ペルー首相府(PCM)は30日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う国家緊急事態の発令期間(現行期限11月30日)を12月31日まで1か月延長すると共に、社会的共存に向け新たな措置を制定する大統領令第184-2020-PCMを官報にて公布した。当令の概要は次のとおり。
第1条 国家緊急事態の宣言(延長)
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、国家緊急事態の発令期間を2020年12月31日まで31日間延長する。発令中は、身体の自由および安全、住居の不可侵、集会の自由および、ペルー共和国憲法第2条第9、11、12項ならびに24項f(エフ)号に包括される国土における移動の自由に関する憲法上の権利が制限される。
第2条 国家衛生体系の強化に向けた措置
2.1 国内の官民衛生組織およびそれらの職員・従業員はすべて、市民およびその財産、地位の保護に向け、当令の発令期間中に付帯的サービスを求められる可能性を含め、衛生サービスの提供にあたり保健省の管理下に置かれる。
保健省はまた、国軍および国家警察の保健衛生機関ならびにそれらの職員による国家衛生体系への貢献を確実にする目的で関連措置を発出する権限を有す。
2.2 前項とは別に、地方政府および地方自治体は、衛生サービスを含む管轄下のサービス提供にあたり、常に十分な機能を確保しつつ当該手続きを履行する。
2.3 これらの措置ではまた、当国家緊急事態の施行下で明示され得る必要性に応じ、全国における技術的手段およびスタッフの適正な配分を取り決めることがある。
2.4 保健省は必要に応じ、民間の医療センターや衛生施設、同サービスに関し、国家衛生当局の事前評価および各施設の利用状況に基きこれらの権限を行使することが出来る。
第3条 公衆衛生維持に必要な財・サービスの供給確保に関する措置
保健省は次の権限を有す。
a) 公衆衛生維持に必要な製品の供給不足に影響された生産拠点の衛生サービスに関する機能および当該市場に関する供給体制の確保に向け求められる衛生規定の発布。
b) 国家衛生当局が要請する製品、サービスその他の供給確保に向け管轄当局との連携上必要とされる規定の発布。
c) 検疫期間内における公衆衛生の維持に向けた関連措置の発布。
第4条 国家警察と国軍の関与について
4.1 当該措置の履行を確実にするため、国家警察および国軍は国家緊急事態により抑制されない権利を制限することのないよう、特に立法政令第1186号(国家警察による影響力の行使)、立法政令第1095号(国内における国軍の影響力行使)の定めによる国民の生活および完全性の庇護に配慮しつつその任務にあたる。
4.2 国家警察は国軍と連携し、当大統領令に定める条項の順守を確認すると共に、それにより実証が必要とされる人や財、車両、店舗、施設の突合および捜査を実施し、必要に応じて無許可のサービスや活動を差し止めることができる。このため、内務省および国防省は必要とされる補完的な規定ならびに措置を発布する。
4.3 国家警察はまた、人の密集や公共秩序の混乱を防ぐ目的から、その権限において商業施設の最大定員を査察することができる。
4.4 同様に、関連規則により定められた経済活動の再開に基き、自家用車や公共交通機関、船舶を始めとする様々な方法による人の移動の自由に関し、全国レベルで制限や調整を行う。
4.5 市民ならびに中央政府、地方政府、地方自治体の各当局は、それぞれの職務遂行にあたり国家警察および国軍当局との協力義務を負う。
第5条 補完条項
国家緊急事態の発令期間において、中央政府は当大統領令の遂行にあたり必要となる規則を発布する。地方政府および地方自治体は、管掌するそれぞれの権限において当大統領令に定める措置の遂行に貢献するものとし、その方法については事前に中央政府との調整・承認が必要となる。
第6条 外出制限(住居内強制待機 / 夜間外出禁止)
COVID-19に罹患者の外出制限については、保健衛生当局の勧告に従い、当該当局による病状回復の認定まで自宅における全日待機が適用される。国防省が率いるマルチセクター・ワーキンググループ「Te Cuido Perú」は、前述されるCOVID-19罹患者およびそれに同居する家族の当該外出制限期間における経過観察と援助を行う目的を有す。職務の適格な遂行にあたり、同グループは関係者ならびに周囲の位置情報の他、臨床情報の追跡や監視、経過観察が可能なデジタルプラットフォームを利用できるものとする。国防省は同省令を通じ、前述のワーキンググループによる目的の遂行に必要な補完措置を発布し、特定の条項を定めることができる。
第7条 衛生緊急事態への対応に向け必要な活動および慣行の奨励と監視
7.1 中央政府、地方政府、地方自治体は、それぞれの管轄および管掌機関において、国家衛生当局の勧告に従い、次の各号に該当する慣行につきその奨励および/または監視を継続するものとする。
- 1メートル以上の物理的または身体的距離の維持
- 手洗いの励行
- マスクの着用
- 高齢者およびハイリスク層の保護
- 精神的衛生の維持促進
- 住民スクリーニング検査の継続実施
- 保健衛生サービスの継続的強化
- 情報技術利用によるCOVID-19感染者の追跡
- 公開データの利用と関連情報の登録
- 虚偽の情報や改ざんされた情報の見極め
- 廃棄物処理の適切な履行
- COVID-19対策や採用措置に関する情報の正確な発信
7.2 12歳未満の児童が公共の場所に赴く場合は、成人の同伴者を除き最低2メートルの物理的または身体的距離を維持しなければならない。
7.3 両親や保護者など、12歳未満の児童の同伴者となる者は、予測不能な子供の行動に備え然るべき機敏性を有していなければならない。
第8条 人の移動の自由に関する権利行使の制限
8.1 国家緊急事態の発令期間中は、すべての国民に対し、日曜を含む毎日午前零時から午前4時までの時間帯に外出制限(住居内強制待機 / 夜間外出禁止)を適用する。
外出制限の適用は、食料品、衛生用品、医薬品の供給、金融サービス、レストランのデリバリーサービスの他、上下水道、電気、ガス、燃料、遠隔通信および関連活動、経済再開に伴う活動、運輸通信省が規定する公共交通機関のそれぞれに従事する必要最低限の人員を除く。また、薬局やドラッグストアは外出制限期間中であっても関連規定を遵守の上営業することができる。
新聞社およびラジオまたはテレビ局のスタッフは、外出制限期間中であっても、社員証、記者証および身分証明書の携帯を条件に移動することができる。当該認証の効力は、職務遂行上使用する車両等の移動手段そのものにも及ぶ。
緊急の医療対応または、生命もしくは健康状態が重大な危機に直面し緊急に医薬品の購入を必要とする者の移動については、外出制限措置の制限を受けないものとする。
8.2 移動の自由の制限は、外交使節や領事館、国際的組織の代表者などペルーにおいて適切に信任された外国人が職務のために移動する際には適用されない。
8.3 移動の自由の制限は、政府3レベルおよび/またはそれらの委託を受けた第三者(コンセッション事業者や契約事業者を含む)により直接実施される国家非常事態関連事業を除き、全国および州・郡・市町村道路ネットワーク事業において直接もしくは間接的に実施される建設、管理、保全、維持に関する活動には適用されない。これらの実施にあたっては、COVID-19監視・予防・コントロールプランの履行が専ら必要とされる。
8.4 同条で移動の制限から除外されるすべての場合において、公道上を移動する際にはマスクの着用が義務付けられる。
第9条 集会と人の密集について
街頭行進や宗教的祭典、市民活動および、公衆衛生上の懸念がある人の集中や密集の原因となる社会的・政治的・文化的催しを含むすべての集会はこれを一時的に停止する。
同様に、家族・親族内の訪問者を招き家屋内で開催されるものを含む社会的集会についても、保健衛生上の理由ならびにCOVID-19感染者の増加を防ぐ目的からこれを禁止する。
尚、衛生上の規定および、物理的または身体的な社会的距離に関する規則の履行を条件として、当条に定める規定から軍および警察関連の式典を除外する。
第10条 銀行およびその他の金融機関
10.1 銀行およびその他の金融機関における最大収容定員は、規定の50%を超えないものとする。また、入店前の消毒に加え、店内でのマスク着用や物理的または身体的距離の維持が義務付けられる。銀行保険年金監督庁は、当条の履行にあたり対応する補完措置を発布することができる。
10.2 国家衛生当局は、国軍および国家警察と連携の上、当条に含まれる規定の順守状況に関し監査および監督を行うものとする。
第11条 小売市場(いちば)、スーパーマーケット、食料品の小売商業施設および他の未加工食品共同販売施設について
11.1 小売市場(いちば)、スーパーマーケット、食料品の小売商業施設およびその他未加工食品共同販売施設の最大収容定員については、経済活動再開の各段階において定めるものとする。
11.2 国家衛生当局と地方政府は、国軍および国家警察と連携し、対応する規定の履行状況につき、それぞれの管轄において監査と監督を行う。
第12条 オープンスペースにおけるスポーツ活動について
個人もしくはパートナーとのオープンスペースにおけるスポーツの実施については、公園やレクリエーションセンター、スポーツクラブやその他許可された場所で、市民の精神的・身体的衛生の維持促進を図る方法のひとつとして、身体的・物理的距離の維持や他人との非接触、マスクの着用を条件にこれを認める。これに伴い、地方自治体は国家警察と連携の上、これらのスポーツ活動の適切な履行を目的とした然るべき調整と監視に向け、適切な措置を講じるものとする。それぞれの最大収容定員については、経済活動再開の各段階において定める。
レクリエーションセンターやスポーツクラブ、その他許可された施設においては、国家衛生当局承認済の防疫プロトコルが事前に適用されたセラピーまたは人間形成のみを目的とする利用を除き、プールの使用を禁止する。
第13条 ビーチの利用
国会緊急事態発令期間における国内沿岸の公共ビーチについては、適切なコントロール下で人の密集を回避するための措置を講じることで国民の健康を庇護し、利用を認めるものとする。
第1段階はリマ州およびカリャオ特別州の公共ビーチに適用され、他人との身体的接触を伴わないサーフィンやヨット、ボートなど、海上において物理的・身体的な距離が維持されるマリンスポーツを除き、毎週金曜・土曜・日曜は波打ち際の砂地または岩場エリアの利用は許可されない(月曜から木曜にかけては、マスクの着用や社会的距離の維持、国家衛生当局が定めるその他の防疫措置の順守を条件として、波打ち際および海へのアクセスを認める)。地方自治体は国家警察と連携の上、当条に定める規則の履行を監視する。
オープンスペースでのスポーツ活動を目的とする、ビーチサイドや歩道、自転車道など海岸に近接する公共スペースの利用については、マスクの着用を条件として引き続きこれを許可する。
教育省は保健省と調整の上、国家緊急事態発令下において実施可能な他の海上スポーツの種類につき、ペルースポーツ機構を通じて決定する。
上記(リマおよびカリャオ)以外のビーチの利用に関しては、該当の各郡自治体が、地方政府および関連の地方保健局、ならびに地方通商観光局もしくは関係当局と都度調整の上、国家衛生当局が発出した衛生規則を遵守しつつ、当該公共スペースにおける密集状態や公衆衛生リスクの回避を条件として、それぞれ対応するアクションを取るものとする。
尚、すべてのケースにおいて、砂浜などの波打ち際エリアや海上での飲食行為(水を除く)については、国家衛生当局の定めによりこれを禁止する。
第14条 宗教施設について
宗教施設への信者や信徒、一般参拝者の入場に際しては、それぞれの教義に基く洗礼などの重要な儀式や特別な祭祀の場合を除き、国家衛生当局による防疫規則ならびに国家緊急事態発令下における各種措置の適用と順守を条件に、最大収容定員の3分の1を超えないものとする。
また、これらの宗教施設は、国家衛生当局が規定し国家緊急事態発令下の各措置に適合した防疫プロトコルに従い、最大収容定員の3分の1を超えない範囲において、祭儀や集団的な宗教行事を実施することができる。
第15条 陸路による国際旅客輸送
陸路による国際旅客輸送については、運輸通信省の規定に基づき段階的に承認される。空路、海路、河川における国際旅客輸送に関しては、該当規則により定められた経済活動の再開に沿って実施されるものとする。運輸通信省は保健省と連携の上、対応する防疫プロトコルを発出する。
第16条 資金調達について
資金の調達については、当大統領令の定めに従い、国庫への追加的手段に頼ることなく関連組織の予算で賄うものとする。
第17条 副署
当大統領令は、首相および内務相、国防相、外務相、保健相、法務人権相、女性・社会的弱者相、運輸通信相、生産相、環境相、文化相、経済財政相、住宅建設上下水道相、教育相により副署される。
(ソース: El Peruano 30/11/20)
ペルーパンデミック260日目
ペルー保健省発表11月28日COVID-19関連国内統計
- 感染者数累計 962530人(前日比+2162)
- 死者数累計 35923人(+44)
- 既検査数累計 5059179件(+19223)
- 陽性率 19.03%↓
- 死亡率 3.732%↓
- 1日の検査数 19223人(-1125)
- 1日の感染者数 540人(-439)※当該日以前の感染者1622人を除く
- 入院患者数 4080人(-332)
- 上記の内ICU患者数 983人(+16)
- 回復患者数 893061人(+2057)
直近一週間の一日当り感染者数推移(カッコ内は死者数)
- 11月28日 2162人(44)
- 11月27日 2044人(40)
- 11月26日 1977人(54)
- 11月25日 1888人(58)
- 11月24日 2020人(42)
- 11月23日 1882人(44)
- 11月22日 887人(46)
- 直近7日間平均 1837.1人↑(46.9↓)
- 直近7日間の陽性率 10.36%↑ ※累計比
(ソース: MINSA 11月29日)