Arroz con Pollo アロス・コン・ポヨ

クラントロ(コリアンダー)の香り漂うペルーの炊き込みご飯、アロス・コン・ポヨ。日本にも菜飯があるし、赤飯の色だってなかなか強烈だと思っているにも関わらず、初めてこの緑色の料理とであった時の衝撃はなんというか別物でした。色鮮やかな料理は、それだけで食欲をそそりますね。

アロス・コン・ポヨは『ペルー北部海岸地域のランバイエケならではの料理であるArroz con Pato(鴨の炊き込みご飯)がリマに伝わり人気を博したものの、リマではその材料となる鴨とチチャ・デ・ホラ(トウモロコシ由来の発酵酒)を入手するのは困難だった。そこでリマのシェフたちが持ち前の想像力を発揮し、鴨と鶏に、チチャ・デ・ホラをすでにリマで生産されていた黒ビールに置き換えた』のが始まりだそう(ペルー貿易観光促進庁/Promperú)。オリジナルの調理法を尊重しつつ、身近な素材に置き換えることで誰もが楽しめる一品へと昇華させたリマのシェフたちに、心からの拍手を送りたいと思います。

もしペルーに家庭科の授業があったら、子どもたちは必ず教わるであろうと思われるほど定番中の定番家庭料理ですが、最初はちょっと水加減に戸惑うかもしれません。でもそこは飯盒炊爨よろしく“だいたい”で大丈夫!何度かチャレンジして、ぜひお好みの炊き加減を習得してくださいね。

【材料】3~4人分

  • 米 2合
  • 鶏肉(骨付きがベスト) 人数分
  • タマネギのみじん切り 1/2個
  • ニンニクのすりおろし 大1/2
  • アヒ・アマリージョペースト 大2
  • アヒ・パンカペースト 大1/2
  • クラントロ(コリアンダー) ひとつかみ(100g前後)
  • クラントロをミキサーにかけるための水 100ml
  • ニンジン 1/2本
  • パプリカ 大1/2個
  • 茹でたグリーンピース 1/2カップ
  • 茹でたトウモロコシの粒 1/2カップ
  • 黒ビール、または普通のビール 150ml
  • カルド・デ・ポヨ(チキンブイヨン) 400ml前後
  • 油、塩コショウ、クミン、オレガノ 適量
  • 付け合わせ:サルサ・クリオージャ、パパ・ア・ラ・ワンカイーナ

【作り方】

1、米を洗ってザルにあげ、水を切っておく。クラントロの葉と水100mlをミキサーにかけておく(クラントロの茎は多少入ってもいいが、その場合は軽く刻んでからミキサーに入れること)。

2、鶏肉に塩コショウとクミンを振り、軽く揉みこむ。骨付きを使う場合は、調理時間短縮のため骨と肉の間に切り込みを入れておくといいだろう。米を炊くことを考慮した深めの鍋に油を敷き、鶏肉を入れて全体に香ばしい焼き色を付ける。鶏肉の表面が焼けたら、別皿に取り出しておく。

3、アデレソ(調味ペースト)を作る。2の鍋に残った鶏の脂の量を加味しつつ必要に応じて油を足し、鍋底についている鶏の旨みをこそげとるようにしながらタマネギを炒める。タマネギが透き通ってきたらニンニク、アヒの順に入れてそれぞれよく炒める。そこに1のクラントロ液を加え、一度煮立たせる。塩コショウ、クミン、オレガノで味を調えたらクラントロ入りアデレソのできあがり。

4、3の鍋に鶏肉を戻してアデレソを絡めたら、黒ビールを入れて一度煮立て、蓋をして鶏肉に完全に火を通す。焦げ付きそうなら水(分量外)を少し足してもいい。

5、鶏肉に火が通ったら一度取り出し、小さめに刻んだニンジン、チョクロ、グリーンピース、パプリカを時間差で入れさっと加熱する。ここに1の米とチキンブイヨンを400mlほど入れ、全体をよくかき混ぜる。

※この時点ですでにクラントロや黒ビールの水分はほとんど残っていないはずだが、鶏肉の大きさや煮込み時間、4で加えた水の分量などによって変わるため、チキンブイヨンの量は適宜調整すること。使用する鍋の大きさにもよるが、水の量は米の表面から2cmほどの高さを目安にすればOK。水分が少なすぎると鍋底が焦げやすいので気を付けて。

6、鍋に蓋をして強火で加熱し、沸騰したらもう一度全体をよく混ぜ、再び蓋をしてから火を弱め、水分がなくなるまで数分炊く。火を消して5の鶏肉を鍋に戻し、蓋をして10分ほど蒸らせばできあがり。

7、ご飯を蒸らしている間に、付け合わせのサルサ・クリオージャを作る。繊維に沿って薄切りにしたタマネギを水に2~3回晒し、辛味を抜く。タマネギの水気をよく切り、レモン果汁を加え、みじん切りのアヒ(お好みで)とクラントロを入れて混ぜる。塩コショウで味を調えてできあがり。

【Keikoからのひとことアドバイス】

こうしてレシピを記してみると、思った以上に手順が多いですね。でも難しく考えないで!加える野菜だって冷蔵庫にあるものでいいし、鶏肉だって好きな部位で問題なし!鶏の旨みとクラントロが織りなすハーモニーをご堪能いただければと思います。

またお子さんがいる家庭なら、クラントロにほうれん草を混ぜてもいいですよ。ペルーではほうれん草よりアセルガ(フダンソウ)のほうがお求めやすいので、私はアセルガを加えたりもします。

そして忘れてはならないのが、サルサ・クリオージャ。レモン(メキシカンライム)の酸味とタマネギのわずかな苦みが口内をさっぱりさせると同時に、クラントロの個性をより引き立ててくれます。サルサ・クリオージャに加えてパパ・ア・ラ・ワンカイーナを添えると、もうペルー度マックス!さすがにカロリーオーバーだし、炭水化物だらけになるので私は避けておりますが、鉄板の組み合わせであることは間違いありません。禁断の糖質&脂質ワールドへ足を踏み入れたい方は、ぜひチャレンジしてみてくださいね。