コショウ 適量
- オプション:ヨーグルトまたは牛乳、茹で卵
【作り方】
1、すべての野菜を茹でて、サイコロ状にカットする。
2、ボウルに1の野菜とマヨネーズを入れ、レモン汁と塩コショウで味を調えたらできあがり。マヨネーズにヨーグルトや牛乳を加えてもいいし、ボリュームアップさせたい場合は刻んだ茹で卵を加えてもいい。
【keikoからのひとことアドバイス】
ビーツは皮を剥かずに水から茹でます。ビネガーを少し入れるとより色鮮やかに茹で上がりますよ。でも柔らかくなるまでには結構時間がかかるため、私はラップに包んで耐熱ガラス容器に入れてレンジ加熱しています。茹でるよりちょっと鉄っぽさが残る気がしますが、慣れてしまえば気になりません。
ビーツは鉄分、カリウム、ナトリウム、カルシウムなどのミネラルやビタミンB、食物繊維などが豊富で、高い抗酸化作用を持つ野菜。「食べる輸血」の異名を持つほどなので、貧血や生理不順の女性には特に召し上がっていただきたいですね。
パルタ・レジェーナは鶏肉とジャガイモがほかの野菜の倍量に、エンサラーダ・ルサはジャガイモとビーツがほかの野菜の倍量になるようにしています。でもあまり細かいことは気にせず、お好きな量で作ってください。
私はマヨネーズをたっぷり使うサラダの時には必ずヨーグルトも加えていますが、ペルーレシピではマヨネーズオンリー。なのでオプションとしましたが、さっぱり仕上がるしカロリーオフにもなるのでオススメです。