数多あるペルーのシーフードメニューの中でも、独自の地位を築いているプルポ・アル・オリーボ(タコのオリーブソースがけ)。ニッケイ料理について執筆するたびに、この料理の誕生秘話をご紹介してきましたが・・・タコとブラックオリーブソースってまさに神業的な組み合わせ!
魚介やアヒの種類、プレゼンテーションによってさまざまなアレンジが可能なセビーチェ(魚介のレモンマリネ)と違い、プルポ・アル・オリーボは唯我独尊、どのレストランでもほぼ決まった形(タコ、アボカド、クラッカー、ソース)でサーブされます。それだけ完成度が高いということなんでしょうね。この料理を考案した日系二世の故・ロシータ・ジムラさんは、天才的センスの持ち主だと思います。
ただブラックオリーブソースの個性があまりに強すぎて、他の料理に転用しづらいんですよね。カウサ(ペルーのマッシュポテト料理)にかける店(人)もありますが、味がくどくなるし、カウサの魅力を半減させる気がするんです(もちろん好みの問題です)。
とはいえいつも同じパターンでは面白くないと思い、今回は温・冷2種類のプルポ・アル・オリーボをご紹介しました。どちらも驚くほど簡単なのに、見た目が華やかで白ワインとの相性も抜群。おもてなし料理にもぴったりですよ。
基本のブラックオリーブソース(できあがり約200ml)
【材料】
- 卵黄 1個分
- レモン果汁 大1弱
- E.V.オリーブオイル 100~120ml
- ブラックオリーブ 10~12粒
- 塩コショウ 適量
【作り方】
1、ミキサーに卵黄とレモン果汁を入れて混ぜ合わせ、オリーブオイルを少しずつ入れてよくかくはんし、マヨネーズを作る。
2、1にブラックオリーブを加えてよく混ぜ合わせれば、ブラックオリーブソースのできあがり。オリーブの塩分が強いので、塩コショウは味をみながら調整すること。
冷製プルポ・アル・オリーボ
1、茹でて薄くスライスしたタコを皿に並べ、ブラックオリーブソースをかける。レタスやアボカド、クラッカーを添えてできあがり。食べる直前にE.V.オリーブオイルをひとたらしすると風味もアップ!
温製プルポ・アル・オリーボ
1、茹でたタコを一口大にカットする。
2、 ボウルにニンニクのみじん切りとレモン果汁、オリーブオイル、細かく切ったアヒ・アマリージョとイタリアンパセリ、塩コショウを入れて混ぜ合わせ、タコを入れて軽くマリネする。
3、ジャガイモを皮付きのまま茹でて、適当な大きさにカットする。フライパンにオリーブオイルを入れ、軽く塩コショウしながらジャガイモの表面がカリッとするよう揚げ焼きにし、別皿に取っておく。
4、3のフライパンに再びオリーブオイルを入れて、2のタコを炒める。香ばしい焦げ目がついたら最高!
5、皿にジャガイモとタコを盛り、ブラックオリーブソースと E.V.オリーブオイルを垂らしてできあがり。上にカットしたアボカドやケソ・フレスコを散らしてもいいだろう。
【keikoからひとことアドバイス】
タコほど、日本とペルー(及びヨーロッパ等)でその扱い方が違う素材ってありませんよね。日本では「塩でしっかり揉み洗い」「茹で時間は3~5分」といった方法が主流のようですが、ペルーやスペインでは「ただの水洗い」「茹で時間はキロ当たり20~25分」と全く違います。
また「沸騰した湯に塩、茶葉、醤油、酢(のいずれか)を入れて茹でる」という日本に対し、こちらは「タマネギやニンニク、ローリエ、ジャガイモ(のいずれか)を入れる、塩は入れない」が多いかも。ジャガイモを入れるのは、タコとジャガイモの組み合わせをこよなく愛するスペインの影響でしょうか?確かにタコの旨みが染みたジャガイモって美味しいですもんね。あと「沸騰した湯に、タコを足先から入れて引き上げる動作を“3回繰り返す”」はマスト!なぜみんな3回なの?2回、または4回じゃダメなの?などいろんな疑問を抱えつつ、私もきっちり“3回”繰り返しています。
東西どちらもがそれぞれの調理方法を正しいと信じつつ、ペルー人は日本のタコ料理を、日本人はペルーのタコ料理を美味だと評価する。結局食べる人が満足なら、どっちの方法でもいいんですよね。常識・非常識の概念に囚われず、常に自分で考えるようにしたいなぁ、なんて、タコの茹で方から学ぶ私でありました(笑)。
2人暮らしの我が家では、タコ一匹を一度にまるまる消費することはまずありません。なので生タコを買ってきたら、ぬめりが付いたままのタコをキッチンバサミで頭(内臓は取る)と足2本ずつにカット。それぞれをビニール袋に小分けして、空気を抜いてそのまま冷凍庫で保存しています。調理する時は前日に必要な分だけ取り出して冷蔵庫で解凍し、茹でる前に流水で水洗い。こうするとタコのぬめりや吸盤の汚れはいとも簡単に落とせるし、タコも柔らかくなっているしで一石二鳥。あとはお酢少々とローリエのほか、セロリやパセリの茎の部分を適当に入れた湯で日本風に短時間茹でています。
これがベストなのかどうかは分かりませんが、とても柔らかく仕上がるので個人的には満足しています。よろしければご参考くださいね。