シャーマンの儀式から黄色いパンツまで ペルーの年越しゲン担ぎ

ペルーでは明日21日から2020年の夏が始まり、週末にはクリスマスが、次の週には大晦日(nochevieja)と新年がやってきます。新しい年を迎えるにあたり、ペルー貿易観光振興庁(Promperú)がペルー人のユニークな年越しの習慣を紹介しています。

繁栄の沐浴

ペルーでは、パーティーとダンスで年越しするのが常。家の中でも、レストランやホテルでも、ペルー人なら新しい年が愛情や健康、幸運で満たされるよう縁起を担ぐのが習わしです。

ペルー人の験(ゲン)担ぎで最も良く知られているもののひとつに、「繁栄の沐浴(Baño de florecimiento)」の儀式が挙げられます。エキゾチックな花や植物、木の枝を煎じた“聖水”を呪術師が人々に浴びせるもので、悪い魂を浄化すると信じられています。この儀式は通常年末に行われ、呪術師が加護と吉兆を願う呪文を詠唱しながら被術者の全身に聖水を振りかけます。

呪術師(シャーマン)とは、超自然的なパワーを持つとされる神聖な存在であり、コカの葉を用いた儀式も執り行います。

高山病を軽減するため、アンデス地方ではコカの葉を口中で石灰と共に咀嚼します。これ以外にも、コカの葉は大地の女神パチャママと私たちの祖先を霊的につなぐ役割を果たしていました。インカの時代には、天候や耕作の吉凶から日々の出来事に至るまで、コカの葉を用いた占いによる予測が行われていました。

これらの仕事に従事していたのは、インカ帝国の行く末を占う責務を与えられた“コカピリクイ”と呼ばれる神官たちでした。占いの儀式では、布の上に一定数のコカの葉を撒き、その形から国家や為政者の未来を占っていました。

コカの葉占いは、今でもクスコやアヤクチョ、プーノの一部で行われています。その様式は多岐にわたり、地域の呪術師や祈祷師ごとに異なりますが、特徴としては術師がコカの葉を噛みながら蒸留酒を少し口に含んで儀式を始め、被術者にも同じ行為を勧めます。その後は口中の葉の味次第で、甘ければ続行、苦いと感じたら中止するよう促されます。

続行の場合、術師は布の上にコカの葉を散らし、タバコに火をつけ大地の女神パチャママを召喚します。隣国ボリビアでも同じ伝統があり、撒かれたコカの葉の形は歓喜や肥沃、金銭、健康、富裕などを意味すると遥か昔から伝えられています。

コカの葉
コカの葉

エケコ

一方、エケコもペルー人の年末には欠かせません。アンデス風の顔立ちをした小さな人形で、その衣装には幸福や成功、金銭、健康にまつわる色々な捧げ物がぶらさがっています。

伝承によると、アンデス高地に暮らしていた王子の息子がモデルと言われており、貧困にあえぐ一部の住民に心を動かされた彼は、躊躇せず持ち物を分け与えていたと言います。

エケコのご利益を得るためには、自分自身では買わずにまず他人から贈られることが必要です。続いて、願いを成就させるにあたり、新たな持ち主はエケコの口にタバコを咥えさせ、エケコがタバコを吸うまで自身もタバコを吸い続けなくてはなりません。持ち主の願いを聞き届けたエケコは、咥えタバコから煙を吐くと信じられているのです。

新たなゲン担ぎ

新年を迎えるにあたり、今日ではもっと大胆で型破りな慣習が生まれています。そのひとつは下着を履き替えることです。

ぺルーでは毎年大晦日に、友達や家族の間で決まった色のパンツをプレゼントしあうのが習慣となっています。大抵は幸運のシンボルとされる黄色ですが、一年中お金に困らないようにと願う人には富裕を象徴する緑色、すぐにでも恋人が欲しいという人には赤い色を贈るといいみたいです。

ペルー人はどうやらこの奇妙な下着の風習がお気に入りのようで、年末になるとパンツが飛ぶように売れています。

12粒のブドウ

では最後にオーソドックスな言い伝えを。新年を祝う乾杯の後、12時の鐘の音を象徴する12粒のブドウを食べると、翌年は1年を通じて幸運になれると言われています。

食べている間は、一粒々々に心から願いを込めるのを忘れずに。夢を捨てずに願い続ければきっと想いはかなうでしょう。ではよいお年を!

大晦日のロウソクとブドウ

(ソース: Promperú)

ペルーパンデミック280日目

ペルー保健省発表12月18日COVID-19関連国内統計

  • 感染者数累計 995899人(前日比+2139)
  • 死者数累計 37034人(+65)
  • 既検査数累計 5361432件(+15631)
  • 陽性率 18.58%↓
  • 死亡率 3.719%↓
  • 1日の検査数 15631人(-11878)
  • 1日の感染者数 980人(-48)※当該日以前の感染者1159人を除く
  • 入院患者数 3961人(-60)
  • 上記の内ICU患者数 1083人(-13)
  • 回復患者数 995899人(+67680)

直近一週間の一日当り感染者数推移(カッコ内は死者数)

  • 12月18日 2139人(65)
  • 12月17日 2242人(68)
  • 12月16日 2061人(43)
  • 12月15日 1782人(41)
  • 12月14日 1545人(63) 
  • 12月13日 1157人(77)
  • 12月12日 1928人(68)
  • 直近7日間平均 1836.3人↑(60.7↓)
  • 直近7日間の陽性率 11.42%↑ ※累計比

(ソース: MINSA 12月19日)