ペルー家庭料理の定番のひとつ、トウガラシ(Ají)風味の雌鶏(Gallina)シチュー 。アヒがたっぷりなのにたいして辛くないという、なんとも不思議な味わいのシチューです。アヒ・アマリージョだけで作るのが一般的ですが、今回は贅沢にも3種類のアヒで勝負!トウガラシの風味が際立つ、大人の味に仕上げてみました。
ペルー生まれのアヒ・デ・ガジーナ、そのルーツはなんとスペイン伝統のスイーツ、Manjar blanco(日本の方には“ブラマンジェ”のほうが分かりやすい?)にあります。Manjar blancoはアーモンドミルクと米粉、砂糖、シナモンなどで作るババロア状のデザートで現代は甘いバージョンが主流ですが、中世~近世にかけては茹でて細かく裂いた鶏むね肉やエビを入れたお食事系もあったそう。恐らく、当時のスペイン人にとってのミルク粥的な存在だったんでしょうね。
旧大陸から新大陸へ伝わり、それぞれの国や地域で独自の変化を遂げていったManjar blanco。その一つがアヒ・デ・ガジーナだったなんて本当にびっくりです。“細く裂いた鶏肉”と“ミルクで煮込む”という要素だけを残し、ペルーの大地が育んだアヒを加えるというペルー人のセンスに脱帽です。
【材料】2人分
- 鶏むね肉 1枚
- タマネギのみじんぎり 1/2個
- ニンニクのすりおろし 大1/2
- アヒ・アマリージョペースト 大3~4
- アヒ・ミラソルペースト 大1
- アヒ・パンカペースト 大1/2
※いずれも自家製ペーストのため無塩。市販の瓶詰は塩分が多いので量を調整してください。 - 食パン1枚、またはコッペパンの白い部分1個分
- チキンスープ(鶏むね肉の茹で汁) 150~200ml
- エバミルク、または牛乳 50~100ml
- クルミ、またはピーカンナッツ 5~6個
- パルメザンチーズ 適量
- クミン、塩コショウ 適量
付け合わせ
ご飯、茹でたジャガイモ、茹で卵、ブラックオリーブ 各適量
【作り方】
1、鍋に鶏むね肉を入れ、水から茹でる。肉をしっとり仕上げるため、加熱し過ぎないよう注意しよう。茹で上がったらそのまま冷まし、むね肉を細かく裂いておく。ゆで汁は取っておく。
2、パンをちぎって1のゆで汁を加えて柔らかくしておく。後で濃度の調節をするので、使うゆで汁はパンが浸るくらいで十分。
3、フライパンに油(分量外)を入れてタマネギとニンニクを炒める。タマネギが透き通ったらアヒを入れてよく炒め、香りと辛味を引き出す。3種類のアヒの割合に正解はないので、お好みで。でも主役は何といってもアヒ・アマリージョなので、他のアヒを入れすぎないように。
4、3のフライパンに柔らかくしたパンをゆで汁ごと加え、ひと煮立ちさせる。ブレンダーかミキサーにかけて滑らかに仕上げる。
5、4の鍋に鶏むね肉を戻し、エバミルクと細かく砕いたナッツを加える。ゆで汁やミルクで好みの濃度に仕上げ、クミンと塩コショウで味を調える。
6、仕上げにパルメザンチーズを加え、全体をさっと混ぜたら出来上がり!皿にご飯と茹でたジャガイモを乗せてソースをかけ、茹で卵やブラックオリーブを添えて頂こう。
【Keikoのひとことアドバイス】
材料がシンプルなだけに、作り手ごとの個性が際立つアヒ・デ・ガジーナ。日本人が市販のカレールーにハチミツやウスターソースを加えてアレンジするのと同じで、鶏肉とアヒ・アマリージョさえ入っていればあとは自由自在です。
例えば辛いもの好きな我が家はアヒをたっぷり入れますが、アヒを減らしてパンとミルクをたっぷり加えれば優しい味になるし、パンを入れず米粉や片栗粉でとろみをつけてもいいかもしれません。リマの友達はお子さん向けに、ニンジンやカボチャといった黄色い野菜を加るそう。これは目からウロコのアイデア!ペルー人が聞いたら腰を抜かしそうですが、栄養満点だしすごくいいと思います。
ただ市販のチキンコンソメだとちょっと味が強すぎる気がするので、できるだけシンプルな出汁を使いましょう。クルミとパルメザンチーズは個人的にマストだと思います。後はお好みで!