ペルーを南北に貫く大河アマゾンには、私たちが想像するよりはるかに多くの魚が生息しています。その数は2000種とも3000種ともいわれ、今もなお新種が発見されているのだとか。
アマゾンのメルカドにある魚屋の店頭には、古代魚paiche(パイチェ/ピラルクー)やナマズの仲間で体長1.5mにも成長するというdoncella(ドンセージャ)、フライにすると美味しいgamitana(ガミタナ)や、絶品スープが作れると評判のcarachama(カラチャマ)などが並んでいます。もちろんあのpiraña(ピラーニャ/ピラニア)も立派な食用魚。母なる大河の恵みを余すところなく頂くのが、アマゾン流なんですね。
今回はアマゾンの新鮮な川魚を使った包み焼、Patarashca(パタラシカ)を紹介しましょう。ケチュア語の「折り曲げる、包み込む」を意味する “pataray” を語源とするパタラシカは、アマゾンのペルーからコロンビア流域まで広く食べられています。タワンティンスーユ(インカ帝国)の支配は、コロンビア南部にまで及んでいたそうですが、今も残るその料理名に、かつてのインカの繁栄ぶりが表れています。
新鮮な川魚にレモン汁で和えた刻み野菜をまぶし、アマゾンに自生するBijao(ビハオ)と呼ばれるクズウコン科の植物、またはバナナの葉で包んで炭火焼きにするパタラシカ。ビハオやバナナの葉が炭火で真っ黒になったら、中の魚にもしっかり火が通った合図です。
葉の隙間から余分な水分が蒸発するからでしょうか、蒸し料理ほど身が柔らかくなることはなく、かといって焼き魚のようなパサパサ感もなし。この絶妙な仕上がりは植物の葉ならでは。
ただ日本はもとより、リマでもアマゾンの食材を入手するのは難しいので、今回は再現性の高い材料に置き換えました。きるだけ現地風をモットーにしていますが、今回ばかりはご容赦ください。
あわせてアマゾン料理の代表的な付け合わせのひとつ、Patacones(パタコネス)も作ってみましょう。ペルーで使用するのはPlátano bellaco(プラタノ・ベジャコ)という調理用バナナで、日本では青いバナナで代用可能です。お子さんのオヤツにもピッタリなので、ぜひ作ってみてくださいね。
パタラシカ
【材料】2人分
- 白身の魚 2匹(今回はマナガツオ科のPalometa/Pampanitoを使用)
- タマネギ 1/2個
- トマト 1個
- パプリカ 1/4個
- クラントロ 20g
- レモン汁 大2~お好みで
- すりおろしニンニク 大1/2
- 塩コショウ 適量
- アルミホイル 適量
- オプション:アヒ・リモ、またはお好きなアヒ、クルクマ(ターメリック)など
- 付け合わせ:パタコネス、茹でたバナナ、茹でたユカ芋(キャッサバ)など
【作り方】
1、魚のウロコと内臓を取り除き、皮目に4~5か所切り目を入れる。魚の両面と腹の中に軽く塩コショウを振り、馴染ませる。
2、タマネギとトマト、パプリカ、クラントロをすべてみじん切りにしてボウルに入れ、すりおろしニンニクとレモン汁、塩コショウを適量加えてよく混ぜる(塩はちょっと多めで!)。ここで刻んだアヒやクルクマを少量加えてもいい。
3、魚の腹に2の野菜を入れ、魚全体にも野菜をまぶす。2重にしたアルミホイルの上に2の野菜を少し乗せてに魚を置き、野菜のつけ汁もふりかけアルミホイルでしっかり包む。
4、魚焼きグリルで加熱するか、フライパンを使う時は少量の水を入れて蓋をして蒸し焼きに。魚の大きさや厚みによるが、10~15分ほどで完成。お好みでレモン汁やお好きなアヒを添えて召し上がれ。
パタコネス
【材料】
- 青いバナナ 1本~お好みで
- 塩 少々
【作り方】
1、バナナの皮を剥いて2~2.5cm幅の輪切りにする。
2、油を中温に熱し、1のバナナを揚げる。
3、綿棒やすりこ木、コップの底などを使ってバナナを軽く押しつぶす。潰れ具合いがよく分かるガラスのコップがベスト!
4、潰したバナナを再度油で揚げ、からりとしたら出来上がり。軽く塩を振って頂こう。
【Keikoからのひとこと】
アマゾンの魚料理、いかがでしたか?現地ではパプリカではなくアヒ・ドゥルセを、クラントロではなくサチャクラントロを使います。私はタマル作りで余ったバナナの葉+アルミホイルで魚を包み、日本から持参した無煙ロースター(上下両面から加熱可能)で15分加熱しました。無煙ロースター、最強ですね~。頑張って持ってきてよかった!
付け合わせはパタコネスや茹でバナナなんかが一般的ですが、白ご飯にレモン風味の蒸し汁を吸わせて食べるのも美味しいですよ。そこに醤油をほんのひと垂らし・・・。アマゾン風ではありませんが、おススメです。
どんな魚にも応用していただけるシンプルな料理パタラシカ。焼き魚にちょっと飽きた時にぜひ作ってみてくださいね。